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先人たちが残した「格言」は、確かに現代にも生きていた
文/編集部

「格言」とは、処世術や生き方についての教えや戒めとする言葉。頻繁に耳にしすぎるために逆に忘れがちとなる「格言」は、確かに現代にも生きていることを思い出させるレースだった。

年明け最初のG2戦として開催されたこのレース。昨年の覇者テイエムプリキュアインティライミなど、G1戦線でも活躍してきた重賞勝ち馬も出走してきたが、1番人気は前走オリオンSで準オープンを勝ったばかりの4歳馬トップカミングが推された。2番人気は、昨秋に4歳でオープン入りし、エリザベス女王杯5着、愛知杯3着した5歳牝馬のメイショウベルーガ。実績よりも近走での勢いが重視される格好になった。

レースはスタートから最軽量50キロのドリームフライトが出ムチを連打して先頭へ立ち、速い流れとなった。テイエムプリキュアも押されてはいたが、昨年ほどの出脚がなく3番手から。インティライミが2番手に付け、トップカミングメイショウベルーガ、重賞3勝でもっとも重い斤量(57.5kg)を背負ったサンライズマックスなどは後方から進んだ。

1コーナーを回ってからもペースは緩まず、1ハロン12秒台前半のラップが並ぶ。前半の1000メートル通過は58秒9で、この距離のレースとしてはかなりのハイペースになった。

ようやく12秒9までペースが緩んだのは3コーナーの坂の上りだったが、そこでは最後方にいたキングトップガンが2番手まで押し上げてきて、ペースが緩むのを阻む形になった。3~4コーナーでの坂の下りでは、当然ペースを緩めることができない。前にいた馬たちにとっては、どうしようもない厳しい展開になった。

最後の4ハロンのラップは12.1-11.9-12.1-11.8。京都の外回りは坂の下りから加速する馬が多いため、例年のこのレースは最後の1ハロンが遅くなるケースが多かったが、今年は最後の1ハロンまで加速していたことが分かる。

レースを見直してみると、メイショウベルーガの池添騎手がムチを入れたのは直線入り口で、そこまでは若干仕掛けただけで、ほぼ持ったままだった。

3着のレッドアゲートも直線に向くまで追い出しを我慢しており、上位に入った牝馬のレース運びは、かつてはよく耳にした「淀の坂はゆっくり上って、ゆっくり下る」という格言そのまま。京都外回りの鉄則と言われてたこの格言を、久しぶりに思い出すレースだった。

勝ったメイショウベルーガは明け5歳。カンパニーなど、高齢馬が活躍して当たり前になった現代にあって、5歳は「まだまだ若手」という気さえする。

メイショウベルーガは、芝では1800mより短い距離の勝ち鞍がなく、マイルは新馬12着、準オープン3着があるのみだが、今の充実度ならヴィクトリアマイルでも好勝負が可能なのではないだろうか。池添騎手も「まだ上を狙える」とレース後に話しており、今後が楽しみになった。

ところで高齢といえば、10歳馬ゴールデンメインが5着に入ったのも地味ながら大記録と言えるだろう。グレード制導入後、10歳馬が平地重賞で掲示板に載るのはわずか5回目(すべて08年以降の記録)で、G2では08年中山記念のアサカディフィート(5着)以来2回目になる。

ちなみに、このゴールデンメインもおっつけながらの追走ではあったが、追い出しは直線まで我慢していた。何歳になっても、先人の教えを尊重するのは大事なこと。若干ムリヤリだが、人間にも当てはまるのではないだろうか(笑)。