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田中勝騎手が考える“日本の最強馬”とは
2013.11.21
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田中勝春騎手…以下[田]
西塚信人調教助手…以下[西]

[西]10年で思い浮かんだんですが、勝春さんが騎手になってもう25年なんですね。四半世紀ですよ。

[田]そうだなぁ(笑)。

[西]今までで一番印象に残っている馬を1頭挙げていただくとしたら、どの馬ですか?

[田]そうだなぁ…。ストームティグレスだな。

[西]ストームティグレス? 検索しますので、ちょっと待ってください。あ、ストームキャット産駒ですね。オースミダイドウのお母さんですか。この馬のどんなところが印象に残っているんですか?

[田]怖かったぁ。

[西](笑)。怖かったんですね。どんなところが怖かったですか?

[田]どこかに行ってしまうんだよ。本当に何を考えているのかわからないタイプで膠着してしまうんだ。一旦動かなくなると、テコでも動かないだけでなく、ヤバかった。

[西]動かなくなるだけじゃなかったんですか。

[田]1回、動かなくなって、人が乗った状態でひっくり返ってしまったんだ。

[西]えっ、マジですか。レースのときですか?

[田]いや、調教だった。

[西]でも、それは凄いですね。うるさい馬といえば、勝春さんが乗っていた馬の中ではバランスオブゲームはやんちゃな印象があります。

[田]あの馬はただうるさいだけだった。別にあの程度は他にもいるし、大丈夫だよ。

[西]外からだと、結構ヤンチャに見えましたけど。

[田]でもあの馬(ストームティグレス)はちょっと違った。やることが大きいというか、本当に怖かったんだ。走っている間はそこまでではなかったんだけど、1回止まって膠着したら、もうヤバかった。

[西]あ、そう言えばアブソリュートもうるさかったイメージがあります。

[田]あの馬もうるさかった。でも、そんな次元じゃないんだよ。わかってうるさいのは大丈夫なんだけど、自分を見失って一種のパニック状態になってしまうというか、何かをやるタイプというのがヤバイ。

[西]ストームティグレスはそれだったんですね。

[田]そうだね。また、あの当時はストームキャットの産駒がそこまで日本に入ってきていなくて、扱い方というか、特徴が把握されていなかったという状況もあったとは思う。気性が難しいとは聞いていたけど、やはり実際にゲート難だったり、そういう傾向が強かったよね。

[西]いま母父として注目を集めていますが、産駒は走りそうな雰囲気を感じさせたりしたんですか?

[田]やはり紙一重という面があって、噛み合ったら走るんだよね。

[西]そういう意味ではサンデーサイレンス産駒も、初年度から数年はうるさいと評判だったらしいですけど。

[田]サンデーの産駒たちは、わかっていて、ナメてやっていたんだ。人間をナメてかかっていた。

[西]サンデーと言えば、ジェニュインに騎乗されていました(※97年安田記念2着、天皇賞・秋3着など)よね。どんな感じだったんですか?

[田]あの馬は違った意味で怖かった。

[西]どういうことですか?

[田]こちらを威圧してきたんだよ。何かやるというんじゃなくて、何とも言えない雰囲気だった。グワっというオーラを出して、跨がっていて、その背中、自分自身をもの凄く大きく感じさせたんだ。俺なんかアンチャンだから、どこにでも走られてしまいそうな雰囲気を感じていた。パワーがあって、違う意味で怖かった。

[西]G1ということで言えば、ヤマニンゼファー、あるいは天皇賞で2着のセキテイリュウオー、そういう馬たちとは雰囲気が違ったんですか?

[田]アイツらは従順だった。

[西]ジェニュイン以外でもたくさんサンデーサイレンス産駒に乗ってきてますが、ヤンチャというか、ナメてくるようなところがあったんですか?

[田]みんな怪しいところは何かしらあったね。

[西]皐月賞を勝っているヴィクトリーも、かなりヤンチャだったみたいですね。

[田]調教では尻っ跳ねが凄かったみたいだったけど、競馬でも言うことをきかなかった(苦笑)。ただ、威圧されるような怖さがあったのはジェニュインが一番だった。

[西]同じサンデーと言えば、サクラプレジデントもいます。

[田]あの馬は気持ちが真面目だった。本当に気持ちが真っ直ぐで、真面目過ぎるくらいだったんだよ。

[西]タラレバを言っても仕方がないのでしょうが、もし気持ちに良い意味で余裕があったらまた違っていましたか?

