今週からは丸田騎手との対談です!
2012.11.29
ジャパンCデーは、ファンアットコートと一緒に競馬場へ行きまして、パドックを引いて歩きました。いやぁ、久しぶりだったなぁ。
人気はありませんでしたが、フレグモーネの影響も感じさせない良い動きをみせていて、やれるはずと密かに期待していたんです。ところが結果は14着で、たとえ勝てないにしても、もう少しやれて良いと思っていたのですが……“らしさ”が見られませんでした。
レース後、松岡(騎手)と話をすると、「若干だが、緩さがあったように感じる」ということで、1週間休んだ影響があったのかもしれません。それと、調教で乗っているとパワーを感じさせられるところもあり、ひょっとすると速い時計の決着で、より厳しかったのかもとも思いました。
いまのところ次走に関しては未定ですが、何とか良い結果が出せるように頑張ります。
さて、今週からは、丸田恭介騎手との対談がスタートします。それでは、さっそくどうぞ。
西塚信人調教助手(以下、西)今回は丸田恭介騎手をお迎えしました。お忙しいなか、ありがとうございます。
丸田恭介騎手(以下、丸)いえ、こちらこそ、よろしくお願いいたします。あっ、写真があるんですね。髪の毛、切ってくるんだったぁ。
[西]大丈夫だよ。俺には坊主頭の丸田のイメージしかないから(笑)。丸田には、我が尾関厩舎の馬にも乗っていただいていて、個人的にはゼローソが印象深いんですよ。(尾関)先生が、丸田に「片方の手前が下手なので、逆の手前で返し馬をします」と言われたんだと話していたよ。
[丸]新潟ですね。内々の馬場が良くないところを通って3着だったんですよ。そのレースの前日に跨がって、そういう話をさせていただきました。
[西]トモのハマりがあまり良くない馬で、手前が下手というよりも出ないんだよね。
[丸]そうです。普通、千直のときに入るポケットかダート1800m戦で使用する待避所に向かうのですが、あの時は逆に行きました。
[西]かなり長い距離を走ったということ?
[丸]そうなりますが、ゆっくり走ることができますので、体を温めるためにじっくりと長く乗ったのです。そうして、トモが入ってくるようにしようと思いまして。
[西]先生が評価していたんだよね。
[丸]ありがとうございます。でも、みんな、そういうことは考えて乗っているはずですよ。
[西]それだけではなく、競馬でも結果が出たからね。
[丸]競馬ということで言えば、あの馬はちょっと計算できないタイプなんですよ。トモの入りという面がありますので、どうしても、馬がリズムを取りながら加速していくのを待たなければなりません。極端な言い方をすれば、そこから競馬が始まるんです。
[西]リズムに乗るまで動けないということだよね?
[丸]そうです。イメージとしては、エンジンが温まってからじゃないと動いていけない感じなので、位置取りは計算できませんし、戦術云々ではないんですよね。その結果、内々を回さざるを得なくなってしまいました。
[西]なるほどね。それからユウセンにも乗ってもらったよね。確か中京だった。
[丸]はい、中京です。
[西]中京でこの馬を頼めるのは丸田だ、ということになったのです。
[丸]あの時、超下手だったぁ(苦笑)。というか、あの馬を調教しているんですから、凄いと思いますよ。
[西]坂路で42くらい、持っていかれたことがありますよ。
[丸]坂路で「普通キャンター乗ってこい」と言われたら、絶対に無理。確かテンから12秒切っちゃたはずです。
[西]わかる、わかる。でも、そのまま止まらないんじゃないかと思わせておいて、止まるんだよね。
[丸]止まります。そういうところがあるんですよ。ゲートでも入るのを嫌がっていました。入るんですけど、ちょっと渋ってみるんですよ。嫌なことをわきまえて、行動していますよ。
[西]あぁ、そう。まあ、そういうように、我が尾関厩舎では「ひと癖ある馬は丸田」となっています(笑)。
[丸]ひと癖ですか(笑)。いやぁ、求められるレベルが高過ぎますって。
[西]ユウセンは、競馬では持たれるような面をみせていた?
[丸]ほんの少しです。僕が警戒し過ぎてしまった面もありましたし、あと中京開催の開幕したばかりで、みんなが警戒してゆっくり、ゆっくりという感じの流れになってしまいました。あれが中山の1600㍍なら、もう少しやりようがあるんですけど。
[西]あっ、そう。
[丸]たとえ詰まっても、内で我慢しきれるようにしておくと、わりと流れてくれる傾向にあるので、対応できる確率が高いんですよ。
[西]いろいろご面倒をおかけいたします(笑)。
[丸]それにしても尾関厩舎の馬たちは良くなっていきますよね。何でなんだろう?
