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オールカマーのヴェルデグリーンは“猫を被って”いた!?
2014.1.16
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田辺裕信騎手…以下[田]
西塚信人調教助手…以下[西]

[西]話を戻すと、ヴェルデグリーンオールカマーは感動した。

[田]あ、そうですか。

[西]あれ? 会心の騎乗ではなかったのかなぁ(笑)。

[田]普通通りかな。出てから考えようと思っていたら、ゲートを出たら進んでいかなくて。『こんなに進んでいかないのは初めてだなぁ』と思っていました。

[西]そうだったんだね。

[田]元々は引っ掛かる馬でしたからね。松岡が乗ってハナを切ったりしていて、最近は折り合えるようになっていました。ただ、折り合うとかの問題ではなく、進んでいかないんです。休み明けということもあって、まだ完調じゃないんだなぁと、半周くらいまで思っていました。1コーナーでイケドラゴンに乗った大野が近くにいて、引っ張っていたので『いいな。お前のは手応えがあって。俺のは進んでいかねぇよ』という会話をしていたんです。


[西]ははは。随分と縦長になったよね。

[田]誰が先頭を走っているのか、わかっていませんでした。

[西]かなり離れていたよね。

[田]あれだけ離れる展開になったこともありますし、またあのコースだからということもありますよ。まあ、そんなことはどうでも良かったんですけどね。

[西]ただ、勝負どころで前に取り付いたのは早かったよね。

[田]あの馬、瞬間移動が可能なんですよ。

[二人](笑)。

[西]イケる、とか思ったりしていたの?

[田]正直、あのレースはまずは無事に終えて、そこから続けて競馬をしたいという思いでした。体が締まって、息ができて、次勝負というイメージを、僕も厩舎サイドも持っていたはずです。厩務員さんは、トイレに行きたいから早く放しますので、お願いしますって言ってた。

[西]箕輪さん(笑)。

[田]どうしても甘くはないという思いがありますからね。でも、3コーナーの手応えは驚かされましたよ。それまでスカスカで追走に苦労していたのに、突然手応えが復活したんです。

[西]確かに、手応えは良くなかったよね。

[田]やっぱり、苦しいんだぁと思ってもいましたよ。かわいそうだなとも思ったんですが、競馬ですので何もしないわけにはいきません。3コーナーで頑張らせようと思って、促すともの凄い反応で、『おい、猫被ってたのか』と言いたくなるくらいでした(笑)。

[西]そういうタイプなの?

[田]いや、そういうタイプじゃないんですが、ずっと抑えて競馬をしていたので、指示が出るまでは力を出さなくて良いということを学んだのかもしれません。

[西]なるほどね。

[田]有馬記念も2500mなのに全く引っ掛かるところがありませんでした。結果は負けてしまいましたが、出たなりで追走させるということはリラックスして走ることができるということだから、良い方向に向かっています。ただ、あのオールカマーのときは、僕自身休み明けだし、と思いながら乗っていました。

[西]展開も合ったのか。

[田]人気がなくて、それに対して前でやり合う展開になってくれたことも良かったとは思います。

[西]一瞬、福島の2600mを見ているような感覚になった。

[田]福島の2600mはあまり勝ったことがないからわからないけど、あの馬が取り付いたというよりは前が止まったという感覚もありますよ。

[西]有馬記念は距離かな。

[田]多くの人たちにそう言われたりしますが、個人的にはそうは思いません。相手が違う。

[西]逆に中山の2500mとか合いそう?

[田]AJCよりも日経賞の方がメンバー的に弱かったりもするので、個人的には面白いと思ったりしています。ネコパンチみたいにガンガン行ってくれる馬とかもいそうですね。

[西]大外を回しているので、セコ乗りということではないけど、でもそこまでは後ろから行っていた。それに対して京王杯2歳Sカラダレジェンドなんか、ポジションを取りに行っているよね。

