新年最初のゲストはいまやトップジョッキーの田辺裕信騎手です!
2012.1.12
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
昨年、わが尾関厩舎は20勝を挙げ、重賞も勝つことができて、良い1年となりました。その流れのままに、今年も良い1年となるように、頑張っていきたいと思います。
個人的には、毎年言っているじゃねぇかと言われてしまいそうですが(笑)、どうしてもやせたい。年々、代謝が良くなくなっていくこともあり、やせ難くなっていて、一層努力しなければと思っている次第です。
今年はもうひとつ、肝臓の数値を下げたいという目標もあります。健康診断で高くなっていると言われてしまったので、気をつけていきたいと思っています。
仕事面では、いまさらながらと言われてしまうかもしれませんが、技術面の向上を図っていきたいです。それと、33歳を迎えることもあり、調教師試験に向けて本腰を入れて勉強するつもりです。
そして、このコーナーのさらなる充実と読者層拡大という大きな目標があります。どうぞ、みなさん、今年1年もよろしくお願いいたします。
そんな新年を飾る最初のゲストは、2回目の登場となる田辺裕信騎手です。2011年は、終わってみれば関東リーディング3位ですからね。いまや、トップジョッキーとなった田辺騎手との対談をどうぞお楽しみください。まあ、変わらない奴ですよ(笑)。
西塚信人調教助手(以下、西)あけましておめでとうございます。
田辺裕信騎手(以下、田)あっ、もう始まっているのね。
[西]そうだよ。新年一発目、スペシャルということなんだから、よろしく頼みますよ。
[田]わかりました。でも、明日調整ルームに入らなきゃいけなくて、飯を抑えなきゃいけないんですよね…。
[西]米は俺が食べるから、肉を食ってください(笑)。昨日も新年会で肉を食べたんだろ?
[田]ビフテキ丼を食べましたよ。
[西]そういう発言が田辺らしいということを、ぜひ読者のみなさんに知ってもらいたいんだよね。酒は飲んだの?
[田]飲んだよ。
[西]でも、田辺って、あまり酒を飲むイメージがないんだよな。
[田]飲む時は飲むよ。昨日も、二次会でモノマネパブに行ってから飲んじゃった。
[西]あれ、北九州の某モノマネパブですか?
[田]個人的には、あちらの方が好きですね。昨日の新年会は、馬主さん主催だったのですが、スタッフの方々にも小倉に行った時には「ぜひ」と勧めておきました。
[西]うははは(笑)。読者の方々に説明をさせていただきますと、北九州にあるモノマネバーがあるのです。そこは、とにかく下品で、いろんな歌の替え歌などが披露されるのですが、その歌詞をここで紹介するのは、とてもじゃないけどできません。
[田]まあ、下品ですよね。まともな言葉がない感じですからね。
[西]でも、これからはあまり小倉に行く機会がなくなってしまうから、あの店にも行けなくなっちゃうわけですよ。去年の大躍進。そのあたりから話を始めましょうか。
[田]小倉に行きたいよ。
[西]うははは(笑)。去年の秋から、ローカルではなく中山や東京で騎乗し始めたよね。あれって、メインレースの騎乗馬の依頼を受けるから、ということなの?
[田]そう。あとは、夏に騎乗させてもらって、勝てなかったけど優先出走の権利を取った馬たちの流れもあるよね。
[西]あっ、なるほど。気分的には、新潟とか小倉に行きたいという気持ちはあったりするの?
[田]小倉は行きたいよ。
[西]小倉は別格なんだ!?
[田]別格に行きたい。
[西]うははは(笑)。
[田]でも、小倉に土日の競馬だけに行くのなら、こっちの方がいい。
[西]なんで?
[田]滞在に行きたい。
[西]うははは(笑)。なるほどね。でも、そんなことを言うのなら、週中は小倉で攻め馬して、週末に中山や東京というのはどう?
[田]それ、真剣に考えた。
[西]うははは(笑)。何となく答えはわかっているんだけど、小倉が良い理由はどんなところにあるの?
[田]それは、時間がゆっくりと流れているところですよ。
[西]同じ出張でも、札幌とか函館とは違うの?
[田]函館は行ったことがないからよくわからないけど、札幌は体力を必要とされる。楽しいけど、疲れるから。本当にストイックになる。
[西]うははは(笑)
[田]攻め馬、寝る、飲み。攻め、寝る、飲み。攻め、寝る、飲み……。
[西]その繰り返しということだよね(笑)。小倉は違うんだ?
[田]小倉はどちらも行けるわけですよ。別に飲みに行かずに近くの温泉に行ってマッタリすることもできるし、行ったとしても、こじんまりとしたバーで飲んでおしまいということもできるわけですよ。
[西]それが札幌だと、肉食って、飲みに行くわけだ(笑)。
[田]そう、そう。
[西]小倉は別格なんだね。
[田]去年は4ヵ月も滞在していたからね。
[西]そうだね。震災の影響で小倉開催が延長されたから。
[田]一昨年の12月を含めると、5ヵ月近くになるから、もう地元みたいな感覚ですよ。逆に、美浦に出張に行くみたいな感覚になりました。
[西]その小倉で、震災前に相当勝ち星を挙げていて、今年はいけると思って見ていたんだよね。その後、さらに加速した感じもあったけど?