[田]そう思う。

[西]2000mでも若干長いような指摘もありました。

[田]気持ちが続かないという部分はあった。

[西]よく体型的な面から距離適性を測ることがありますが、気持ちの面もありますよね。血統も、そういう部分が遺伝することも含んでいるのではないかとも思うんです。

[田]そういう面もあると思う。折り合いがついてリズム良く走ることができているのに、伸びないというケースもあるんだよ。そうなると、やはり気持ちという部分が影響したりするんだろうね。


[西]突然ですが、勝春さんから見て日本の馬で一番強かったと思うのはどの馬ですか?

[田]なんだろうなぁ。

[西]勝春さんの世代は、セキテイリュウオーの父トウショウボーイから、ノーザンテースト、トニービン、そしてサンデーサイレンスやブライアンズタイムというような変化の真っただ中を経験されているので、実際にそれぞれの時代の最強馬の強さを肌で感じてこられていると思うんですよ。

[田]ディープインパクトだろうなぁ。

[西]今はオルフェーヴルという名馬もいますが。

[田]いや、ディープインパクトでしょう。

[西]一緒に対戦されていますが、その前の三冠馬ナリタブライアンよりも強いですか。

[田]ナリタブライアンよりもディープの方が強かったように思う。

[西]オグリキャップはどうですか。

[田]もちろん、オグリキャップも強かったけど、ディープインパクトは負けてない。負けてないんだから強いんだよ。

[西](日本では)負けても2着でしたからね。

[田]オグリキャップにしても、ナリタブライアンにしても、大きく負けている。でも、ディープインパクトは負けていない。強くなければできないよ。

[西]ところで、よく“乗り味”という言い方がされますが、勝春さんが最初にその馬の能力を判断するポイントみたいなところって、どこですか?

[田]うーん、何だろう。

[西]よく“格が違う”とか言ったりしますけど。

[田]やっぱり雰囲気かな。乗った瞬間の感覚があるんだよ。抽象的で、言葉で上手く説明できないんだけど、独特の雰囲気というのがある。

[西]何となくなのでしょうか。

[田]そうだね。ここがこうだとか、そういうことでなく、馬から伝わってくるものがあるんだよね。『1000万なのかなぁ』、『これは500万までだなぁ』というような感じかな。

[西]もちろんそのなかには例外もいますよね。

[田]そりゃいるよ。成長して良く変わっていく馬というのがいるからね。

[西]その変化の予兆を感じたりもするんですか?

[田]予兆というか、例えば『この過程で躓いているようでは上にはいかないなぁ』とか、『ここをクリアできるようならば上までいけるだろうなぁ』というような感覚かな。ただ、素質のある馬は黙っていても1000万まではいくよね。

[西]それは良く言われますよね。やっぱり1000万なんですかね。

[田]1000万からどうするか、どうなっていくかなんだよね。

[西]最近、これはと思った馬いましたか。

[田]最近ではクラリティシチーだね。

[西]上原厩舎の2歳馬ですね。

[田]この前(いちょうS3着。対談後の東スポ杯2歳Sで3着)も期待していたんだけど、いまひとつだった。こちらが思い描いたほどの良化ができなかった感じだけど、まだ緩い面があって、さあここからどんな成長をみせてくれるか。まだこの時期だし、楽しみだよね。

[西]乗るようになったきっかけみたいなものがあったんですか?


[田]たまたまスタンドで馬場を何気なく見ていたら、目前をダグ踏んでいく馬がいたんだよ。それがクラリティシチーだったんだけど、良い馬だなぁと思って、それでマネジャーに聞いてもらったのがきっかけ。

[西]よく“緩い”って言いますけど、そういうところは乗ってみないとわからなかったりしませんか?

[田]わからねぇ(笑)。緩い馬というのは平均、乗り味が良かったりするんだよ。柔らかさを感じる。

[西]紙一重みたいなところがありますよね。

[田]その緩さが、トップスピードにシフトしたときにハマって、弾けるという馬は走る。緩いままというか、シフトチェンジしたときに変わらない馬は駄目。

[西]なるほど。

[田]緩さがあっても、一瞬でも良いから力が入る馬は走ってくるんだよ。

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