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池上厩舎が躍進した要因とは何か? 聞いてみました!
2010.4.22

先週、雪で代替開催となった月曜日の福島でノボジュピターが勝ちました!

状態としては良い意味で平行線という感じで、安定していたんですよね。今回の対談の中でも「ラッキーダート1700」という話をしているのですが、前2走は相手が強かったということもあり、今回はある意味で力通りだということも言えると思います。

2週連続でノボの馬たちが勝ったということで、久々の『ノボマツリ』という雰囲気になりつつあります。

さて、今週は、池上昌和調教助手との対談の最終回となります。それではどうぞ。

[西塚信人調教助手(以下、西)]今回、池上さんに出ていただこうと思ったのは、下剋上を達成されているからだったのですが、厩舎の成績を改めて調べさせていただいたところ、西塚厩舎とは違って零細じゃなかったんですよね。どうも、失礼しました。

[池上昌和調教助手(以下、池)]いや、でも、(年間)1勝という年があったはずです。

[西]馬房に馬がいないという状況はありませんでしたよね?

[池]そこまでの状況はありませんでしたが、当時はいまのように60頭枠ではなく、34頭枠の時代でしたからね。もし、そのままひと桁勝利が続いてしまっていたら、廃業に追い込まれていたはずです。

[西]でも、1勝だった次の年に9勝になっていたりしますが、なぜこういう神業ができたのですか。

[池]僕自身はトレセンに入ってきていなかったのですが、(1勝の年は)故障馬が続出したようです。預託可能頭数が34頭という状況で、5~6頭が故障してしまうと、一気に影響が出てきますよね。まあ、それ以外にも様々な要因があったようですが、それにしても、1勝というのはひどいでしょう。

[西]それはそう思いますけど、でも、逆に9勝というのは凄いですよ。

[池]でも、当時から「馬房数を勝ってこそ一流厩舎」だと言われていましたよ。一般的な厩舎で言えば、20勝ということですよね。

[西]それが2005年には31勝ですよ。押しも押されぬ一流厩舎になったわけで、語弊があるかもしれませんが、まさにこれこそ下剋上というか、サクセスストーリーでしょう。

[池]幸運にも31勝という成績を残すことができたのですが、良い馬を預けてくださるオーナーの方々をはじめ、スタッフなど多くの方々の協力があったからこそです。あと、僕が入った翌年から60頭枠(馬房数の3倍枠)が実施されたことも大きかったと思います。数多く預託していただくことで、競馬へより多く出走させることが可能になりました。

[西]言い方は適切じゃないかもしれませんが、34頭と60頭の差は、同じ1勝ずつを並べた時に、34勝と60勝の違いになるということですからね。

[池]極端な言い方をすれば、そういうことです。そのような部分も含めて、歯車が上手く噛み合った部分がありました。

[西]西塚厩舎の時も、12~13勝というのは、上手く噛み合いさえすればできそうな気になりましたが、31勝という数字は想像が付かない世界です。

[池]31勝の時は、それまでよりも良い馬をお預かりさせていただけるようになっていたことが大きかったです。オーナーの方々にチャンスをいただけたということが何よりです。それと、身内を誉めるわけではないのですが、調教師も頑張ったと思います。あと、正直、怖いくらいにすべてが上手くいきましたよね。

[西]ブッチャた言い方になるかもしれませんが、想定外の勝ち星というか、何か幸運があっての勝ちというものもあったのですね。

[池]4~5番人気という感じで、何か上手くいき、幸運に恵まれたら勝てるという状況で、ほとんど勝てましたよね。上手く行き過ぎて怖いと思ったこともありました。

[西]当時は番組などを考えることでカバーできた部分もあったように思うのですが、そういうこともありましたか?

[池]ありましたね。いまは他の厩舎もいろいろと考えて策を講じてきますから難しいですけど、企業戦略と言ったら格好良過ぎるかなぁ、弱い番組を選んで出走することで勝ち星を稼ぐことができる状況が、いまよりも多かったですよね。

[西]僕が助手になった時でも、まだ交流競走とかにおいしいレースがありました。最近はないですよね。

[池]そういうことですよ。いろいろ考えて、いろいろやりました。

[西]ダート1700mを使える馬がいると良いというか、番組選びがポイントだと思いますよ。「ラッキーダート1700」ですよね(笑)。あと、「ラッキーダート1000m牝馬」ですよ。

[池]ある、ある(笑)。

[西]でも、そこまで勝って、実績を残しても、池上さんが驕らない感覚をお持ちなのは立派だと思います。

[池]これで良いということはないですからね。何とか成績を残すことができるようになって、新たに預けていただけるオーナーの方々もいらっしゃいます。もし、僕がその立場だったとしたら、いきなり期待馬は預け難いと思うんですよね。お預かりした馬の能力を十分に引き出していくことで、ウチを分かっていただいていくようにと考えていて、反対に、いつ引き上げられてしまうか分からないという意識は常にありますよ。