[田]個人的には、まったくそんな感覚はなかった。いつもと同じという感覚しかなかったんですよ。
[西]でも、コンスタントに勝ち星を重ねていったよね。
[田]小倉が終わったら勝てなくなるのかなぁ。と思っていたので、いまのうちに稼いでおかないと思っていた。そうしたら、「小倉延長します」となって、さらに1回延長されましたからね。このままずっと、芝コースを使わなくていいから、小倉開催やっちゃいましょうという感じでした。
[西]そうなんだ。でも、正直、中山や東京になったら(勢いが)止まるんじゃないかという思いはあった?
[田]まあね。
[西]でも、勝ち続けたわけですよ。秋は再びローカルという話もあったよね?
[田]いえ、土曜日は3場(ローカル)、日曜日に本場ということも考えました。ただ、それをやると、権利を取った馬たちなど、上手く回らなくなってしまうのです。
[西]タラレバになっちゃうけど、それが成功していたら、『田辺リーディング』もあったと思うよ。
[田]数を勝とうと思うのなら、やはり3場(ローカル)に行くべきですよね。でも、いいやぁと思っちゃったんですよ。
[西]リーディングも意識していた?
[田]リーディングを取った時もありましたよ。
[西]いや、年間リーディングだよ。
[田]あっ、それは別に。
[西]リーディングに立った時は、大騒ぎだったんだから。『田辺がリーディング!』って。でも、何かを変えたわけじゃないよね。変わったように思えないんだけどさ(笑)。
[田]その通り!
[西]あっ、でも、馬は少し変わったでしょ?
[田]「少し」じゃないですよ。
[西]うははは(笑)。やはり、馬ということになるよね。
[田]わかるでしょ。
[西]わかるよ。そういえば、セコ乗りの回数も減ったよね。
[田]減った、減った、減った。いままでみたいに「実は、ウチにいましたよぉ」みたいな乗り方はできません。内にいたら閉じ込められてしまって、出られませんから。もう、最初からバレちゃっているんですよ。
[西]うははは(笑)。「ちょっと失礼」とはいかないわけだ。
[田]無理、無理。
[西]乗り方も変わるよね?
[田]変えなきゃ無理。
[西]「実はいましたよ」的なポジションじゃなければ勝てなかったのに、外を回って勝ったりしているよね。
[田]そうなんですよ。
[西]気持ち良い?
[田]楽ですよね。
[西]うははは(笑)。
[田]外を回っても勝つという手応えを感じることができますからね。
[西]抜群の手応えというやつね。それで勝ったら嬉しいわな。
[田]もちろん勝ったら嬉しいんですよ。ただ、誰が乗っても勝つんだなとも思う。
[西]セコ乗りをしていた時代の経験って役に立っているの?
[田]立ってます、立ってます。
[西]そうなんだ。でも、乗る馬の質は、明らかに変わったよね?
[田]それと言うか、それに尽きるでしょう。
[西]騎乗技術云々という人もいるけど?
[田]いや、そんなコロッと、簡単に変わりませんって。
[西]基本的に何も変わらなかったのに、春の新潟では開催リーディングも取ったよね?
[田]あぁ、取ったかも。
[西]どこかのホープ賞も取ったよね?
[田]いただきました。
[西]賞金50万円は奥さんにプレゼントと書いてあったけど、本当に何か贈るの?
[田]わかんないっすよ。
[西]というか、このコーナーということで、ブッチャけさせていただきますが、いろいろなインタビューに出ていたけど、すごくちゃんとした雰囲気だったでしょう。あれ、違和感があった。
[田]だって、「やめてください」って言われるんだもん。
[西]こういう感じを?
[田]そう。
[西]うははは(笑)
[田]服装まで言われるんだから。
[西]えっ、マジで!?
[田]写真も、「遠くを見ているところを撮ります」とか言われちゃうんだから。遠くって、どこを見ればいいのか困っちゃうって。
[西]うははは(笑)。今日のこの対談が本来の田辺ってことでいいよね?
[田]そう、そう。
[西]世の中の人たちは、凄く真面目で、苦労してきて10年目に開花したというイメージなんだよ。
[田]そうみたいですね。
[西]苦労はしてきたんだろうけどさ。
[田]いや、言うほどじゃないですよ。他にもっと苦労してる人もいるでしょう。
今週はここまでとさせていただきます。
今回の分でも十分感じていただけたと思いますが、リーディング上位となり、トップジョッキーとなっても、まったく変わっていないんですよね。そう、西塚厩舎の走らない馬たちの調教や競馬に乗ってもらい、一緒に仕事をしていた時の田辺とまったく変わりません。
別に普通だろうと言う方もいらっしゃるかもしれませんが、凄いことだと思いますよ。一般社会でもそうなのでしょうが、競馬の世界でも勝っていくと、印象が変わっていく人はいるものですからね。
田辺との対談は、あと3回に渡ってお送りする予定となっておりますので、ぜひ楽しみながら読んでいただければと思います。
ということで、最後はいつも通り「あなたとワンクリックがこのコーナーの存続を決めるのです。どうぞよろしくお願いいたします」。