[田]取りに行く、行かないというのは、スタートを出たときに自分で考えるんです。

[西]そう。スタートを出たとき、選ぶ権利が発生するということだよね。

[田]Yes。出ていないのに取りに行こうとは思わないですよ。

[西]取りに行けないよね(笑)。

[田]だから、レース前にどういう乗り方をしたいですかと聞かれますが、正直言うとわかりません。それが本音です。

[西]出てみないとポジションを取りにいけるかどうかもわからないからね。

[田]指示もありますよ。ただ、自分に任せると言われているときには、馬のリズム、馬の気持ち、そして息遣いなどから判断してレースをしていきます。人間が陸上競技をするときのように、馬はゴールを知りません。よく馬はゴールを知っているとか言われたりしますが、それはないですよ。毎回違う距離、違う競馬場、なかには芝とダートと走らされていて、それでゴール板を知っていたら人間並みの知能でしょう。

[西]そうだよね。

[田]もしゴール板を知っていたら、1周目で『ここで終わりでしょ』ってやめちゃうはずですよ。

[西]そうだよね(笑)。ところで田辺さんと言えば、セコ乗りをどうするかというような話をしてましたよね。

[田]昔はね。

[西]そう昔は。セコ乗りの基本としてまず位置を取りにいかないということがあるよね。

[田]いや違う。いかに脚を使わないで、どうやって内に潜り込むかということです。

[西]そうなると内、外という話で、内に潜り込んではじめてセコ乗りが完成するの。

[田]いや、一番大切なのは、前に行く馬も、後ろから行く馬も、馬なりですよ。馬なりで、ゲートは出すことです。ゲートは出るにこしたことはありません。

[西]なるほど。

[田]ゲート出は大切ですよ。特に新馬戦などは、より大きいウェイトを占めます。

[西]ゲートが出ることで選択肢が増えるということだよね。でも、出ないときもあるわけだよね。

[田]出ないときには、そこで競馬せざるを得ないですよ。出ないからと言って出していくのはセコ乗りではありません。そこで脚を使うことになり、真っ向勝負になってしまうわけですよ。ただ、セコ乗りだろうが、真っ向勝負だろうが、ゲートの出は大切です。極端な言い方をすれば、追い切りと同じくらい大事にしてもらいたいですよ。

[西]尾関厩舎ゲート班班長なんですよね。ゲートばかり練習しているわけですよ。なんて、ゲート班なんてないんですけどね(笑)。


[田]いや、大人しい馬でもゲートは毎週行った方が良いですよ。脚を出せずに躓きそうな馬とかいるじゃないですか。定期的に出しておけば、躓かなくなるはずです。気のないタイプが大人しくしていても、気がないために開いた瞬間に躓いてしまったりする可能性があるわけですよね。そういう可能性がある馬たちは全頭やっておくべきだと思います。そうすることで、対応できるようになるはずです。

[西]むしろ大人しい馬たちをやっておいた方が良いのだろうね。

[田]芝のスタートは、地面をしっかりととらえやすいので、そこまで躓くということはないですよ。でも、ダートは躓きやすい。率で言えば9対1くらいで躓くのはダート。

[西]ダートだから不安定なのかな。

[田]なぜ4本脚があるのに躓くのかと思うし、上手く説明できませんが、ダートは躓きます。

[西]練習はダートコースなのにね。

[田]しかも、地方馬たちはほとんど躓かないのに、JRA所属馬たちは躓くわけですよ。地方馬たちは、競馬も調教もダートで行っているので、わかっているんでしょうね。馬に聞いたわけではないので、本当かどうかわかりませんけど(笑)。

[西](笑)。

[田]でも、交流レースにいくと、躓くのは必ずと言って良いほどJRA所属馬ですよ。慣れてないからだと、個人的には思っています。

[西]そうだよ。だって、毎日ダートを走っている地方馬に対して、JRAの馬たちはダートを走ることの方が少ない環境にあるわけだよね。

[田]本当に、毎週、やり過ぎじゃないかというくらいやってもらっても良いと思います。大人しいからやらないとか、スタートが速いからやらないというのではないんですよ。速くても慌てて出ていたりする。気がなくて躓いているか、慌てて出て躓いているか、だったりするんですよね。

[西]そう言われればそうだわ。

[田]調教師になったら、やった方がいいですよ(笑)。調教に対してはそれぞれの考えがあってやっていることなので、聞かれないと言わないんだけど、ゲートはやった方が良いと思っている。

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