[西]でも、普通、1勝という成績から31勝まで登っていったら、調子に乗ってしまうものだと思いますよ。池上さんが変わらないでいるのは凄いです。

[池]ただ、例えば25勝が20勝というように、少しであっても成績が下がったとします。厩舎サイドとしては、下がった理由について分かっているのですが、外から見ると「なんだ、成績が下がったな」ということになるのです。そうなると、すぐに仕入れに影響する可能性が出てくるということですよね。

[西]僕は、そう考えられるのが凄いと思いますよ。そういう想像力であったり、感覚を持ち続けるというのは簡単じゃないと思いますし、才能だと思いますよ。

[池]ありがとうございます(笑)。でも、毎年、次々と新しい厩舎が開業している状況ですから、やはり気を引き締めて、引き締め過ぎるということはないと思うんですよね。

[西]言葉は悪いですが、ババ抜きですよね。毎年、新しい厩舎が開業する一方で、どこかが廃業していく。その繰り返しが行われているのが、いまのシステムですから。

[池]10年前とはシステムも変わりましたし、それこそ日本社会全体がドラスティックな変化を遂げていますが、リーディング上位がガラッと変わっているのが実情です。

[西]間違いないですね。藤沢先生をはじめとするいくつかの厩舎以外は変わってしまっていますよね。でも、ブッチャけてしまいますが、勝てば官軍じゃないですけど、良い成績を残すことができれば、ウチの厩舎はすごいって錯覚してしまうものだと思いますよ。

[池]ウチのスタッフたちとは、「自分が勝たせた」と思わないようにしなければならないという話をするのですよ。確かに、みんな努力をしていますし、頑張っているのですが、それ以外の要因もたくさんあっての結果です。獣医の注射のお陰かもしれないし、それこそ馬運車が無事に事故もなく、競馬場に辿りつけたからこそ競馬を走ることができるわけですからね。

[西]そうなんですよね。外から見れば、『またぁ、綺麗ごとを』と言う人がいるかもしれませんが、ひとつ勝つというのは決して簡単じゃないですからね。偉そうに言ってますが、僕自身も最近痛感しています(笑)。

[池]それこそ生産牧場で、育成牧場で、しっかりと育てられてきたからこそ、競走馬になることができているわけですよ。プライドを持つというのは大切だと思います。『頑張ったんだ』という思いは大切ですが、それだけではないはずで、『俺が』だけでは駄目だということです。

[西]今日、お話をさせていただいて、池上厩舎の好成績はこれからも継続されていくと思いました。

[池]そうなるように努力あるのみです。先ほども話したように、毎年、次から次へと新しい厩舎が、若い先生方が開業していく中で、池上調教師は年齢を重ねていっているわけですよ。ウチの先生だけ若いままということはありません。みなさんに協力をいただいて、何とか成績の面を維持できたとしても、毎週、北海道、福島、あるいは近郊の育成牧場と飛び回るというのは、本当にハードです。定年の70歳まで頑張って続けなければならないことを考えると、厳しいと感じることもありますが、できる限り頑張っていきますよ。

[西]いや、今日は本当にありがとうございました。もっとお話をしたいのですが、明日もありますので、またの機会にお願いしたいと思います。個人的には、競馬場の助手控室でまたゆっくりとお願いしたいですね(笑)。

[池]こちらこそ、また何かありましたら、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。


いかがでしたでしょうか。

ブッチャけさせていただきますと、池上さんは高学歴や英国での経験などもあって、パッとした見掛けとしてはエリートという印象を持っていました。

しかし、話をしてみると嫌味を感じるところがまったくなく、本当に気さくで、一緒に酒を飲んでいて楽しい、そういう人であることがよく分かりました。

同じジュニアとして、ウチは父が志半ばで厩舎を閉じましたが、池上さんにはぜひ池上厩舎を最後まで、いまの勢いのままで頑張ってほしいと思います。

さて、実は、個人的にはみなさんから『写真を観たぞ』というメールがたくさん届くことを楽しみにしていたのですが、それほどでもありませんでした。ブッチャけ、寂しさを感ずにはいられません(笑)。

そうです、最後のオグリキャップ産駒となるミンナノアイドルが新聞に写真入りで掲載されたのです。

そこに乗っているのが私なのですが、周囲からは『負荷が掛かり過ぎじゃないか』とか『馬が小さくみえるな』などという指摘もありました。そんなことはないと確信しております(笑)。500kgを超える馬体ですからね。

ミンナノアイドルは、ここまで順調に攻め馬を進めてきていて、馬自身とても頑張っていますよ。少しトモが甘いところはありますが、そこを特に気を付けて進めていけば、まずは競馬に出走するところまではいけそうな感触を、個人的には受けています。

またゲート練習もやっているのですが、素直ですし、来週後半には試験を受けることになるでしょう。

どうか、ミンナノアイドルともども、応援をよろしくお願いいたします。

毎週、対談という形式でお送りしているこのコーナーですが、みなさんからの質問にお答えできていないこともありますので、来週は対談をお休みして、質問などにお答えしたいと思います。どうぞメールをお送りください。よろしくお願いします。

ということで、最後はいつも通り、『あなたのワンクリックがこのコーナーの存続を決めるのです。どうかよろしくお願いいたします』。