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今週は、トルークマクトが小倉2歳Sに、モンストールが新潟記念に出走します!
2012.8.30

朝3時から仕事をしているのですが、暑さが続くなかでも朝晩はだいぶ涼しくなったような感覚を覚えます。8月上旬は朝8時前に気温が30度を超えていましたが、いまは27~28度ということが多く、徐々にですが秋に向かっているようです。

いわゆる「スーパー未勝利」は別にすれば、未勝利戦は今週がラストチャンスになります。我が尾関厩舎からは、デルマジュロウジンが出走します(土曜日新潟7R)。

デルマジュロウジンにはよく調教で跨がっていまして、入厩当初はやんちゃな一面を見せるなど、ぶっちゃけさせていただくと、手がかかった存在なんですよね。でも、それだけに思い入れも強く、前走で4着まできているだけに、何とか勝ってほしいと願っています。

言い方は乱暴かもしれませんが、未勝利を勝てるということはメンバー次第で500万円下もいけるはずですので、何とか勝ってほしい限りです。みなさんもぜひ、応援をよろしくお願いいたします。

今週は、嘉藤貴行騎手との対談が最終回を迎えます。それではどうぞ。

西塚信人調教助手(以下、西)貴行がフリーになったきっかけは何だったの?

嘉藤貴行騎手(以下、嘉)ウチの先生(田中清調教師)から「そろそろフリーになるか」という話をされたのがきっかけですね。

[西]何年目だった?

[嘉]7年目だったと思います。

[西]フリーになってからは、1番は田中清隆厩舎じゃなくなったの?

[嘉]いろいろな厩舎で乗ってみたいと思っていて、たまたま厩舎が近くて話をすることがあった高橋(義博)先生に話をしたのです。それで本格的にお手伝いさせてもらうようになりました。

[西]前回のゲストがちょんまげ先生(高橋義博調教師)だったんだけど、以前、「嘉藤さんというのはね、抜群に上手だと思っているんですよね」と言っていたよ。少しモノマネが入っています(笑)。

[嘉]フリーになった時、いちばん最初に声をかけてくださったんですよ。一番苦しい時期も知っている存在で、いまも変わらず良くしていただいています。


[西]調教ばかりじゃないしね。

[嘉]はい。いろいろ尽力して、競馬にも乗せていただいています。本当に苦しい時にも変わることなく、乗せていただきました。第二の所属厩舎という意識ですよ。ウチの先生と高橋先生には本当に感謝しています。

[西]いまでも調教に乗っているよね?

[嘉]乗っています。ウチの厩舎と高橋厩舎は、必ず1頭は乗るようにしています。

[西]ちょんまげ先生の攻め馬はやさしい感じのイメージなんだけど?

[嘉]いえ、そう見えるかもしれませんが、ハードですよ。いまは追い切りの翌日は、ダグだけとか、運動だけというケースもありますよね。でも、高橋先生のところは、毎日乗ります。それこそ、台風の日でも乗ったこともありますよ。

[西]マジで!? イメージと違うわ。


[嘉]個人的な感覚なんですけど、尾関厩舎も同じで、しっかりと乗っている厩舎の方が成績が出ているように感じるんですよね。

[西]そこでふるいに掛けられる面はあるんだろうね。丈夫で走る馬が残っていくことになるわけですよ。コスモオオゾラとかも乗ったことがあるの?

[嘉]弥生賞の追い切りに乗りました。もの凄く乗りやすいんですよ。追い切りに乗っただけなので大きいことは言えませんが、あの馬の最大の武器は折り合いだと思います。

[西]そんなに乗りやすいんだ?

