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先週、今年の33勝目を挙げることができました
2012.12.13

先週は、土曜日の中山5レース・新馬戦(芝1600m)をカスティエルが勝ちまして、我が尾関厩舎にとって今年の33勝目を挙げることができました。

ゲート試験を僕が騎乗して合格していて、普段から騎乗する機会が多い存在なのですが、いわゆる普通キャンターではその良さがいまひとつ伝わってこないタイプなんです。まだ力が付ききってなくて、良化の余地を残しているという感じでした。

「どんな競馬をしてくれるのだろうか。先々に向けて良いステップを」というのが正直な気持ちだったのですが、勝ったのですから力があります。まだハミに頼って走る面がありますし、特に肉体面での成長が待たれます。これからどんな成長を見せてくれるのか、楽しみです。

ちなみに、担当厩務員さんは勤続15年のなかで初の新馬勝ちということです。だから、勝てて良かったですよ。

さて、今回は丸田騎手との対談の3回目になります。それではどうぞ。

西塚信人調教助手(以下、西)丸田騎手については、読者の方々から「人気薄で勝つイメージが強い」という声が届いています。

丸田恭介騎手(以下、丸)えっ、そうですか!? 人気馬を飛ばすイメージの方が強いと言われるんですけど…。

[西]あ、そうなんだ。本人は“穴騎手”という意識はあるの?

[丸]一応、単勝回収率は見ています。「あっ、100%超えている」という感じで、結構嬉しかったりするものです。


[西]丸田の単勝を買い続けていると損はしない、ということになるわけだからね。

[丸]もし120%ということなら、100万円購入すれば最後は20万円プラスですからね。

[西]田辺が単勝90倍の馬で勝った時、「あと90回負けることができる」と言っていたよ(笑)。

[丸]そういうことですよね。あっ、田辺さんはあまり気にしていないように思っていたんですが、気にしているんですねぇ。

[西]意外とそういう計算をしているんだよ(笑)。丸田は単勝回収率を気にしているんだね。

[丸]いま騎乗させていただく馬たちのなかで、人気のない馬たちというのが少なくありません。しかも、3場ということで、紛れが起きる可能性がより高い。ということは、僕たちのやりようで、なんとでもなるレースがあるはずなんです。ならないレースもありますが、なるときに向けて、しっかりと準備して、対応できるようにしておかなければならないと思っています。

[西]丸田騎手には、セコ乗りのイメージも強いんだよね。最近は王道の競馬に憧れる騎手の方々が多いなか、「実はいました」的な乗り方をよくするよね?

[丸]ひょろっと伸びてきて、「お前、どこにいたんだよ!?」というようなレースですね(笑)。

[西]そう、そう。

[丸]いまはセコ乗りの方が多いかもしれません。

[西]セコ乗りに対しての思いみたいのはあるの?

[丸]あります。馬場にもよりますが、内を回ることによって、距離を稼げます。それだけでも、リスクとメリットを考えたときに、メリットの方が大きいと思っています。ただ、僕のなかで一番大きいのは、強い馬に勝つ騎手が乗っているなかで、実力的に少し負けてしまっている馬で勝つためには、少しでもロスをなくしていくしかないと思っているんです。デビュー当初から、わかっていないなりにそういう思いだけはありました。もちろん詰まるリスクもありますが、内にいないと勝てる可能性がなくなるわけですから、内にこだわりましたよね。

[西]ゲートを出していかない、ということについてはどうなの?

[丸]そこはあくまで馬のリズムを考えてのことです。「出していかないぞ」と思って乗ると、前が気になってしまうんですよ。あくまで馬のリズムで出て、走って、結果として後方だったとか、あるいはハナを切ったという感じなんですよ。

[西]なるほどね。そういえば、丸田はあんまりハナを切っているイメージがないな。

[丸]でも、最近、増えたんですよ。

[西]馬のレベルが上がったの?

[丸]違います。誤摩化し方を覚えたというか、行っても残す方法みたいなものがあるんですよ。それがおぼろげながら見えるというか、つかみかけてるように思うんです。

[西]具体的にはどういうこと?

