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肌で感じたフランスと日本の違いとは
2013.4.25
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西塚信人調教助手…以下[西]
田中博康騎手…以下[田]

[西]あとさ、フランスに行って乗ってみて、日本人騎手の上手さを知ったという部分もあったりするの?

[田]もちろんありますよ。

[西]日本の騎手って、実はレベルが高いとか思ったりするんだけどさ。

[田]全然、高いんじゃないですかね。

[西]でなければ、外国人騎手がもっと勝っても良いと思うんだけど。

[田]日本は平均値が高いですよ。確かに、フランスでは300以上の競馬場で、1万人以上の騎手がいますので、格差がもの凄い。もちろんトップは凄く上手いですよ。日本に来る人たちは、そのトップですからね。オリビエ(ペリエ)、スミヨンはフランスでは有名で、サッカーで言えばジダンみたいな感じですよ。ムーアはイギリスですが、イギリスではそういう存在なんです。でも、日本の騎手の人たちも正直上手いと思います。

[西]短期免許で来る外国人騎手たちは、自分の国でトップの人たちだから、上手で当たり前ということなんだね。あとね、松岡が日本とアイルランドとの違いについて、日本の整備された馬場と、向こうの天然で不整地の馬場があると言うんだよね。

[田]絶対にそれはありますよ。

[西]フランスは不整地なの?

[田]不整地のところもありました。基本的に、ロンシャン、シャンティイ、ドーヴィルは不整地ではありません。でも、田舎に行くと、不整地で、ラチがなくて、という環境で競馬をやっています。

[西]不整地と、整地されているところで乗るのでは感覚が違うだろうね。

[田]不整地で乗るのは難しいですよ。不整地を乗っていて、整地されたところで乗ったら、簡単に感じるでしょうね。調教でも感じるんですから。たとえばウッドチップで、ハローをかける前と後でさえ違いを感じるんですから、整地されているところと、不整地はなおさらでしょう。

[西]じゃあ、オールウェザーは同じなの?

[田]ドーヴィルは日本のポリトラと同じ性質でしたが、ベルギーは前が見えなくなってしまって大変でした。

[西]あっ、ベタベタで張り付いたら取れない感じになるんだ。

[田]そうなんですよ。ダート板2枚にゴーグル3枚とかで乗っても足りないくらいでしたね。

[西]読者の方にはわかり難いと思うので、違いを説明します。日本の普通のダートはダート板1枚にゴーグル1、2枚で済むくらいかな?

[田]僕は、ダート板1枚にゴーグル2枚ですね。ベルギーでも最初に勝ったお陰で、ある日に8レース中5レースに騎乗したんですが、ダート板1、2枚しか持って行っていなかったので、ゴーグルを4枚にして、レースとレース合間に自分で拭いていました(笑)。

[西]バレットとかいないの?

[田]いかなったんですよ。

[西]ダート板とかもないんだ。

[田]だから「それは何だ」と聞かれましたよ。

[西]ダート板って、JRAで一番最初に使ったのって、誰だかわかりますか。

[田]岡部さんですか。

[西]伊藤暢(元騎手)さんなんだよね。

[田]あっ、そうなんですか。

[西]これは皆さんにも言いたい。武豊さんと同期で、伝説の伊藤暢さんこそ、ダート板を使い始めた方なんですよ(笑)!

[田]豊さんと暢さんとの対談も読みたいですね。

[西]うははは。どうなっちゃうんだろうね。話を戻すけど、フランスと日本では競馬のペースとかは違うの?

[田]全然違います。フランスの方が圧倒的に遅いですよ。スタートからの感覚が違います。日本ではゲートから出していくというのは当たり前ですが、そういう感覚はほとんどと言って良いほどありません。ただ、ペースメーカーは出していきます。ちなみにペースメーカーにも乗りました。

[西]完歩数えた?

[田]完歩は数えませんよ(笑)。日本の感覚で言えば、出していけばハナを取れます。

[西]そんな感じなんだ。

[田]また、出して行っても、すぐに折り合いも付くんですよ。

[西]日本ではハナを取ると勝つ確率が高いというようなことが言われるよね。

[田]向こうではそうはいきません。あっ、調教師の指示が面白くて、「風の抵抗を受けるな」というようなことを言われるんですよ。

[西]えっ、それは真剣に?

[田]もちろん真剣ですよ。ツールドフランスに代表されるように自転車レースの国なので、そういう意識が強いのかもしれませんよね。本当に、「風の抵抗を受けないでくれ」という指示が多いんですよ。

[西]そうなんだ。

[田]だからでしょう、馬群が拡がっても3頭目くらいまでしか拡がらないんですよ。

[西]風の抵抗を受けないために、縦列状態をキープするわけだね。

[田]そういうことですね。

[西]馬のレベルはどうなの?

[田]馬のレベルも日本は高いですよ。香港ヴァーズとメルボルンCを勝ったドゥーナデン(今年のドバイシーマクラシック4着)という馬に調教で乗っていたんですが、正直特に印象に残るほどではありませんでした。ただ、オンとオフがハッキリとしているんですよ。調教では気持ちが入っていなくて、ダラダラとした印象さえ受けるんです。

[西]入れ込んで、ダグになっちゃう馬とかはいないんだ。

[田]いません。それがレースにいくとスイッチが入るんですよ。

[西]馬の扱いとかはどうなの。

[田]日本でそこまで馬の扱いをみていたわけではありませんが、馬の扱いは上手だなと感じさせられました。メリハリがある感じなんですよね。

[西]馬乗りとも上手いの?

[田]上手いというかどうかわかりませんが、みんな同じように教えられているように思うんです。ひとつ具体例をあげると、拳をあげないんですよね。単純なことなんですけど、難しい馬がいないので、それで良いんでしょうね。手綱を短く、拳をあげないということだけに意識がある状態で良いのでしょうね。

[西]そうなんだ。

[田]馬の上で、見習い騎手たちが手放しで乗ってみたり、前と後ろと逆向きで乗ったりしたりするくらい、大人しいんですよ。そう、馬との距離感が違うんですよ。

[西]調教での時計とかはどうなの?

[田]ある厩舎では、ただただ広大な芝コースにコーンを置いて、7ハロンくらいからですか、ハッキングから徐々に加速していくんですが、1回も時計については言われませんでした。最後だけ伸ばすという感覚ですね。だからなのでしょう、速いところをやってもストレスは感じないんですよ。

[西]なるほど。いや、博康は良い経験をしてきたよ。やはり、行って実際に体験してきたことは財産だよ。必ず、ここからそれが活きていくはずだし、絶対に無駄にはならない。

[田]そう信じて頑張りますよ。

[西]そろそろ時間だわ。またぜひ出てよ。秋山さんと一緒でも良いからさ。

[田]ぜひ呼んでください。ありがとうございました。

[西]ありがとうございました。


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