[嘉]14から13にあがっていく時のスムーズで滑らかな感じは、なかなかありませんよ。それこそ弥生賞は、他の馬が引っ張って苦労しているのに、まったく関係なかったですからね。

[西]じゃあ、距離が延びて良さそうだね。

[嘉]本当にそう思います。

[西]それにしても、ひとつの厩舎の調教に5年も乗り続けるというのは、ありそうでなかなかないよ。

[嘉]ウチの厩舎では、正義さん(蛯名騎手)が何かない限りは1番に乗るんですよ。それは凄いと思います。

[西]先輩としては、いちばん近い存在は蛯名さんということになるんだね。

[嘉]そうです。いちばん近くて、いちばん成績が良いのが蛯名さんです。

[西]蛯名さんからアドバイスとかあるの?

[嘉]聞けば教えてくれます。でも、聞かないと教えてもらえません。

[西]そうなんだ。

[嘉]でも、言葉で何かということはあまりありませんが、気にかけてもらっていて、感謝しています。見習わなければと思うところは、技術以外にもたくさんあります。

[西]例えば、どんなところ?

[嘉]それこそ、追い切り日以外でも、1番に乗って調教に参加しています。しかも、ウチの厩舎では、自分が乗らない未勝利馬の追い切りにも乗っているんですよ。

[西]えっ、そうなの?

[嘉]しかも、着順に関わらず、ですからね。あの姿勢はなかなか真似できません。

[西]ちなみに、番組は誰が組むの?

[嘉]それは先生ですね。「正義はこれだな」と決めています(笑)。

[西]うははは(笑)。未勝利で二桁着順の馬とかにも乗せているわけだ。蛯名さんって凄いですね。

[嘉]そうなんですよ。まったく文句も言わずに、黙々と乗っています。それこそ、G1を勝った翌週の火曜日に、二桁着順を続ける未勝利馬に乗っているんですよ。

[西]蛯名さん、凄いね。でも、田中先生も、蛯名さんが他の厩舎で追い切りがある時には、何も言わないんでしょう?

[嘉]言わないです。

[西]良い関係だなあ。攻め馬の組み立て方というのは、先生が決めるの?

[嘉]基本的にはそうですね。ウチの先生と言われると、とにかく、馬を良く見ているという印象が強いです。僕のなかでは、ウチの先生にお世話になったことは大きいです。悪い馬にもたくさん乗せていただきました。

[西]歩様の悪い馬とか?

[嘉]いえ、気性的に難しかったり、暴れん坊だったり、いろいろな馬たちに乗せていただきました。そういう感覚は、若いうちにしか身に付かないですからね。

[西]そうだよね。ゲートに入らないとか、逸走する馬とか、所属騎手が乗るということがほとんどかな。

[嘉]でも、いまは本当に危ない馬は、助手さんが乗るケースも少なくないですよ。でも、自分自身は乗せてもらって、本当に良かったと思います。対処の仕方を覚えることができるんですよね。

[西]競馬場でレースに乗ったことがないからよくわからないけど、悪い面というのはレース当日になると増幅されることが多いよね?

[嘉]出る時には、何倍にもなったりします。

[西]それを調教で体感せずに、レースでいきなり体感するのは、かなりヤバイよね。

[嘉]逆に先入観がなくて上手くいくこともありますが、どちらにしても対処法は知っておかないと無理ですよね。

[西]それは間違いない。そろそろ時間なので最後に聞きたいんだけど、このコーナーでは「5年後の競馬界」についてどう感じているか、質問していて、やっぱり騎手の人たちに聞くと、自分自身の将来という話になるんですよ。やはり、不安を感じる?

[嘉]もちろんです。いつ乗れなくなってしまうのかと不安に駆られることはあります。辞めようかと思っていた時、免許を返さなければならないと思い浮かべて、「返したらもう騎手じゃいられなくなる」と思った途端に、辞めたくないと思ったあの感覚は忘れられません。とにかく、自分自身ができることを地道にやることで、頑張っていくしかないと思っています。

[西]よく勝った時の感覚が忘れられないというよね。あれがあれば、どんな苦労でも耐えられるって。

[嘉]それは間違いないですね。12月まで勝てなかった時、勝った瞬間にすべてが吹っ飛びました。

[西]こうして結果を出してきているけど、以前と乗り方とかは変えた?

