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来年からはどんな視点で①着候補を選べば良い!?
文/浅田知広

競馬予想で「データ」と言えば、過去の傾向と出走各馬の戦績を見比べ、条件をクリアできる馬を狙っていくもの。他にも血統や騎手、あるいは枠の内外や単純な出目などその幅は広いが、「重賞のデータ」と言えば過去の傾向分析が中心になる。

ただ、少しばかり遊び心を持てば、各馬の将来を想像しつつ、いまのレースを予想する、という手法もある。例えば日本ダービー。過去20年のダービー馬は菊花賞で[2.2.3.5]、優勝したのはナリタブライアン、ディープインパクトの三冠馬2頭のみ。三冠達成を信じて疑わない馬なら別だが、基本的には菊花賞は勝てない(または回避などで勝たない)と思われる馬を①着候補にするのが正解と言えるだろう。

では、この阪神JFはと言えば。桜花賞②着でダービーを制したウオッカ、オークス馬・トールポピー、そしてのちの二冠牝馬・ブエナビスタ。新設された外回りコースで行われた過去3年、勝ち馬に共通するのは「翌春に東京2400mのG1を勝つ」ことだ。名前を見て「すげぇメンバーだなあ」と思うだけではなく、馬券としては「来春のG1でも期待できる馬を買う」のが正解への近道になるはず。

そんな視点からすれば、アパパネが優勝した今年は、非常に難しい結果とも、とても簡単な結果とも言える一戦になった。近年はマイル以上で勝っていたほうが良いとか、ファンタジーS組がいまひとつ、という傾向からすればアパパネは狙える馬。また、抜群の反応で楽々と抜け出すレースぶりは、重賞未経験と言えども間違いなく「強い」と感じさせるものだった。もちろん来春という点でも、大いなる活躍が期待される素材だ。

ただその一方で。「来春に活躍する」姿ではなく「東京2400mのG1を勝つ」姿は想像しづらくもあった。ここ2戦とも折り合いの難しさを見せていたのに加え、母ソルティビッドはスプリンター。データを抜きにしても、そんな気性で大外枠を引いてしまったのはマイナスと考える人も多かったことだろう。加えて、最後に枠入りを嫌がること数回。枠順確定からゲートが開く直前まで、あまり良い流れとは言えなかったのは確かだ。

さらに、ゲートが開いても決してスムーズなレース運びとは言えなかった。掛かって持っていかれるほどではなかったものの、とにかく前へ前へと行きたがる姿が二度三度。ようやく落ち着いたのはペースが上がった4コーナーである。条件戦ならまだしも、重賞初挑戦でしかもG1となれば、それなりに強い馬でも少しのロスが結果を左右してしまうもの。しかし、アパパネはそのはるか上を行く強さを発揮した。

4コーナーで外から内に突っ込むと、持ち味の鋭い反応で素早く進出。わずか200mほどの間に中団から一気に先頭まで並びかけると、ゴール前の坂でもしっかり脚を伸ばして完勝だ。相手強化で着差こそ詰まったとはいえ、走りの内容としては500万条件の前走そのまま。

近年に比べて小粒とも言われた今年の阪神JFだったが、終わってみれば「いや、強い馬がいたじゃないか」という結果である。一度は突き放したアニメイトバイオに最後詰め寄られたのはタイプの違いだけ。少々のロスがあってもこの強さ、文句なしに桜花賞の最有力候補だ。

さて、来年からの阪神JFはどんな視点で①着候補を選べば良いのだろうか。

現時点で想像すれば、無難なところでは「翌春のG1を勝つ馬」だろう。しかし、マイラーでも折り合いさえつけば勝てるのが牝馬同士のオークスでもある。アパパネがこれから気性面でも成長も見せ、やっぱり「翌春に東京2400mのG1を勝つ馬」になっていたりするのだろうか?