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2歳戦が終わったばかりだが、早くも来年のクラシックの勢力図が完成したかも
文/編集部

あまりにも完璧なものを見せ付けられると、なぜか脱力感を感じてしまう、というようなことはないだろうか? 今年のラジオNIKKEI杯2歳Sを観終わった時がまさにそんな感じだった。

ヴィクトワールピサは、戦前では多頭数の内枠で馬群に揉まれた時にどうかなどの課題があったが、結果的にはケチのつけようがない完璧な勝利だった。

中団で折り合い、4角で無理なく外目に出されると、最後の直線で、こちらも勝利に向かって完璧なレースプランを遂行したはずだったコスモファントムをきっちり捉えた。その差はクビしかなかったが、最後の手ごたえの差は明らか。コスモファントムを含めた他14頭とは、別の次元の競馬をしているようでもあった。

くどくどと説明する必要はないと思うが、このレースはクラシックへの登竜門と言うべきレースで、そこでこのような完璧な競馬を見せたヴィクトワールピサ『クラシック最有力候補の1頭』と言ってしまうことに異論はないだろう。もっと言ってしまえば、なにか不慮のアクシデントでも起こらない限り、おそらくは4ヶ月先の本番・皐月賞でも上位人気に推されているはずだ。

そして、このヴィクトワールピサにとっては明るい未来の展望が、最初に述べたような脱力感の正体でもあった。

本来ならばもう数ヶ月かけて形成されるべきクラシックの勢力図が、2歳戦が終わった時点でほぼ完成図が見えてしまった。そのために、「この後はどうなるんだろう」という楽しみが失われてしまった感じがするのだ。

断っておくが、なにもケチをつけようと思ってこんなことを書いているのではない。むしろ、逆にこの脱力感を説明することで、ヴィクトワールピサに感じた素質の高さを表現したいのである。ここまで完璧な内容を示し、死角も少なさそうなクラシック候補というのは、そうそう現れるものではない。

ただし、ヴィクトワールピサの1強というわけではないのも周知のとおり。新馬戦で先着され、朝日杯FS勝ち馬となったローズキングダムが最大のライバルとして立ちはだかるはず。来年のクラシックは2強態勢となるのではないか。

もちろん、このレースの翌日には、エアグルーヴの息子ルーラーシップや孫(アドマイヤグルーヴの産駒)のアドマイヤテンバといった良血馬が勝ち上がったり、ホープフルSではアリゼオが強い競馬を見せたように、情勢は刻一刻と動いている。ほかにも将来を嘱望される素質馬たちは、まだまだたくさんいる。

それでも、それらの馬が本番前にこの2頭を脅かすような存在にまでなるかというと、これはけっこう大変なことなのではないかと思わせられるのだ。それくらい、2頭は、朝日杯FSとラジオNIKKEI杯2歳Sで危なげのないレースぶりを見せた。卓越したレースセンスと2歳馬離れした完成度。少々のことでは崩れなさそうという意味では、2頭は似たようなタイプにも見える。

この2頭の対決は、それぞれの父、キングカメハメハとネオユニヴァースの同期の種牡馬対決第2ラウンドという意味でも注目に値すると言えるだろう。

初年度は、キングカメハメハがネオユニヴァースを抑えて2歳リーディングを獲得したものの、クラシックではネオユニヴァース産駒が二冠を制して、キングカメハメハを圧倒。その結果、キングカメハメハは仕上がりは早いが大物感のある産駒が少ない、ネオユニヴァースはクラシック向き種牡馬というイメージが定着しつつあった。

ところがどっこい、2年目となった今年のキングカメハメハのブレイクぶりはすさまじく、このイメージを覆えし始めている。阪神JFをアパパネで勝って産駒による初G1制覇を達成すると、朝日杯FSも勝利。2歳リーディングを昨年以上の勢いで独走するだけではなく、クラシックを意識させる大物もしっかりと輩出してきたのだ。

これに対し、ネオユニヴァースは、2歳戦の獲得賞金が昨年の3分の2強と全体的にはややトーンダウンしている感じがあるが、2000mの2歳戦では、キングカメハメハ産駒が今年2勝なのに対して、ネオユニヴァース産駒は4勝。やはり距離が延びてこそのイメージは大きく変わっていないし、ヴィクトワールピサのようなクラシック候補を出し、2年連続クラシック制覇も視野に入れているのだから立派だ。

量ではキングカメハメハに劣っても、クラシック戦線できっちり結果を出せば、今年示した本格派タイプの種牡馬としての地位はさらに磐石となるだろう。

父の代理戦争の様相も見せるヴィクトワールピサローズキングダムの2強対決。新馬戦での2頭の着差はわずか3/4馬身だった。クラシック戦線の大きな勢力図の変化という意味では楽しみは小さくなったのかもしれないが、この2頭の再戦が来年の競馬シーズンのハイライトのひとつとなるのは間違いないだろう。