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畠山重則厩舎の畠山雅之調教助手との対談をお送りします!
2011.9.15

先週は、日曜日の札幌3レース(3歳未勝利戦)でプラネットが勝ちまして、我が尾関厩舎にとって11勝目を挙げることができました。

ただ、厩舎というのは勝てない時には、それこそ何ヵ月も勝てず、勝てない怖さということも経験していますので、浮かれていられないという気持ちの方が強いです。

それでも、今回はマユちゃん(黛騎手)でしたし、普段から一緒に仕事をしている騎手で勝てたことは、正直、また違った嬉しさがあります。最後の未勝利戦でもあって、本当に勝てて良かったぁと思いました。

この時期の3歳未勝利馬たちのなかには、ここまでレースをし続けてきていて、心身両面で追い込まれている馬たちもいます。夏の新潟は1回の競馬で普段の2走分の疲労と計算するべきだ、などと言われたりするのですよ。

今回、プラネットは札幌でしたが、8月からこの時期にかけての未勝利は、本当に生き残りをかけたサバイバルという感じです。

あと、田辺がエイシンヴァーゴウとのコンビでセントウルSを勝ちましたね。このまま行けば、田辺の手綱でスプリンターズSということになるのでしょう。馬の勢いというのもありますが、人の勢いというのもありますので、ぜひ頑張ってもらいたいですし、本当に楽しみですよ。

さて、今週からは、アルコセニョーラやコスモメドウなど、重賞勝ち馬を続々と輩出する畠山重則厩舎の畠山雅之調教助手との対談をお送りいたします。

対談のなかに出てきますが、露出が少ない人ではあります。ただ、置かれていた状況が僕自身と似ている先輩ということで、僕自身もかなりブッチャけましたので、どうぞ最後までお付き合いいただければと思います。それではどうぞ。

西塚信人調教助手(以下、西)今回は畠山重則厩舎で調教助手をされている畠山雅之さんです。今日はよろしくお願いいたします。

畠山雅之調教助手(以下、畠)こちらこそ、よろしくお願いいたします。ただ、何を話せば良いのでしょうか? 僕で大丈夫ですか?

[西]基本的には、普段、関係者の方々と酒を飲んでいる時のままを掲載させていただいています。

[畠]なにせ、グリーンチャンネルにさえ出たことがないので、大丈夫か心配です。

[西]アルコセニョーラのインタビューとかで出ていらっしゃいませんでしたか?

[畠]武士沢騎手にお願いしていました。

[西]そうでしたか。このコーナーは、あまり露出の多くない方に出ていただくのがひとつの売りでもありますので、どうぞよろしくお願いします。コスモメドウの時にもグリーンチャンネルには出ていなかったのですか?

[畠]コスモメドウの時は、先生と担当者の池田調教厩務員でした。

[西]あっ、そうでしたか。

[畠]できれば出たくありませんよ。

[西]そうですか。雅之さんにお聞きしたかったのは、最近、“ちゃんとやってます”という雰囲気の厩舎がありますよね? 言い方を換えれば、流行りのやり方をしている厩舎ですね。縦列で乗って、角馬場でハッキングして、坂路、あるいはウッドチップかポリトラックかというような…。

[畠]はい。

[西]そんななか、畠山厩舎のようにAコースとDコースを駆使する厩舎は少ないですよね。あっ、何も畠山厩舎がちゃんと仕事をしていないと言っているわけではありませんので、誤解のないように…。

[畠]大丈夫ですよ(笑)。でも、Dコースで追い切りをしたり、あるいは普通に乗っている厩舎はいますよ。


[西]僕がトレセンに入った頃は、1番乗りの時間帯ではAコースはほとんど馬がいませんでした。だから、引っ掛かる馬に乗らなければならない時は最高だったんですよ(笑)。

[畠]そう、掛かる馬はAコースですよ。

[西]攻め馬のメニューが畠山厩舎と西塚厩舎は似ていたので、よく話をさせていただいた記憶があります。

[畠]角馬場でダグを踏んでから、AコースかDコースに出て、終わりですね。

[西]そこですよ。坂路やウッドだと言っているなかで、AコースかDコースで終了なんです。Aコース2つ(2周)とか行きますか?

[畠]外でも1つ半(1周半)は行きますよ。だから、距離的には3000メートルくらいは乗っていることになりますよね。

[西]ある騎手と飲んでいた時、「やはり長い距離を乗っている馬にはかなわない」と言っていました。それにしても、「なぜチップを使わないのですか」と言われませんか?


