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「這い上がりたい」と語る柴山騎手を今後も応援したいと思います
2010.3.25

先週は、ノボパガーレの全妹にあたるノボチャンがデビューを果たし、4着となりました。僕的には、よく頑張ってくれたと思っています。

兄もデビュー前は、どうやっても半マイルから時計になりませんでした。どういうことか説明しますと、進んで行かず、5ハロンからいわゆる15-15とならず、それ以上に遅いタイムとなってしまう状態だったのです。実質的に、時計となったのは4ハロンからということでした。

そういう状況でしたので、ブッチャけ、初戦は走らないだろうと思っていたら6着に健闘してくれました。妹も同じような感じでしたので、正直言って厳しいだろうと思っていたのです。

攻め馬では動かないものの、競馬に行くと変わるという部分が、この血統の特徴なのかなと思ったりもするのですが、体つきやハミの取り方、あるいは体の使い方など、パガーレにそっくり。

ノボチャンとパガーレは似ていますが、兄弟でも似ていない馬たちもいますし、そういう部分に、兄弟を手掛けられる楽しさを感じるんですよね。

さて、対談の方は、先週まで4週に渡ってお送りしてきた柴山騎手との回が今週でラストになります。それではどうぞ。

[柴山雄一騎手(以下、柴)]まだ笠松所属だった時、遠征してきた地方馬に芝のレースで騎乗して、確か新潟だったと思うけど、直線でステッキが3回空振りしました。

[西塚信人調教助手(以下、西)]あっ、そうなんだ。

[柴]完歩が速くて、リズムが合わなかった(苦笑)。体が馬の動きに遅れてしまうのですよ。衝撃的でしたし、恥ずかしかったです。

[西]そこまでリズムが違ってくるのですね。

[柴]単純にスピードが出れば、馬の動きもそれに伴い速くなるということだからね。いやぁ、遅れてしまいましたよ。

[西]僕たち、競馬に乗ったことがない人間にはわからないのですが、移籍された当時といまで、追い方を含めたテクニック的な部分で大きく変えたところはあるのですか。

[柴]ほとんどありませんね。ただ、変えたいと思う部分はありますよ。道中の姿勢だったり、バランス的に後ろに乗らず、もっと前で乗りたいなど、変えていきたいと思ってはいます。

[西]追い方はどうですか?

[柴]追い方ということでは、具体的にはないかなぁ。

[西]ただ、「追い方が変わった」と言う人たちがいたりするんですよね。

[柴]確かに、よく言われますね。

[西]具体的にはよくわからないのですが、言われると変わったかなぁという印象はします。JRA対応になったのですかね?

[柴]自分のなかで変えた意識はないのですが、スムーズに乗りたいという意識は強くなっているとは思います。以前だったら、力ずくという感じで乗っていたかもしれません。

[西]そうですよね。たぶん、僕だけじゃないと思うのですが、柴山さんというと、パワフルというイメージが強い。『パワフル柴山』ですよ(笑)。

[柴]そうみたいですね(笑)。僕自身も、そこを崩すことなく、さらにしなやかに乗り、追うことができるようになりたいと思うのですよね。


[西]JRAだと、多くの新人騎手がデビューする時などに武豊騎手を目標に掲げますが、柴山さんにとって、目標というか、お手本の騎手は誰だったのですか?

[柴]僕で言えばアンカツさんだったり、デットーリ騎手など外国人だったりしましたね。

[西]そう言えば柴山さんは外国人っぽいですよね、顔が(笑)。

[柴]まったく関係ないでしょう(笑)。

[西]芝とダートでは、やはり違うんでしょうね。

[柴]そうですね。芝の方が、軽い分、敏感であるという感覚はありますね。

[西]扶助に対してということですよね。

[柴]そうです。

[西]極端な言い方をすれば、ポリ(ポリトラック)の角馬場とチップ(ウッドチップ)の角馬場でさえも、扶助の大きさもそうだし、馬の動きそのものが違いますからね。

[柴]そういうことですよ。

[西]なるほど。地方交流に行くと、それぞれの競馬場によって空気というか、雰囲気が違うなぁと感じます。騎手の人たちの乗っている姿とかも違ったりしますし、それこそ追い方も同じ地方の方でも違っていたりするという感覚があります。

[柴]それはあるでしょう。例えば、笠松で言えば、アンカツさんがいて、中央の乗り方を意識して乗っていたことの影響は大きかったですよね。アンカツさんが中央に乗りに行くようになってから、長手綱で乗ったり、踵を上げて乗ったりするようになりましたから。それまでは、踵を下げて、後ろの重心で抱えるように乗るのが主流だったんですよね。

[西]アンカツさんの影響を受ける形で、だんだん変わっていったのですね。

[柴]みんなが真似し始めますし、それまでよりも中央の競馬を見るようになっていきましたよ。

[西]中央と地方の騎手の方の違いで言うと、西塚厩舎の時に騎乗をお願いしていて、歩様の硬さなどをそれほど気になさらないのかなという感覚を覚えます。中央と地方では違ったりしますか?

