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今週から美浦の若手実力派・大竹師をゲストにお迎えして対談します!
2013.7.18
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大竹正博調教師…以下[大]
西塚信人調教助手…以下[西]

[西]今回はお忙しいなか、出演していただきまして、ありがとうございます。

[大]こちらこそ声をかけていただきまして、ありがとうございます。

[西]読者の方向けとしても、個人的にも、いろいろお聞きしたいんですよね。


[大]際どい話じゃないよね(笑)。

[西]そこまでは際どくはないと思います(笑)。まずは、関係者たちの間でも話題になっていることなのですが、先生の厩舎の馬は“形が似ている”と言われていることについて、どう思われているのですか?

[大]似ているなぁと思いますよ。

[西]それは、選ぶ段階からそういうタイプの馬をセレクトしているのですか?

[大]馬は選んでいません。

[西]ということは、調教によって似ていくということなんでしょうか。

[大]そうなんですかね。個人的には、それぞれの馬の特徴があって、それぞれバリエーションがあると感じています。ただ、ファンの方々からみると、形が似ているというか、一枚油が残っているという雰囲気を感じるのかもしれません。

[西]そうですよね。どちらかというとコロンとした印象を受けるんですよ。

[大]牝馬でも、お腹のラインが切れ上がっているような、いわゆる牝馬らしいタイプは少ないと思います。ファンの方だったり、生産者の方だったりには、『馬券を買わされてしまう』と言われます。

[西]あっ、なるほど。確かに、パドックで見ていると、買いたくなるかもしれません。

[大]『買って騙される』って言われたりします(笑)。

[西]言いたいことはわかります(笑)。

[大]この前、馬券の払い戻しに関して脱税か否かという裁判がありました。その方もそうだったようですが、馬ではなく、数字で馬券を購入される方々がいます。でも、やはり一人でも多くのファンの方々に来ていただいて、馬を見て、納得して、馬券を購入していただいて、それが成績としてつながっていくということを、我々はプロとして目指していかなければならないと思いますので、形にはこだわりがあります。

[西]パドックで良い仕上がりの馬が馬券に絡むことがより多くなれば、見て馬券を購入する人が増えていくはずですからね。

[大]良い形の馬たちが走ることを証明していかないと、競馬はただのギャンブルのままでしかありません。

[西]パドックに、良い仕上がりで送り出すことって、本当に難しかったりするんですが、それってとても大切なことだと思います。ちなみに、例えば大久保洋厩舎だったら坂路3本乗ります、というような感じで、大竹厩舎の“形”などはあったりするんですか?

[大]いまは坂路が多くなっています。これまでは、美浦の坂路は負荷がかからないということで、速いところはそれほどやっていませんでした。

[西]なぜ多くなっているのですか?

[大]今年の目標のひとつとして、1年間を通して厩舎の出走回数を増やす、ということを掲げているんです。では、どのような調整をしていけば良いかと言うことになったときに、坂路での調整していく方が楽なんですよ。

[西]そういう感覚はあります。

[大]最初はノウハウがわからない面もあったんですが、いまはパターンというものができてきました。パターンというものはあった方が良いと思います。そこから馬、状況によって派生させていって、アレンジしていく方がブレは少ないように感じます。いろいろな厩舎を見ていてもそう思いますし、最終追い切りを坂路でやり始めたことが成績に出てきてくれています。

[西]負荷ということでいうと、栗東とは違うんでしょうけど。

[大]技術調教師のときに、ロジユニヴァースとともに栗東に行って、坂路の違いに愕然としましたし、負荷をかけないといけない、という意識になりましたよ。その当時は、足し算思考でした。

[西]やはり、相当違うんですね。

[大]ただ、美浦の坂路でも、勝ち負けできるくらいのところまでは持っていけるとは思います。キッチリ勝てるかと言われると、はいとは言い切れないけど、次走の権利を得るというところまでは調整してもっていけるという感覚はありますよね。

