2歳戦で結果を残しやすいタイプとは?
2013.7.11
梅雨が明け、一気に猛暑となりました。
朝、調教していても、早い時間から既に暑くて、それこそ前々回お話をしたように夏負けしてしまう馬が一気に増えてしまうかもしれません。
一方で、夏競馬が始まって2歳戦が本格化していますので、今回は2歳戦にまつわるお話をさせていただきたいと思います。
我が尾関厩舎では、現在5頭が入厩しているのですが、その1頭
ヴァイサーリッターが先週の函館で、2戦目の未勝利戦を勝つことができました。
PNがくえんさんからもメールをいただいておりますので、
ヴァイサーリッターのお話をさせていただきます。
ズバリ、この馬のセールスポイントは完成度の高さです。
まず肉体面では、調教を順調に消化できていたように、いまの段階では気になるところもありませんし、精神面でも何か癖があったり、気をつけなければないところもありません。
完成度の高さということで言えば、個人的にはこの時期の
モンストールにも遜色ないと期待しています。
タイプとしてはピッチ走法ということで、スピード色が強いかもしれません。
一般的に乗った感じの話で言えば、フットワークが綺麗なタイプは芝の長いところ、あるいは前のサスペンションに硬さを感じると、ダート、あるいは短いところという判断をされます。
ヴァイサーリッターは、しっかりとした感じを覚えます。そこも完成度の高さということなのでしょう。個人的には芝でも結果を出してくれていますが、ダートにも対応できるという印象を受けます。
ところで、2歳戦に向かうにあたって、どちらかと言えば、ゆったりとしているタイプよりもシャキシャキとしたタイプの方が向いているとされています。
ただ、競馬にいっては別だったりもするんですよね。
先週デビュー前の馬がウッドで70-40を切ってきたら、手応えを感じるというお話をしましたが、必ずしも結果のすべてがそうだということでないんですよ。
時計的に動いていなくても、実戦で良い結果を出すケースも多いですし、時計出ていないイコール走らないと決めつけてはいけません。
良血馬、あるいは後にオープンまで駆け上がっていくような馬がそういうパターンにあたる可能性が高いように思います。
あと、厩舎で調整を続けてきている馬も、たとえ時計が出ていなくても、結果として初戦で良いレースをすることが多いはずです。
僕の少ない経験のなかでさえも、厩舎で1ヶ月半とか2ヶ月というようにある程度の期間調整してきた馬というのは、実戦にいって良い結果となることが往々にしてあります。
話は逸れてしまいますが、良く“気の良いタイプ”が2歳戦に向くといわれます。先程お話をしたように、確かにチャキチャキしたタイプの方が、調教でも動いたりするので、良いと感じさせられるんです。
そうは言っても、実際に携わっている側としては、そこで決めつけられない部分があるんですよ。
気の良いタイプというのは、人間でいう、慌てん坊であったり、我が強いタイプなのですが、我が強いタイプは一度嫌と思ったら、嫌になってしまうわけですよ。
それも才能ということなのかもしれませんが、走ることに対して嫌悪感を覚えてしまい、走ることを拒絶するようになってしまう可能性があるということなのです。
実際、走ること、または競馬をすることを止めようとする馬たちというのがいます。
とはいえ、走る馬というのは、往々にして我が強いタイプだったりするんですよね。
自分から走る気をみせていく、良い意味で“気の良いタイプ”に対して、逆に走ることを止めてしまう、悪い意味での“気の良いタイプ”というのは目立たなかったりします。
そういう馬に対し、結果だけ見て“走る能力が劣る”という判断をされてしまいがちなんです。
走ることを止めてしまう我の強さが、良い意味の我の強さになれば、走れるわけです。ですから、そういう部分を見逃さないように、対応していかなければならないんです。
フェノーメノを担当されている方とよく地下馬道などで話をするのですが、馬の群れの中で見えてくる問題というのは、競馬のなかでも同じようにあると思うんですよ。
その担当者の方の話では、
フェノーメノは普段から馬に付いていくことを嫌がるそうなんです。
それが競馬において爆発しているということになるのですが、
フェノーメノはそういった面が強いタイプなのではないかと、個人的には思うわけです。
我の強さというのは、そういう部分とも関係があるんではないかと思っています。
実際、調教で未勝利や500万円の馬に乗っていて、
フェノーメノと一緒になると、耳の動きなどから判断すると怯んでしまっているんですよ。
G1では、そういう我の強いタイプの馬同士が戦うわけですが、新馬戦などでは将来のG1馬と未勝利馬が戦っている可能性があります。
そういう面でいうと、パドックで、一番威張っているというか、偉そうな馬がいるかどうか、観察するのも面白いかもしれませんよ。
また、返し馬でも、他の馬に付いていかないと走ることができなかったりする馬もいます。
もちろん、レース結果に反映されるのは走る能力のような資質も大きいですし、他の能力も求められます。ですから、我が強いタイプが必ずしも勝つということではありません。
ただ、個人的には、そういうタイプというのは、競馬において良い結果を出すことも多いように思っています。
話が逸れてしまい、上手に説明できなくて、どうもすいません。
ヴァイサーリッターについては、ブッチャけてしまいますが、僕自身はその完成度はかなり衝撃的なモノだと感じています。
ここからどのような成長をみせてくれるかということについては未知数ですし、ライバルたちの成長にもよりますが、現時点での完成度ということだけでいえば、期待せずにはいられません。
特に2歳戦においては、完成度の高さが大きな武器になりますので、まずは何とか予定している
函館2歳Sに出走を果たしてもらいたい。出走できたら本当に楽しみだと思います。
※次回から、大竹正博調教師をゲストにお迎えして対談をお送りする予定です。西塚助手への「指令」、質問、西塚助手へのメッセージなどを募集しています。上部リンクからお送り下さい!