[西]おっ、そうきましたか。たまには尾関厩舎の話をしましょうか。というか、このコーナーで初めてかも。
[丸]えっ、そうなんですか!? 黛とか、(尾関厩舎の馬に)乗っている騎手たちと、そういう話にはならなかったんですか?
[西]全くならなかったなあ。それぞれの話をしてきたんだけど、丸田とは何をテーマにしようか。あ、そういえば、マユちゃん(黛騎手)をはじめ、何人かが丸田は凄いって褒めているんだよ。
[丸]競馬学校のときにみられたものじゃなかった、ということがあるんじゃないですか。
[西]俺も競馬学校時代、見ていましたよ。確か、ダブって(留年)いるよね?
[丸]留年して、またしても成績がビリでした。
[西]えっ、留年した学年でも成績が一番悪かったということですか?
[丸]そういうことです。騎乗に関して、成績が悪かったんですよ。
[西]ダブるというケースでは、ケガが理由であることが多いよね?
[丸]確かにそうですが、自分たちの少し上の先輩から、僕のようなケースが増えています。
[西]僕のようなケースというのはどういうことかな?
[丸]乗れない。
[西]&
[丸] うははは(笑)
[西]下手ということですね。
[丸]抜けて下手でした。でも、そういうことで言えば、黛君もダブっていますよ。
[西]なんで?
[丸]下手だから。
[西]&
[丸] うははは(笑)
[丸]あっ、いや、待ってください。黛君に関しては理由はわかりません。
[西]確かケガだったと思いますよ。マユちゃんとは同期だったっけ?
[丸]黛君が留年してきて同期になって、そして、後輩になりました(笑)。
[西]うははは(笑)。そうだったね。マユちゃんが「丸田は凄い」って褒めていたよ。大して上手くもないのに、勝つんですからって(笑)。
[丸]間違いない、間違いない(笑)。
[西]デビューした当初は、勝っていないよね?
[丸]冷静さを失って、燃えすぎてしまっていた感がありますね。
[西]それが2年目から勝ち鞍が増えて、こういう言い方をしたら失礼だけど、どうしようもない感がなくなったよ。良い意味で変わった。
[丸]「丸田はいつも挙動不審だ」って言われたり、「丸田は目が合うとすぐ下を向く」と言われたことがありました(笑)。
[西]そうだったんだ(笑)。マユちゃんは「あんまり上手くはないが、丸田はあそこまで勝っているんだから凄い」と言っていて、それは競馬を研究しているからって言っていたよ。
[丸]馬名を聞いて、そのレースや特徴が思い浮かぶ方なんですけど、黛君は浮かばなかったようでした。
[西]いまは勉強しているみたいだよ。
[丸]そうみたいですね。僕自身は、気になってしまうんですよ。
[西]レースを観ることに関しては、トップジョッキーの人たちもよく観ているよね。
[丸]「この馬は俺が乗っていたあの馬の子供だ」というような言葉がすぐに出てきますし、よく観ています。でも、そうやって上の人たちがよく観ているんですから、僕たち下はそれ以上に頑張らなければいけないわけですよ。上の人たちが1回競馬を観てすべてを理解するのなら、僕たちは10回観ないと、追いつかないと思うんです。僕はそういう考えなので、何度も繰り返し観ています。
[西]自分に乗る馬に関してだけじゃないんだよね。
[丸]もちろん乗っていないレースも観ます。例えば、観たいレースがあったとして、このジョッキーがこういう考えでこう乗ったということを、上の人たちが1回で理解することを、僕は10回観てようやく理解できるかできないかだと思うのです。だから、時間をかけて、繰り返し観ることでしか追いつく可能性がないんですよ。そうやったって、追いつけるかどうかわからないわけですからね。でも、そのくらいの差があるんですよ。
[西]上の人の1回が丸田の10回かぁ。
[丸]ひょっとすると、それ以上かもしれません。でも、そういう感覚ですよ。
今週はここまでとさせていただきます。
丸田とは競馬学校で一緒の時期がありまして、これまでに何度か一緒に仕事もしています。ですから、僕も丸田もお互いに話しやすく、かなり盛り上がりました。
丸田恭介がどうして勝つことができるのか、ということをはじめ、彼の本当の姿が分かっていただけると思いますので、どうぞ最後までお付き合いいただければと思います。
ということで、最後はいつも通り「あなたのワンクリックがこのコーナーの存続を決めるのです。どうぞよろしくお願いいたします」。