[柴]感覚的な違いは、あるように思います。ただ、芝とダートの違いもありますし、それこそ求められるスピードの違いもありますから、簡単に比較はできないですけどね。

[西]ブッチャけますと、歩様などに対して許容範囲が広いというか、ストライクゾーンが広いように思えるんですけど、どうですか? 中央に来た頃の感覚と、いまでは変化があったりますか。

[柴]それは変わりました。歩様の感触だけで言えば、昔の感覚では大丈夫だとしても、同じダートでも地方よりも砂が浅いですから、それだけスピードが出るので、故障する確率が高くなるんですよ。実際、大丈夫だろうなと思っていたのに、故障してしまったというケースも経験しましたし、やはり感覚は変わってきましたよ。

[西]中央の騎手の方々が、『これは危ない』という警告を鳴らす意味というか、感覚はわかりますか。

[柴]わかりますね。以前は、たとえ歩様が悪くても、依頼してもらった以上は何とかしなければならないと考えていた。ただ、わかっていながら、競馬をすることで壊してしまうこともある。最悪のケースはそれで命を落とさざるを得ないこともあって、俺が壊したんだという気持ちにもなるし、その手前で止めておけば、命を落とすことはなかったかもしれないわけですよね。あと、競馬はひとりでやっているわけではないわけで、自分だけではないのです。

[西]そうですよね。いやぁ、本当に安全は重視されるべきですよ。

[柴]競馬ですから、いくら注意していたとしても故障してしまう可能性はあります。騎手の立場から言わせてもらうと、あってはほしくありませんが、もし馬の故障によって落馬をしてしまったなら、仕方がないと思って割り切るしかないのです。ただ、やはりできる限り危険は回避されるべきと思うのです。

[西]話は変わりますが、金沢に移籍したノボプレゼンスに乗ってもらいましたよね。

[柴]行ったね。

[西]中央で勝てず、地方で勝って戻したくて、ちょうどフレンチムスメが走る交流レースの日に出走させてもらって、乗ってもらったんですよね。

[柴]ノボプレゼンスの方が気合いが入っていたよね(笑)。

[西]そんなことはありませんよ(笑)。でも、同じ1勝でも、柴山さんが手にした賞金は1万円ですからね。差を感じました。

[柴]笠松のときに、その開催で一番高い賞金が210万円くらいだったはずですから、中央の未勝利戦が重賞という感覚かな。

[西]そう言えば、あのフレンチムスメに乗ってもらった時も、柴山さんは汗取りしていらっしゃいましたよね。

[柴]軽かったんだよ。前日から入って汗取りをしようと思ったら、飛行機が飛ばなくなってしまって、当日ギリギリに着いたんだ。そうしたら、パドックで足をあげながら、『柴山さん、カニ食いました。カニ』とか言ってたよね、幸せそうな顔をして(笑)。

[西]そんなことはないですよ(笑)。でも、金沢は大好きです。食べ物はおいしいし、酒はうまいですしね。でも、あの時、朝早く起きて、引き運動をビッチリしたんですからね。

[柴]あっ、そうだったんだ。でも、本当に幸せような顔をしていたよ(笑)。

[西]そうですか(笑)。いやぁ、すっかり遅くなってしまいました。普段ならもう寝ていらっしゃる時間帯なのに、本当にありがとうございます。最後にこれからの目標などをお聞かせ願えればと思います。

[柴]そうですね……這い上がりたいですね。

[西]這い上がってほしいですよ。こういう言い方をしたら失礼かもしれませんが、初年度にあれだけ勝っているのに、そこから下がっていってしまっている。いろいろなことがあったのでしょう。でも、何とか這い上がってもらいたいですよ。

[柴]いや、失礼でも何でもないですよ。その通りで、這い上がっていくしかないですよ。これからも、地道に地というか、足元を固めていきたいと思うんですよ。初年度はたくさんの方々に応援していただき、勝たせていただきましたが、いま思えば、まだ何も分からず、固まっていない状態だったのです。地道に頑張って、信用を得て、本当の意味での信用を得ていきたいと思うのです。そして、やはり上に行きたいと思って地方から来たので、目指して頑張っていきますよ。

[西]本当に、もう一度這い上がる柴山さんを待っていますので、頑張ってください。また、機会があったら、ぜひ登場してください。今日は本当にありがとうございました。

[柴]こちらこそ、また機会があったらぜひよろしくお願いいたします。ありがとうございました。


今回の対談はいかがだったでしょうか。

厩舎が隣だったということで、これまでにも交流はあったのですが、今回対談をさせていただいて、改めてその真面目さが印象強かったです。

生意気な言い方に聞こえるかもしれませんが、JRAと地方では、良い悪いは別にして、様々な面において感覚の違いがあるのが現実でしょう。

少なからず、そういう部分に戸惑いを感じられたでしょうし、苦労されたこともあったはずと想像します。

1年目の活躍を、まだ何も分からず、固まっていない状態だったと振り返られていましたが、その言葉こそ、勝手ながら柴山騎手が新たに兼ね備えた力なのかなと思いました。

柴山騎手なら、必ず再び這い上がってくれると思いますし、陰ながら応援させていただきます。

さて、来週からは、桜花賞に出走するギンザボナンザをはじめ、活躍馬を多く輩出する池上厩舎の池上昌和調教助手との、『ジュニア対談』をお送りさせていただきます。

ギンザボナンザのことを始め、この世界に入るきっかけなど、ディープな話へと展開していきますので、どうぞお楽しみに。

ということで、最後はいつも通り、『あなたのワンクリックがこのコーナーの存続を決めるのです。どうかよろしくお願いいたします』。