独自視点で穴馬推奨!競馬予想支援情報【サラブレモバイル】

サラブレモバイル

メニュー

ログイン

中山ダ1200m重賞における父ミスプロ系の出世パターンの勝利
文/編集部

先行抜け出しで勝ったミリオンディスクから逃げて⑤着のアイルラヴァゲインまで、掲示板に載った5頭がすべて4角5番手以内。これがまず、今年のカペラSの結果においてはもっとも衝撃的な出来事だった。

上位6頭まですべて4角7番手以下の差し決着だった昨年とは対照的、という意味だけの話ではない。前半3Fが後半3Fよりかなり速い前傾ラップになりやすい中山ダ1200m、特に上級条件においては、掲示板内に1頭も差し・追い込み馬が突っ込んで来ていない結果は、非常に珍しいことなのだ。

10頭立て未満のレースは除くと、90~09年(~12月13日まで)の近20年で、OPクラスの中山ダ1200mは38レースが行なわれているが、今回のカペラSのように「掲示板に載った5頭がすべて4角5番手以内」という結果は、他に1例も見られない。

では、準OPまで含めるとどうなのか(同じく10頭立て未満のレースは除く)。ここまで条件を広げると3例あるが、67レース中の3例であり、すべて90~93年という、かなり昔に行なわれたレースとなっている。

まとめるなら、「94年以降、準OPクラス以上の10頭立て以上の中山ダ1200mで、掲示板内の5頭がすべて4角5番手以内だったレースは09年・カペラSのみ」ということだが、この結果をどのように判断すれば良いのか。

サンプルが乏しいだけに悩ましいところだが、過去の中山ダ1200m重賞を参考にするなら、少なくとも先行押し切りという勝ち方に関しては、好材料じゃないかという気がしてくる。

中山ダ1200m重賞は97年以降に14レース行なわれているが、勝ち馬の位置取りを見ると、4角5番手以内が10頭、4角8番手以下が4頭。勝ち馬はどちらかと言うと、先行押し切りの形が多い。

そして、興味深いのが4角8番手以下から差し切った4頭。名前を挙げると、99年・ガーネットSのワシントンカラー(※)、06年・ガーネットSのリミットレスビッド、07年・ガーネットSのスリーアベニュー(※)、08年・カペラSのビクトリーテツニー(※)。

馬名の後ろに(※)が付いているのは父ミスプロ系の馬たちだが、これらの3頭は中山ダ1200m重賞を差して勝った後、いずれも1勝も挙げていない(09年12月13日時点)。対して父サンデーサイレンスのリミットレスビッドだけは、その後にダート重賞(地方の交流重賞も含む)を7勝している。

4角8番手以下の馬が勝った先述の3レースについて、前後半の3Fを見てみよう(カッコ内は後半3Fから前半3Fを引いたもの)。99年・ガーネットSは32秒8-37秒5(4秒7)、06年・ガーネットSは33秒4-37秒1(3秒7)、07年・ガーネットSは32秒7-37秒3(4秒6)、08年・カペラSは32秒7-36秒0(3秒3)。

父サンデーサイレンスのリミットレスビッドが勝った06年・ガーネットSだけが、特別なラップだったわけでもない。差こそあれ、どれも前半の方が後半より3秒以上速い前傾ラップだ。

それでも、父ミスプロ系と父サンデーサイレンスとで大きな差が見られることを考えると、「前傾ラップの中山ダ1200m重賞を差して勝つことは、父ミスプロ系にとってはダメージが大きいのではないか」という仮説を、考えてみたくなってくる。

逆に、中山ダ1200m重賞を4角5番手以内から勝った父ミスプロ系はどうなのだろう。名前を挙げると、97年・ガーネットSのストーンステッパー、00年・ガーネットSのビーマイナカヤマ、01年・ガーネットSのビーマイナカヤマ、03年・根岸Sのサウスヴィグラス、04年・ガーネットSのマイネルセレクト、そして09年・カペラSのミリオンディスク

この延べ6頭(ビーマイナカヤマは重複)の成績を見ると、4角8番手以下から差し切った父ミスプロ系の馬とは対照的に、ミリオンディスクを除き、いずれもその後に勝ち星を挙げている。しかも、サウスヴィグラスとマイネルセレクトはその後、交流G1を制覇。

「前傾ラップの中山ダ1200m重賞を差して勝つことは、父ミスプロ系にとってダメージが大きい」という仮説が合っているかどうかは、まだサンプルが少なくて判断は難しいが、確率から言って、「中山ダ1200m重賞を制した父ミスプロ系については、先行して勝った馬の方がその後の期待値は高い」とは言えるかもしれない。

ミリオンディスクは、5歳12月にして初めて重賞に出走して重賞初制覇。前走の霜月S(東京ダ1400mのOP特別)での②着についても実は、関東遠征しての初めての連対という成績だったが、今回は重賞初制覇というだけでなく、関東圏での初勝利でもあった。ここにきて充実一途といった感じだ。

母系を見ても、母のハッピーリクエストも実は、5歳の12月にOPクラスで初勝利(ターコイズS)を挙げている。よほど成長力のある血統なのだろう。

ミリオンディスクは、父ミスプロ系の勝ち方としても、母の血統を考えても、今後の活躍が非常に楽しみになってくる。昨年のカペラSの連対馬は、①着ビクトリーテツニーも②着スリーアベニューもその後にまだ未勝利だが、ミリオンディスクにはぜひ今後、「カペラSは出世レース」という認識が広がるような走りを期待したいところだ。