[畠](チップを)まったく使わないわけではありませんよ。ただ、(AコースやDコースは)乗りやすいということでしょう。あまり使われていないということは馬も少ないですし、使用頻度が少ないので、先ほども言われたように、掛かる馬などには良い環境であるということです。

[西]僕的には、チップだとバランスを崩したり、脚を取られたり、あるいはトモを滑らせることもある、という感覚があります。

[畠]人によっては、「本番でもないのに、なんであんな硬い馬場で乗るんだ」というようなことを言うらしいですが、あそこ(Aコース、Dコース)で乗り込んで耐える馬は走ってきますよ。

[西]そう話す人はいますよ。実際、畠山さんのところのアルコセニョーラをはじめとして、あそこでの調教に耐えた馬は強くなるというか、走ってくるんですよね。どちらにしても、弱いところがあるからと言って坂路でしか乗れない馬は、よほどではない限り、どこかで限界が来ると思います。

[畠]ウチも、坂路もチップも使っていますし、そうすることで競走できている馬たちもいますので、それぞれの特徴に合わせて使えば良いんですよ。ただ、AコースとDコースを使用するなかで、生き残ってくる馬たちは結果を出してくれているので、効果を感じているということです。

[西]突き抜けてくる馬がいますよね。

[畠]普段も一番外のDコースで乗って、追い切りもDコースというメニューだと、馬にとってはハードでしょう。単純に1つ半で3000メートルですからね。決して楽ではないですよ。単純な話ですけどね(笑)。

[西]それは分かります。西塚厩舎では、Aコースは掛からないように、そして追い切りはチップというケースが多かったのですが、そうした時のチップでは、普通キャンターが乗れなくなってくるんですよね。

[畠]ウチでは、Dコースで掛かりそうになってやばい馬はAコースで乗るようにしていますが、基本的にはDコースですね。Aコースは掛かる馬には良いのですが、その反面、出入り口が多かったり、チップが逆回りだったということで、物見をしたりという危険な面もあるんですよね。行けるのであれば、外(Dコース)へ行って、サッと乗った方が、人だけでなく、馬にも良いように思います。

[西]運動時間とかは決まっているのですか?

[畠]決まっていません。そこまで決めてしまうと、馬たちも十馬十色で、同じではないので、どうなのかと個人的には思っています。

[西]馬にもよりますし、状況にもよりますからね。

[畠]あくまで馬の様子を見て、こうした方が良いと思ってやっているのですが、それが正しいとも限りません。もちろん、その逆もそうですが、あくまで馬の様子を見ながら、その都度対応しているのです。

[西]失礼な言い方をしちゃいますが、アルコセニョーラやコスモメドウという馬たちも、素質を持っていたから走ったのだと思うのです。ただ、それを引き出したのは畠山厩舎であって、そのスタイルに合ったということなのでしょうね。

[畠]でも、その逆もあるはずですよ。もしウチじゃなかったら、もっと走っていたということもあり得るわけだからね。

[西]マイネルさんをはじめ、転厩馬たちの活躍が目覚ましい印象があるのですが…。

[畠]せっかくお預かりすることになったのですから、何とかしたいという思いは常にありますよ。ただ、ウチに来て良い成績が出たという馬もいますが、その逆もまたあるわけですからね。

[西]ブッチャけさせていただきますけど、アルコセニョーラについては、角馬場とかで見ていて良い印象があまりありませんでした。

[畠]モガンボの肌に初年度のステイゴールドということで、あの馬は安かったはずなのですが、重賞まで勝ってくれました。ただ、ノブが言うように、青いゼッケン(重賞出走予定馬が着用するモノ)を付けていなければ、誰も分かりませんでしたね。

[西]ニコチャンマークのメンコを付けているのを見て分かったという感じでした。

[畠]ゼッケンとメンコがなかったら、分からないですよ。いつも1番乗りで乗っていて、いつも会う人たちは分かっていたようですが、普通はまず分からないです。実際、違う馬に乗っていて『それ、アルコセニョーラだよね?』と言われることはとても多かったのですが、アルコに乗っていて『それ、アルコだよね?』と聞かれたことはまずありません。

[西]僕だって、メンコで判断していました。いまでも良く走ったなぁというのが正直な感想です。

[畠]値段でも格好でもない、ということなのではないでしょうか。

[西]そういう意味では、アルコセニョーラという馬は心肺機能が良かったのですか?