[嘉]自分自身のなかでは変えたという意識はありません。

[西]マユちゃん(黛騎手)に聞いたら、丸田(騎手)の競馬を研究する姿勢は刺激を受けたと言っていたよ。

[嘉]そういう面はありますね。先日、大野(騎手)が函館記念を勝ちましたけど、アイツはずっとローカルで内を狙って、頑張って、結果を出してきたんです。今回、アイツは迷うことなく内を突いていきました。つまり、集大成と言いますか、普段やっているから、あの場面でできるんですよね。普段やっていない人はあそこを突くという選択肢がないですから。あれは凄いことだと思うし、普段からの意識がいかに大切かということでしょう。そういう乗り方もそうですし、そういう意識も見習わなければと思います。

[西]嫌な言い方になるけど、攻め馬要員的な時期も経験したわけだよね。

[嘉]そうですね。でも、そこでチャンスをくださったのはウチの先生と高橋先生だったんですよ。いまこうしてたくさんの方々から声をかけていただいて、本当に感謝しています。

[西]こういう言い方をしたら失礼だけど、これからも這い上がってきた強さで頑張ってほしい。

[嘉]ありがとうございます。頑張ります。


いかがでしたでしょうか。

小倉2歳Sに登録したトルークマクトは、抽選除外の対象となる可能性がありましたが、登録が18頭ということで、めでたく出走ができることとなりました。

栗東に滞在しての挑戦なのですが、もし除外になってしまったら、阪神に受け皿となるレースもなく、経費だけ支払うことになりかねない状況だったので、出走が叶って良かったです。馬の状態も上向いていますしね。

トルークマクトは、入厩当初の体力などを思えば、本当にたくましさを感じさせられます。小倉の時計が速いのは気になりますが、対応してくれることを願うばかりです。(嘉藤)貴行がこの前の競馬を活かして頑張ってほしいと思います。

来週は、その小倉2歳Sを貴行と一緒に振り返りたいとも思っていますので、どうぞお楽しみに。

その貴行との対談の感想ですが、改めて関係者やファンの方々も含めた世間における騎手の騎乗技術の評価について、考えさせられました。

まったくと言って良いほど結果を出すことができなかった騎手が、チャンスのある馬に騎乗すると、しっかりと結果を残すわけですよ。「アイツは乗れない」、「アイツは駄目だ」と言われたりすることもありますが、決してそうとは言い切れないはずです。

貴行が「ノリさん(横山典騎手)に『乗るべき馬に乗れば勝てる』と言われた」と言っていましたが、重い言葉だと思います。競馬に乗ったことのある人間にしかわからない感覚、あるいは技術というのがあるわけですよね。

そういう意味で、世間の騎手に対する評価というのは、決して的を射ているとは言いがたいというか、ぶっちゃけてしまえば、本当の意味での技術に対する評価ではないのかもしれないと思うのです。

ある騎手と話をした時、「数年に渡って、騎手として競馬に騎乗していた技術は、やっぱり伊達ではないですよ」と言っていました。リーディングの数字と騎手の技術は、まったくイコールではないということだと思います。

今週は、小倉2歳Sのトルークマクト以外にも、モンストールが新潟記念に出走します。春のクラシック時は飼い葉の勢いが落ちることもあったりしたのですが、いまはこの暑いなかでも、もの凄い勢いで食べています(笑)。

そう考えると、春の4週間は人間も緊張の連続であったのですが、馬にとっても本当に大変だったんだと再認識させられます。

今回は2000mということで、距離に関して不安視する声もあるようですが、引っ掛かっていくタイプではないので、対応してくれると思っています。

ということで、最後はいつも通り「あなたのワンクリックがこのコーナーの存続を決めるのです。どうぞ、よろしくお願いいたします」。