[丸]同じラップを刻んでも、残る馬と残らない馬がいるわけですよ。そのとき、苦しい格好で走っていれば、ロスになりますし、最後に響いてきます。また同じ位置から動いて行っても、行き過ぎて遊んでしまうということも起こりうるわけで、そういうところも意識しています。

[西]プロっぽいなあ(笑)。

[丸]そんなことはないんですが、例えば逃げている馬は3~4コーナーは動かず、直線で動き出せというのが常識とされたりしますが、極端に言えば、ペースが遅ければ向正面から動いて行っても良いと僕自身は思うんです。

[西]なるほどね。常識にとらわれないからこそ功を奏す、ということもあるよね。

[丸]後ろの手応え、リズムなどを考えて、タメて逃げる、あるいは離して逃げるというように、同じ逃げでもいろいろできますし、工夫の仕方が無限だと思うんです。ここまで経験させていただいて、いろいろわかってきた感じなんですよね。

[西]では、例えばの話、13頭立ての12番人気で、7~8着に来れば、という馬の時、逃げるという選択肢はある?

[丸]馬によりますよね。

[西]もちろんそうなんだけど…。

[丸]少ないかもしれませんね。簡単に言うと、テンの2ハロン目というのは、普通、速くなるんですよ。そこを楽に行けるのなら、人気がなくても行きます。でも、そこをシゴいて行くのであれば、行きません。スピードに乗って一番苦しいところなので、そこで無理をさせると、最後に響きますから。

[西]ただ、そういう馬って、楽にいくことができないからね。

[丸]でも、最初の1ハロンが13秒0、そして2ハロン目が11秒3で行ったとした時、外枠でポンと出て最初の1ハロンを12秒7で行ければ、2ハロン目は11秒6で良いわけですよ。淡々といくなかでハナに立つのは良いと思います。ただ、突発的に加速を促す形は馬が苦しくなるように思いますので、避けたいですよね。

[西]簡単な言い方をすれば、13→11→12なら、12→12→12のほうが良いということだよね?


[丸]そういうことです。僕の感覚ですけど、ジワッと出していけば馬も頑張れるように思うんです。

[西]深いね。

[丸]前に行っている人たちにすれば、追いかけさせることを狙っているわけですし、そうすることで苦しくしたいんですよ。でも、それに乗ってしまうと、その人たちのレースになってしまうんです。それではダメで、位置、馬群に関係なく、自分の馬のリズムで行った方が結果は良いことが多い。ダート1700mとか、ハイペースで行っても結果的には時計は同じくらいになるんですよ。

[西]そう言われれば、そうだね。

[丸]極端に言えば、そこで10馬身離されていたとしても、自分のリズムで行ってさえいれば、最後は追いつきますし、追い越すことも可能だったりするんです。でも、人間には聴覚や視覚がありますので、見えなくなってしまうことになるんです。そこを自分自身のなかで理解して騎乗できれば良いんですよね。そのためには、知識と経験を積むことがもっともっと必要なんだと思います。

[西]いやぁ、丸田さん、考えているね。ダンスインザモアで勝った福島記念は、まさにそういういろんな考えが上手くいった競馬だったんじゃないの?

[丸]そう思います。ただ、あの時はわかっていないんですよ。後付けではそうなるのですが、あの時は感覚で乗っていただけなんですよね。

[西]その感覚が合っていたということなんだね?

[丸]テンが速くなって、向正面も流れて、それで3コーナーで流れが落ち着いているんです。普通、3~4コーナーはペースが上がりますよね。そこで外を回すのは馬も辛いのですが、ペースが落ち着いた状況で、自分のリズムで上がっていくことができたので、苦しくないんですよ。直線で速くなっても、もう取り付いていましたので、捕らえるのは難しくありませんでした。

[西]焦らずに動かなかったことが良かったんだね。

[丸]引っ掛かっても最後に脚を使っていましたので、リズム良く行けばどれほど脚を使ってくれるのかと思っていました。ですから、あの時は、とにかくリズムだけを意識していましたね。

[西]いやぁ、深くて良い話をありがとうございます。

今週はここまでとさせていただきます。

阪神ジュベナイルFで除外となったファンアットコートは、今週、500万下で出走を予定しているのですが、これもまた抽選となりそうなのですよね(抽選を通過してひいらぎ賞に出走予定)。2歳500万下の番組については、もどかしい感じを持っています。

新馬戦が早く始まったぶん、勝ち馬が増えていて、500万下が混雑してしまっているのですよね。来週の中山ではオープン特別はありますが、500万下はない状況でもあります。

もちろん、500万下が増えればいいのですが、もしそうなれば未勝利戦が削られることになり、今度は未勝利戦が少ないという指摘を受けるはずです。ですから、番組を作る方の苦労もわかっているつもりです。

ただ、現場の人間としては、例えば「ここを除外になったら、ここへ」というように、除外になった馬たちの受け皿としてのレースを確保してほしいというのが率直な気持ちです。良い改善策があればいいのですが……。

ということで、最後はいつも通り「あなたのワンクリックがこのコーナーの存続を決めるのです。どうぞよろしくお願いいたします」。