“馬のリズムを守る”ことの大切さについて
2013.7.4
今回は、先週日曜の福島8レース(3歳上500万下)で、2番人気に支持されていて2着となった
トルークマクト(下写真)についてお話ししたいと思います。
トルークマクトといえば、
貴之(嘉藤騎手)との対談でも話題になっていて、ちょうど1年前、2戦目の未勝利を逃げ切って勝ったんですよね。
その後、
函館2歳Sで6着になったところから、不振が続いてしまうことになってしまいました。
それが距離を延ばして、控える競馬を試みていくなかで、
プリンシパルS(6着)の前ぐらいから結果として表れてくれたんです。
不振だったときは、それまでみせてはいなかった、逃避というか、変な格好をするようになってしまっていました。
逃げ切って勝っていたので、無理矢理でも行くレースをしていたんですが、それによって競馬が苦しくなってしまっていたのでしょう。
乗っている方としては、不振だった当時は腰が甘いところもあったんです。そういうタイプのなかには、スタートから急かせていくと、フットワークがバラバラになってしまう馬がいるんですよ。
この「フットワークがバラバラになってしまう」というのは、競馬においては致命的と言っても過言ではなく、能力を発揮できない状況となってしまうんです。
モタれる、あるいは引っ掛かることは能力発揮には影響を及ぼしますが、それでも勝つことはあります。
でも、フットワークがバラバラになってしまうと、速く走ることはできません。
そういうタイプの馬が能力を発揮できるようにするにはどうしたら良いかというと、競馬のなかで馬のリズムで走らせるということが大事になってきます。
それぞれの馬のリズムで走らせてあげるということは、馬が一番綺麗なフォームで走ることができているということになり、エネルギーのロスも防げますし、徐々に加速していくことで最後まで良いフォームで走ることができる可能性が高くなります。
実際、
トルークマクトもそれを実践しはじめてから復調してきたわけですが、携わっている我々としても、1200mで逃げていた馬が1600mや1800mで好位から差す競馬ができるようになるというイメージはなかなかできませんでしたよ。
短いところでも控えて、馬のリズムを守りながら競馬をしていたこともきっかけにはなっているのでしょう。でも、当たり前と言えば当たり前なのですが、馬のリズムで走らせるということの重要性と痛感しています。
今回の競馬でも、もう少し前で競馬をしていれば、もう少し早めに逃げていた馬を捕まえに行けば良かったのではないかと考えがちですが、そうすると馬自身のリズムを崩すこととなってしまい、2着さえなくなってしまっている可能性が出てくるんです。
そこが競馬の難しいところなんですよね。1頭、あるいは1対1で走っているわけではありませんから。
今回のケースで言えば、2番手、あるいはトルークマクトの前にいた馬たちが前を捕らえにいくタイミングが勝敗に影響を及ぼす形となりましたよね。
そこには各馬の状況や思惑が様々な動きを生み出し、展開が生み出されていくわけですよ。
結果的には勝ち馬に逃げ切られてしまいましたが、トルークマクトのリズムで競馬をしての結果であり、展開さえ向けば2勝目は近いと確信しています。
2走前、
稲城特別で3着になったときも、勝ったスーパームーンをはじめ、このクラスでは上の相手が揃っていたなかで頑張ってくれましたからね。
馬の状態も良いということもありますが、馬のリズムを崩してしまい、走ることに苦痛を感じてしまうと、復調にも時間を要してしまう可能性が高いわけですよ。
馬は言葉をしゃべれませんが、フットワークがバラバラになってしまうと一目瞭然です。嫌がる素振りとともに、メンタル面でのひとつの尺度とも考えることができるはずです。
リズムを崩しながら、キツイ競馬が続くことになれば、馬は走ることが苦しいはずですし、嫌悪感を覚えるようになってしまいます。
トルークマクトについては、本当に上手くいってくれました。僕の少ない経験ですが、なかなかこれだけ上手くいくことはないと思います。
馬のリズムを崩さないように乗るのが上手な武士沢さんにも騎乗していただいたことも良かったと思いますし、その前までに貴之が懸命にリズムを崩さないように乗り続けていたことももちろん大きかったですし、すべてが上手くいったということでしょう。
トモの踏み込みが、そのままハミにしっかりと伝わっていくようなフットワークが大切なんです。
これから
トルークマクトが走るときには、そういう目でも見て応援していただければと思います。
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