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JBBA静内種馬場、アロースタッド、レックススタッドの種牡馬展示会が行われる
取材・文・写真/村本浩平
いつしか「内国産種牡馬」という言葉が競馬界から消えたのと、ほぼ時を同じくして、輸入種牡馬が生産界の構図を変えることも無くなった。 昨年の総合サイアーランキングで5位となったのはハービンジャー。実は欧州産馬のトップ5入りは2003年のトニービン(4位)以来ともなる。
近年、生産界は新種牡馬ラッシュが起こっている。その一因となっているのは、好調なセリ市場がもたらした生産頭数の増加。また、地方競馬の好況により、地方向きと言われる「ダート系種牡馬」の需要も高まっている。
そんな中でJBBA静内種馬場が、今シーズンから導入したのがデクラレーションオブウォー(牡10)。父War Front(母の父Rahy)のアメリカ産馬で、現役時はヨークインターナショナルS、クイーンアンSとG1・2勝を含む13戦7勝。2014年にアイルランド、2015年にはアメリカで種牡馬入りしており、初年度産駒は現3歳を迎える。
▲デクラレーションオブウォー
熱心なPOGファンの方なら周知されていることかもしれないが、実は昨年のPOG取材でも、数頭のデグラレーションオブウォー産駒が取り上げられていた。当時は「綴りはどう書くのだろう?」なんてことが気になっていたが(笑)、それでも仕上がりの良さやスピード能力の高さなど、産駒たちは育成牧場の方からも高い評価を受けていた。
実際に産駒たちは日本の競馬でも早期デビューから、馬券に絡むような活躍を見せていくのだが、海外では仏2000ギニーを制したOlmedoなど、ステークスウイナーを数頭送り出しており、このまま海外で繋養され続けていれば、国際的な名種牡馬となった可能性もある。
動きは力強さと敏捷さを兼ね備えており、また産駒の好馬体も父譲りであることを、目の当たりにして理解が出来た。今年、JBBA静内種馬場で一番の人気を集めることは間違いないだろうが、来年に誕生する産駒たちは、この後、更に高まっていくであろう父の評価を追い風に、マーケットでも好調な売れ行きを示していくに違いない。
5頭の新種牡馬がスタッドインしたアロースタッド。その中には芝中距離界で安定したレースを続けたヤマカツエースや、芝のスプリント重賞で幾度となくしのぎを削り合ってきた、ダンスディレクターにネロなどがいるが、輸入種牡馬として導入されたのが、アメリカ産馬のシャンハイボビー(牡9歳、父Harlan's Holiday、母の父Orientate)となる。
▲シャンハイボビー
シャンハイボビーは2歳のデビュー戦を制すると、そこから連勝を重ねながらホープフルS(G2)、シャンペンS(G1)、そしてBCジュヴェナイル(G1)にも優勝。その年のエクリプス賞2歳牡馬にも選出されている。
引退後の2014年からアメリカで種牡馬入りし、2015年にはシャトルでブラジルで種付けも行っている。アメリカではフレッシュサイアーランキングの4位となっただけでなく、シャトル先となったブラジルでは数頭のG1馬も送り出している。
父の残した競走成績が物語るように、産駒もまた、仕上がりの早さと短距離向きと言えるスピード能力の高さを武器に2歳戦から勝ち鞍を量産してくれそうだ。実際に日本でもハクモクレンとマリアズハートがメイクデビューを勝利しており、産駒数の増加につれて、その傾向はより顕著となっていくことだろう。
レックススタッドでは6頭の新種牡馬が導入。その中には名種牡馬×名牝系の組み合わせも多く見られ、ディープインパクトとアメリカ年度代表馬の母アゼリとの配合馬となったロイカバード、キングカメハメハと名牝レーヴミストラルとの間に誕生したレーヴミストラル。また、ディープインパクトやレイデオロを送り出したウインドインハーヘアの牝系の出身となるアグニシャインは、本邦初のハービンジャー後継種牡馬となった。
レックススタッドが導入した輸入種牡馬がビーチパトロール(牡6、父Lemon Drop Kid、母の父Quiet American)となる。現役時は19戦5勝。3歳時にセクレタリアトS(G1)を勝利しているものの、充実期を迎えたのは4歳を迎えてからで、この年にはアーリントンミリオン(G1)やジョーハーシュ・ターフクラシックS(G1)を勝利。BCターフではTalismanicの2着。ターフクラシックSでもYoshidaの2着となっている。
▲ビーチパトロール
現役時の勝ち鞍は芝10ハロン~12ハロンと、アメリカの芝中長距離を沸かせてきたビーチパトロールであるが、それも馬体を見て頷けた。決して大きくはないものの、四肢が軽くて、脚元は柔軟。冬の日差しに黒鹿毛の毛色が生える姿をどこかで見たことがある、と思っていたところ、マイクを持っていた(株)レックスの関係者から、
「ステイゴールドのような印象を受けます」
との言葉を聞いて合点がいった。ビーチパトロールのイメージとしては、ステイゴールドを初めとするサンデーサイレンス系種牡馬と考えた方がいいのかもしれない。そのサンデーサイレンス系種牡馬ほど、勝ち気では無いのかもしれないが、その分、距離のある条件で安定したレースを見せてくれそうだ。サンデーサイレンスの血を引く繁殖牝馬との相性も良さそうなだけに、ゆくゆくはクラシック戦線を沸かすような産駒も期待出来そう。なんと種付け料は受胎条件の80万円と非常にリーズナブルであり、繋養初年度から多くの繁殖牝馬を集めてくれそうだ。
レックススタッドの展示の大トリではスクリーンヒーローが姿を見せた。勿論、輸入種牡馬では無いが、繁殖牝馬を選ぶことなく、自らの優れた能力を強く産駒に伝えることで、モーリスを筆頭に様々な活躍馬を送り出している現在の状況は、生産界の構図を変えつつあるとも言える。そのスクリーンヒーローは今年で15歳。モーリスやゴールドアクターに続くG1ホースが、そろそろ出てきそうな気がしてならない。
▲スクリーンヒーロー