他人と思えない菅原騎手には、本当に頑張ってほしいと思ってます
2010.9.16
先週から中山開催が始まり、初めて家族と一緒に中山競馬場へ行ってきました。
パドックで馬を引いたりしたのですが、まだ暑くて、暑くて(苦笑)。帰りに親父の墓参りをして帰ってきたのですが、まだ夏だなあと思っていたところ、今日は物凄く涼しく、一気に秋になりそうですね。
先週末は、ヴィクトワールピサとナカヤマフェスタがフランスで凱旋門賞へ向けてのトライアルを走ったわけですが、寝ずに応援しましたよ。
2頭とも久しぶりの競馬でしたし、さらには異国の地での競馬でもあり、そのような状況を考えれば、次に向けて楽しみでしょう。
ただ、個人的には、両馬とも4コーナーの手応えを見た時には「勝った」と思いました。みなさん、そう思いませんでしたか?
あれだけの手応えだったら、日本なら突き抜けてくるはずだと思ったのですよ。そのあたりも、違いのひとつなのかなぁ。
とにかく、一度競馬を走ったことで、慣れる部分もあるでしょうし、状態面での上積みも見込めるとするならば、期待できますよね。ファンのひとりとして、本番を楽しみにしたいと思います。
さて、今週は、菅原騎手との対談の最終回になります。それではどうぞ。
西塚信人調教助手(以下、西)これは聞き難いことでもあるのですが、まだここまで未勝利ですよね。同期が勝ったりしていて、焦ったりという気持ちはやはりあるものですか。
菅原隆一騎手(以下、菅)もちろんありますよ。ただ、ここまで来たら焦っても仕方がないという気持ちもあります。どちらなんだと言われても、どちらもあるというのが本音です。
[西]気休めにならないかもしれないけど、活躍している先輩たちの中にも1年目はダメだったという人はたくさんいるからね。あの大庭さんも0勝だったから。アイツが良い例えになるかどうかは分からないけどね。
[菅]ありがとうございます。頑張ります。
[西]僕は分からないんだけど、ウチの矢原さんもマユちゃん(黛騎手)も、「勝った感触が忘れられないから頑張れてしまう」ということらしいね。
[菅]勝っていない僕が言うのは変ですが、なんとなく分かります。模擬レースで勝つことができたのですが、物凄く気持ち良かったですから。試験を兼ねていたのですけれど、あまりの嬉しさにガッツポーズをしてしまいました(苦笑)。
[西]矢原さんは何年ぶりかに勝った記録を持っている人ですが、やはり勝った感覚が忘れられないって言っていた。辛い日々に辞めたくなるらしいんだけど、あの感覚が頑張らせてしまうようです。なので、ぜひ一日も早く味わってください。
[菅]味わいたいです。
[西]師匠である保田先生はどんな人ですか。僕たちから見ると、やさしい人だという印象がとても強いのですが。
[菅]とてもやさしいです。でも、仕事の面では厳しいです。
[西]菅原君を育てたいという思いからなのだろうね。競馬をあがってきて、怒られたりすることってあるの?
[菅]あります。「前々で競馬をするように」と言われたことがあって、その通りにしたら、結構ペースが速くなったのです。それでも付いて行っていた時には、かなり怒られました。「前にただ行けばいいのではなく、ペースを考えて臨機応変に対応できるように考えて乗りなさい」と言われたのです。
[西]なるほど。実際に騎手になってみて、見ていた時と実際にやった時とでは、かなり違いますか?
[菅]全然違います。見ていたら簡単そうに思えたものが、やってみたら本当に難しかったりします(苦笑)。
[西]「何でそこへ入っていかないんだ」とか、「そこで外へ出せ」とかね(笑)。
[菅]視界が全然違います。
[西]あのスペースに入っていくというのは、手応えがないと入っていけないよね。
[菅]そうですね。あとは、見ていては広く見えるスペースであっても、実際に肉眼で見ると、全然違いますから。アブミとアブミがぶつかるくらいでスペースがある、という感じだと思います。
[西]逆に言えば、1頭分あるかないかという時には、それ以上に狭いってことなんだろうね。
[菅]そうですね。本当にぶつかるスレスレを入っていく感じなのです。
[西]いやぁ、そう考える競馬に乗るということは凄いわ。あっ、あと、ヤジの洗礼は受けた?
[菅]それなりにあります。
[西]金返せ(笑)。
[菅]まだそれはありません。
[西]そうですか。まあでも、週末に競馬場にいないと寂しいから、これからも頑張ってね。
[菅]本当にひと鞍でも多く乗りたいです。そのため、とにかく調教で声を掛けてくださる厩舎の攻め馬を手伝わさせていただくことだと思っています。
[西]そうだよね。最後に、目標とする騎手に武豊騎手を挙げていらっしゃいますよね。
[菅]はい。僕が言うのも失礼ですが、馬、そしてペースに合わせて臨機応変、あるいは変幻自在なレースぶりをされていて、本当に凄いと思います。
[西]騎手になってから(武豊騎手と)話をした?
[菅]挨拶をするので精一杯です。
[西]そうなんだ。俺もミーハーだから、武豊騎手に乗ってもらう時には何かドキドキしちゃったりしたよ。芸能人に会う感覚だよね。
[菅]そうかもしれませんね。
[西]じゃあ、武豊騎手のように、馬に合わせて変幻自在なレースができるジョッキーを目指して頑張ってください。
[菅]ひとつでも多く、そして早く勝てるように頑張ります。
[西]今日は本当にありがとうございました。
[菅]こちらこそ、ありがとうございました。
いかがだったでしょうか。
菅原騎手は、父である隆明さんが祖父の厩舎に所属していたこともあり、他人とは思えない存在なのですよね。今回改めて話をしてみて、本当に真面目で、一生懸命な若者だということがみなさんにも分かっていただけたのではないでしょうか。
まだ初勝利の知らせは届いていませんが、トップジョッキーの方々の中にも1年目は良い成績が残せないどころか、どん底だったという方々がいらっしゃいますからね。
それに、まだ菅原騎手の騎手人生は始まったばかりで、これからですよ、これから。騎手としてのキャラも確立されていないわけですし、とにかくこれからも真面目に、一生懸命頑張っていってほしいと思います。
俳優と騎手という二者択一で、迷わず騎手を選んだわけでもありますから、いやぁ、本当に頑張ってほしいです。
さて、来週は、預託料に続いて、我々の収入のひとつである進上金について、お話をさせていただこうと思います。
ということで、最後はいつもの通り、『あなたのワンクリックがこのコーナーの存続を決めるのです。どうかよろしくお願いいたします』。