独自視点で穴馬推奨!競馬予想支援情報【サラブレモバイル】

サラブレモバイル

メニュー

ログイン

想像を超え、ビックリ要素も満載だった中山金杯&アクシオン
文/編集部

様々な面で、予想が非常に難しく感じ、結果的にもビックリ要素が満載の中山金杯だった。

まず、1番人気に応えて見事に重賞連勝を飾ったアクシオン。この馬はまず、馬体重が14kg増という点に悩ましさを感じた。

5走前の江ノ島特別(東京芝1800mの1000万下)では538kgで勝利。この馬自身としては、今回の532kgは決して太いというほどの馬体でもなかったのだろう。それは結果も物語っている。

しかし、調整が難しい冬の時期の重賞だ。90~09年の中山金杯(※90~95年は日刊スポーツ賞金杯)を調べてみても、馬体重が10kg以上増だった馬は[0.3.1.29]で、このうち3番人気以内の馬でも[0.1.0.8]と、苦戦傾向が目立っていた。

そんな馬体増でもアクシオンは、過去2戦で④③着だった中山芝で、最後にグイッと伸びてクビ差の勝利。この走りには脱帽するほかなかった。

それからアクシオンは、コーナー2回の阪神芝1800m、しかもスローでレースの上がり3Fが33秒6と速かった鳴尾記念を勝った後、コーナー4回で冬の中山芝の2000mに舞台が替わる。その点も、個人的に大きな引っ掛かりを感じていた。

コーナー2回の芝1800mと言うと、阪神&京都&新潟の外回り芝1800mと、あとは東京の芝1800mがある。もちろんメンバー構成にもよるが、これらのコースは基本的に、最後に長い直線が待ち構えているために道中はペースが落ち着きやすく、上がりの速い競馬となりやすい。

アクシオンが勝った09年・鳴尾記念は、前半5Fが61秒2で、上がり3Fが33秒6。前後半の4Fのラップを比較してみると、前半4Fが49秒0、後半4Fが45秒3と、後半の方が3秒7も速い後傾ラップとなっている。

このようなレースを勝った馬の次走成績はどうなっているのか気になって、「コーナー2回の芝1800m重賞において、前半4Fより後半4Fの方が2秒以上速かったレースで勝った馬の次走」についてもレース前に調べてみたら、90~09年で[6.1.3.8](連対率38.9%、複勝率55.6%)という成績だった。

サンプル数は多くないが、率としては悪くない数字である。しかし細かく見ていくと、2~3歳の限定戦だったり、次走もコーナー4回未満のレースでの好走といったパターンが目立つ。

近年で言えば、07年の秋華賞(※3歳限定戦)のダイワスカーレット、09年の天皇賞・秋(※コーナー4回未満)のカンパニーなどが好走例だが、今回のアクシオンように「次走が2~3歳の限定戦でも、コーナー4回未満のレースでもない重賞レース」というケースでは、90~09年でひとつも好走例がなかった。

やはり、経験則から引っ掛かりを感じていた通り、今回のアクシオンのような臨戦過程は「過去の例から、好走がイメージしづらいパターン」には違いなかったのだ。それでも結果的には、データをあざ笑うかのような勝利。「ひょっとして想像以上の大物なのか!?」と、レースを見た直後には感じた。

しかし、後になってレースのラップを見てみると、この勝利にも合点がいく。前半5Fが61秒9のスローで、前後半の4Fは前半が49秒2、後半が47秒2。鳴尾記念ほどではないが、後半の方が2秒0も速い後傾ラップとなっていたのだ。

とはいえ、結果的に合点はいくが、中山金杯でこのラップはなかなか想像しづらい。

例年、前傾ラップのハイペース、もしくは平均ペースが多く、前半4Fより後半4Fの方が1秒以上速かったケースは、90~09年で5回(94、97、99、00、08年)だけ。そしてこのうち、前半4Fより後半4Fの方が2秒以上速かったのは、アドマイヤフジが勝った08年しかない。

今年の中山金杯は、ラップ的にもビックリの内容だったのだ。

アクシオンは今回も含めて芝出走は14回(すべて1800m以上)あるが、これらを前後半の4Fに分けて単純比較すると、前半4Fの方が速かった前傾ラップのレースで[2.0.1.4]、後半4Fの方が速かった後傾ラップのレースで[4.3.0.0]。

後傾ラップの方が明らかに安定度は高く、このあたりはいかにもサンデーサイレンス産駒らしいが、鳴尾記念→中山金杯の重賞連勝には、このラップ面も大きく影響していることは確かだろう。

しかし、アクシオンの連勝を「得意のラップだったから」で片付けて良いものだろうか。09年は8歳のカンパニーのG1連勝に驚かされたが、今年で7歳になるアクシオンの6歳後半以降の急上昇ぶりも、想像以上のものがある。「得意のラップ」についてもおそらく、急上昇にともなって変化してきている面もあるのだろう。

年頭の重賞でいきなりビックリ要素満載だった中山金杯&アクシオン。これらは今後さらに、どんな驚きを提供してくれるのだろうか。ワクワクする競馬の1年を期待させてくれるような、なかなか興味深いレースだったと思う。