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マンハッタンカフェ産駒が昨年に続いて好発進
文/編集部

日本競馬界のリーディングサイアーとして、長年、君臨し続けた大種牡馬サンデーサイレンスが逝去したのが02年。それからは、次のリーディングサイアーがどの種牡馬となるか、話題になったものだが、08年はその産駒であるアグネスタキオンが首位となり、そして昨年はマンハッタンカフェがその座についた。

09年はマンハッタンカフェを父に持つレッドディザイアが秋華賞を勝ち、桜花賞、オークスでも②着に入った。また、ジョーカプチーノがNHKマイルCを制したのをはじめ、産駒が大活躍し、08年の9位から一気にランキングを急浮上させた。

思えば、昨年のマンハッタンカフェ産駒の活躍の口火を切ったのが、アントニオバローズによるシンザン記念の勝利だったと思う。そして、今年のシンザン記念を制したのも、父マンハッタンカフェのガルボだった。

シンザン記念は朝日杯FSで上位だった馬が強さを見せることが多い。ガルボは朝日杯FSで④着だったにも関わらず、12番人気だったことでフロック視されたのか4番人気にとどまった。重賞で②着の実績がある2番人気のキョウエイアシュラはまだしも、1番人気ピサノユリシーズ、3番人気メイショウカンパクという、まだ1勝馬の身の2頭にも人気を譲った。

このフロック視がレースの結果に影響した気がしてならない。ハナを切ったのは9番人気シャイン、14番人気エスカーダがこれに続き、ガルボはその直後の3番手前後という絶好のポジションにつける。3番人気メイショウカンパクは中団、ピサノユリシーズキョウエイアシュラは後方から。

先行争いもさほど激しくならず、1000m通過は59秒4、600m~1200mの3Fはすべて12秒台前半という緩やかな流れに。こうなったら前に行った馬が有利なのは間違いない。ところが、後ろの馬たちが早めに仕掛けていくシーンは見られなかった。前に行っている馬たちよりも、後方にいる人気馬たちをマークした馬が多かったのではないか。

4コーナーから直線入り口付近でやっと後方集団も前進を開始したが、先行集団は楽な手応えのまま直線に入りスパートをかけると、後続との差が一瞬さらに開いた。前を行くシャインエスカーダが逃げ込みを狙うが、そこに襲いかかったのが、道中は2頭の直後につけていたガルボだった。

ガルボは2頭を交わすとさらに加速し、最終的には②着に逃げ粘ったシャインに3馬身差をつける圧勝。

キョウエイアシュラは⑩着、ピサノユリシーズは⑪着、メイショウカンパクは⑬着と、人気どころはそろって大敗。しかし、これまでの実績や近走の成績を考えれば、前走でG1の朝日杯FS④着だったガルボが勝ったことを含め、まさかの結果とは言えない印象がある。

確かに、先行馬有利の流れになるという展開に恵まれたところはあったかもしれないが、ガルボが繰り出した末脚は上がり3F34秒6で、これはメンバー中で3位。最後は抜け出したこともあり、本気で追っていないように見えたにも関わらず、多くの差し、追い込み勢よりも速い上がりを使っていた。この走りを見ては、もはやその実力を誰も疑いはしないだろう。

前述したように、昨年に続いてマンハッタンカフェの産駒が勝利。同産駒は1月5日のジュニアC(3歳OP特別)でもハンソデバンドが勝っている。2年連続のリーディングサイアーに向けて幸先の良いスタートを切ったと言えるし、今年のクラシック戦線も大いに盛り上げてくれそうだ。

ちなみに、かつていちばん容姿が似ているということで、ドラマの中で父親のサンデーサイレンス役として起用されたこともあるマンハッタンカフェ。勝ったガルボは美浦・清水英克厩舎所属だが、今年で44回目を迎える歴史あるシンザン記念において、関東馬が勝利するのは実に初めてのこと。

サンデーサイレンス産駒は数多くのジンクスを破っていたが、マンハッタンカフェも産駒がそういった記録を打ち立てるあたりは、父譲りといったところなのかもしれない。