[畠]ブッチャけ、あの馬に関しては、まったくそんなことを気にしたことがありませんでした。なにせ好不調さえ把握できなかったのですよ。今でも「あの馬の調子が良かった時期は?」と聞かれても、分かりませんとしか言えないですよ。

[西]それは武士沢さんも言っていました。

[畠]「尻尾を振ると調子が良い」とか言う人がいましたが、あの馬は叩けば振るんですよ。

[西]うははは、そうでしたか(笑)。

[畠]何なら叩きましょうかと思っちゃいましたよ(笑)。今だから言えますけどね。直線に向いて騎手がステッキを入れると、必ず尻尾を振りましたから。

[西]そうでした。

[畠]丈夫であったとは言えますが、最後まで好不調は分かりませんでした。常に調子が良いんじゃないかと思うくらい、分からないのですよ。調子が悪いと思っていたら競馬で良い結果が出たり、またその逆もあって、本当に分からなかったなぁ。

[西]16番人気で勝った新潟記念の時はどうだったのですか?

[畠]分からなかったね。実際、調子が良いから勝つと思って、口取り写真を撮ろうと何度も行きましたが、ことごとく裏切られました。結局、1枚も写真を撮っていません。

[西]それは凄いですね。

[畠]サマーシリーズがかかっていた時だったと思うのですが、具合が良いので『よし』と新潟まで行ったのにダメでした。いやぁ、見事なまでに裏切られましたよ。

[西]コスモメドウは、どうだったのですか? 最初から走るという手応えはあったのですか。

[畠]面白いかもしれないという感じでした。担当している調教厩務員が乗っていたのですが、「能力がありそうだ」と言い続けていましたから。

[西]コスモメドウも、もちろんDコースでしたか(笑)。

[畠]もちろんそうです(笑)。

[西]角馬場で乗ってAコース、というのは、時間が短いですよね。

[畠]あとDコースもそうだね。どちらにしても移動する時間が短い。

[西]だからといって、仕事をしていないと思われるのはシャクに触りますよね。

[畠]『あれ、もう1頭乗ってきたの?』と言われるね(笑)。

[西]角馬場で乗って、坂路へ行ってウッドチップというメニューになると、5時の1番乗りなら、ウッドチップに出てくるとだいたいの馬は5時半くらい。一方で、角馬場でダグを踏んで、Aコースを2つ半を乗って上がってくるとだいたい5時20分から25分くらいになるのですよね。

[畠]AコースでもDコースでも、1番乗りで上がってくればそのくらいの時間になりますね。

[西]そうするとサボッているというか、仕事をしていないように思われるのですよね。

[畠]40分も50分も乗っている厩舎と比べられると、そういう印象になってしまうのでしょうね。

[西]でも、40分も50分も乗っている厩舎にオープン馬がいないのに、20分か25分しか乗っていない厩舎には重賞勝ち馬がいるという現実。しかも、3600メートルのG2を勝つわけですよ。

[畠]いや、それは馬の能力が大きいし、馬が走るからですよ。

[西]でも、そうなると何でもありになってしまうわけで、そこには何かがあると考えるべきだと思うのですよ。ウッドや坂路も効果はありますし、良いアイテムであるとは思いますが、Dコースでの調教を耐え凌いでいく意味もあるはずです。

[畠]いや、キツイはずですよ。一番外をスタンド前から出て1つ半というのは相当な負荷がかかっているのでしょう。そこでへこたれないで付いてこられるのは、マイネルさんの馬たちです。

[西]あっ、そうなんですね。

[畠]そういう意味では、合っているのかもしれません。マイネルさんでは坂路で鍛えられてきているのに対して、ウチではフラットコースで乗るわけですが、変化があるということも良いのかもしれませんよね。馬たちもフラットで乗ることで新たな部分で刺激を受けることもあるでしょうし、それこそ鍛えられているからこそ耐えられるという面もあるのでしょう。

[西]そういう部分はあるのでしょうね。

[畠]マイネルさんの坂路で鍛えられてきた馬たちにとって、距離が延長されたとはいえ美浦の坂路は楽過ぎるくらいなのかとも思うんですよね。

[西]それはあるように思いますね。マイネルさんの坂路で乗られてきた馬たちと、Dコースでの追い切りがマッチするということなのかもしれませんね。

[畠]個人的にはそうなんじゃないかと感じるんですよね。

今週はここまでとさせていただきます。

ノビーズのギタリストである松岡が骨折から早くも復帰しました。日曜日に競馬場に行ったのですが、『馬には乗れるけど、エフェクターが踏めない』と言っていました(笑)。

でも、わずか1週間で復帰して、勝ち星を挙げるのですから、さすがはプロですよ。

まだ、骨そのものはついていないということなのですが、パドックを歩いている姿も、言われなければ分かりませんでしたからね。今週は3日間開催ということで、移動も増えますが、無事に頑張ってもらいたいと願うばかりです。

最後に、今週、ドリームコメットという新馬がデビューします。僕自身は乗ったことがないのですが、担当者、そして先週跨った中舘さんによると、なかなか素質を感じさせられるということですので、ぜひ応援していただければと思います。

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