[西]なるほど。

[大]そこで、負荷ということになるのですが、競馬でかかる負荷はそのレースに走った馬たちすべてに平等ですし、関東馬も関西馬も基本的には同じであると考えられます。しかも、その効果は100回の追い切りよりも1回の競馬、と言われるほど大きいわけですよ。それならば、1回の競馬をしたことで得た負荷をそのままに、疲労の部分だけを取り除いて、また競馬に向かえばより大きい負荷が求められますよね。

[西]おっしゃっている意味はわかります。追い切りの負荷よりも競馬での負荷の方がより大きな効果が求められる、ということですね。
[大]そこで、いままで中2週だったところを、中1週、あるいは連闘でレースを走らせるというようにしています。競馬で得た負荷を、次に活かすということです。

[西]競馬で得る負荷は基本的には同じですからね。

[大]ローテーションを含めて、見直しをすると、成績にキッチリと表れてくれました。

[西]そう考えられるようになったのには、何かヒントみたいなことがあったんですか?

[大]たとえば、矢作厩舎はあれだけ出走回数が多いのですが、それは美浦でもできない話ではない、と思ったんです。何とか、同じようにやることはできないだろうかと考えました。昨年までのウチは出走回数が少なかったんですが、今年はいまのところ300走ペースです(編注:昨年は1年で219走だったのに対し、今年は7月14日終了時点で164走)。

[西]確かに言われてみれば、使っているという印象があります。

[大]連闘もありますよ。

[西]中1、中2が当たり前という印象があります。

[大]だからと言って故障が増えたということではありません。もちろん、しっかりとチェックして、適切にケアすることは必要不可欠です。

[西]競馬をすることで得られる効果は本当に大きいですしね。

[大]いままでは、馬を整えるであるとか、仕上げるということに執着し過ぎていたようにも思うんです。ローテーションを工夫しながら競馬を走らせることでも、馬は仕上げられるんだと思います。

[西]ただ、そこで問題になるのが、5着までに入らないと、クラスや条件によってはそれができないということですよね。

[大]そうなんですよ。これだけ除外馬が出てしまうと、そのタイミングは難しいですよね。確かに、除外馬の多い少ないというのは、条件や時期によって変化します。それが最近、調教師として経験させてもらってきたことで、以前よりは把握できるようにはなりました。2場開催なのに抜けるというときもあるよね。

[西]はい、はい、あります。最近の話で言えば、東京の後半から福島の2週目までは未勝利が少なかったのに、3週目の今週は増えてきましたよね。

[大]特に1700ダートは一気に増えて、3節抽選になってしまいましたよね。

[西]夏ということで言えば、一気に波が高くなった感じですよね。

[大]その波に乗れるかどうかが重要になってきます。ある程度の状況を把握することができていれば、もし増えるのであれば最初から連闘をする、そういう調整もできるわけですよ。

[西]想定を見ながら、いろいろ考えるんですよね(笑)。

[大]想定は面白いよ(笑)。

[西]いろいろ考えさせられるんですよね。あれで意外と◯混が弱くなったり、牝馬限定が強くなったりと、予想の逆となるケースが少なくないんですよ。

[大]特別と平場で特別の方が弱くなったりもしますからね。

[西]特にローカルの500万円下とかは、そういう傾向が強くなりますよね。

[大]不思議だよね。そこに心理が出ているということなんだと思いますよ。

[西]ローカルの500万円下などでは、平場がフルゲートで特別は空きがあったりしますからね。自信がなかったりするということなのですかね。

[大]特別だと1頭強いのがいたりして、着には来れるけど、確実に勝ちたいというときなどは、平場ということになったりもしますよね。

[西]ただ、そういうときに1本被りの人気馬が負けたりするんですよ(笑)。

[大]ウチも先週(7月6、7日)4勝しながら、1.5倍だった馬が2着に負けてしまったんですよね。

[西]以前次郎さん(小野調教師)に人気馬を頼んで、『行けると思います』と、楽勝ですくらいの感じで言ったら、『そんなに簡単に勝てるんだったら、もうその前に勝っているよ』と言われたことがありました(笑)。本当に強い馬だったら、そのクラスは既に卒業しているわけで、そこにいるということは負けてしまっているということなんですよね。

[大]騎手に伝えるということで言うと、その言葉を選ぶのは難しいですよね。

[西]その気持ち、よくわかります。

(来週に続く)

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