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今回のゲストは、昨年の中山大障害を制した五十嵐雄祐騎手です!
2014.2.27
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五十嵐雄祐騎手…以下[五]
西塚信人調教助手…以下[西]

[西]今回は五十嵐雄祐騎手をお迎えいたしました。お忙しいところありがとうございます。

[五]よろしくお願いいたします。


[西]五十嵐は、西塚厩舎時代に同じ並びで、田辺とともにウチで騎乗を依頼していたはずなんだよね。

[五]乗せていただいていました。

[西]ダンハッピークインって覚えてる?

[五]うーん、言われて名前は思い出しましたが、馬の記憶は思い出せない感じです(苦笑)。

[西]俺がトレセンに入る直前くらいだったはず。グロリーシャルマンの産駒で、口向きが悪かったんだよね。それはそうと、五十嵐騎手と言えば、昨年の中山大障害を勝ったように、障害のトップジョッキーです。いきなり、しかも月並みで申し訳ないのですが、怖いとか思ったりしないんですか?

[五]そうですね、もうそういう感覚はあまりありません。むしろ、見ている方が怖いです。乗っていたら、そんなに怖くないものです。乗っているとたいしたことがないはずなのに、見ていると危ないと思いますし、ヒヤっとしたりもします。

[西]以前、(横山)義行さんに出ていただいたときに、いまだにドキドキすると聞いたんですよ。無事に回ってこれるかなぁと、脳裏をよぎったりするらしいんだよ。

[五]僕も全然ないわけではないですよ。ただ、慣れたかな。また義行さんは怪我が多いからかな。僕も多いですけどね。

[西]あ、そう。障害に乗り始めた頃は緊張したりしたでしょ?

[五]しましたよ。

[西]障害に乗り始めたきっかけは何だったの?

[五]僕はデビューする前に障害試験を受けてました。

[西]えっ、本当に。申し子じゃん。

[五]申し子じゃないですけど。

[二人](笑)。

[西]師匠である菅原先生がそうしたんだよね。

[五]競馬学校の3年を卒業する間際に、先生がテンビーエースという馬の練習を(田中)剛さん(現調教師)に頼んでいて、“五十嵐がデビューしたらレースに乗せるけど頼む”とお願いをしてくれていたんです。2月に卒業して、そこから引き継ぐ形で試験を受けて、デビュー2週目に障害デビューを果たしていたんですよ。

[西]テンビーエースは重賞を勝ったよね(03年東京オータムジャンプ)。

[五]僕はそのとき乗っていませんでした。

[西]あれ、誰だった?

[五]義行さん。その当時は、もちろんですが下手くそで、2着3着が続きまして、義行さんに乗り替わりになったんです。それで2着、1着となって、その次に重賞を勝ったんですよね。個人的には2着、3着にきていたので、稼がせていただきました(笑)。

[西]うははは。そうだよね。でも、初めてつくった馬が重賞を勝ったんだ。

[五]そうなんですよ。あ、重賞を勝つことができるんだと思いましたよ。

[西]重賞を勝つんだから、跳びとかも上手だったの?

[五]上手でしたし、普段はそういう感じがなかったのに、障害に向けて行ったときは自ら跳んでいく感じで、前進気勢が強かったです。そういう意味では適性があったということなのでしょうね。ただ、最初がそういう馬だったので、多くの馬がそうなのかとも思ったりしましたが、そうじゃないことを知りましたし、経験してテンビーエースが障害に適性が高かったということも知りました。

[西]角馬場は良いのに、コースにいくと駄目とか、平地の馬を障害馬にするのは簡単じゃなかったりしますが、テンビーエースはスムーズだったわけだね。

[五]まあ、ひとつ言えることは、最初に僕ではなく、剛さんがやっていたからですよ(笑)。

[西]ははは。

[五]その当時の僕自身のレベルを考えたら、そう思ったりしますよ。

[西]そういう面もあるのかもしれないけど、あとは馬自身の適性もあるよね。天才的に上手い馬というのもいるから。でも、試験と実戦は違ったりするよね。

[五]全然違いますよ。調教や試験で上手に跳んでいるからといって、レースでも上手に跳んでくれるということではありません。レースでは多頭数ですし、ペースが違ってきたりもして、自分のリズムで走れなかったり、踏み切れなかったりという状況にもなりますので、実戦で駄目ということも珍しくないです。

[西]そうだよね。

[五]スピードが違ってくると、完歩の大きさも違ってきますので、踏み切りのタイミングにも違いが生まれてきます。それに対応できる馬ももちろんいますが、対応できない馬もいます。

[西]なるほどね。練習でいまひとつだったのに、実戦で良かったりということもあるの?

[五]なかにはそういう馬もいますが、本当に少ないですよね。

[西]そうだよね。

[五]馬の適性もありますが、障害のレースって、騎手の心理的な面が影響するんです。

[西]騎手が「あ、下手だな」と思えば警戒するということ?

[五]下手だな、あまり上手くないなというイメージで乗っていると、レースで攻め切れない面が出てしまうというか、まずは何かあったときに対処できるように、という意識が働きます。

[西]初障害の馬のなかにはハナに行ってしまうケースがあるけど、一般的には危険なので番手以下で競馬をする感覚だといわれている。でも、そういうケースでも心理的な部分が影響したりするよね。

[五]個人的には、初障害でハナに行ってしまうような馬は嫌いじゃないですよ。

[西]前進気勢があるからという意味で?

[五]結局、走っていて止まったりしないですし、障害のハナというのは、周囲に影響されなかったりするわけですよ。

[西]あっ、自分のリズムでいけるんだね。

[五]そう。自分のリズムで障害に向かうことができるし、練習と似ている感覚なんですよ。

[西]半馬身前、あるいは後ろ、もしくは外と内に馬がいる形になって、一緒に跳ぶ形になると、つられてしまうことがあるっていうよね。惑わされてしまうというか。

[五]なかにはあります。僕自身は、若い頃大江原隆さんにいろいろ教えていただいていたんですが、そのように馬が半馬身後ろにいるような状況のときには、並べていくか、逆に1馬身下げるかというように対応するべきだと教えていただきました。そうしないと、つられて跳んでしまって、ひっくり返ってしまう危険性があるということなのです。さらには、自ら跳ばしにいっているのか、そうじゃないのかという状況にもよります。

[西]跳ばしにいく、いかないというのはどういうことなの?

[五]説明するのが難しいんですが、例えば次の障害に向けて踏み切るとき、若干遠いと感じる状況で、出すか、引くかということですね。遠いけど、3完歩くらい出して、勢いに乗って跳んでくれれば良いのです。でも、思ったよりも遠かったりすると危ない。遠目から跳ぶと、馬自身ジャンプはしてくれますが、体が伸び切ってしまいます。そうなると、着地でトモが崩れたり、ひっくり返ってしまいます。

[西]そこで遅れるからね。

[五]逆に、引いたときには、1、2、3で行くところを1、2、3、4という感じで。詰まったというか、リズムが違ってくるんですが、それでも遅れる形になるんです。すみません、上手く説明できなくて。

[西]いや、大丈夫。

[五]そういう変化への対処が上手な馬がいて、何もしなくても遅れずに跳べるんです。僕自身の感覚では、そういう馬が上手いと思うんですよね。

[西]遠目から跳んではいけないんじゃないの?

[五]実は、最終障害は遠目から飛んだ方が良いんですよ。

[西]障害に乗るわけではないので、参考にはならないんですけど、どうして?(笑)

[五]勝ち負けがかかっている状況では、最終障害を遠目から跳んでくれると、着地してから勢いに乗っていってくれるんです。そこで普通に跳ぶと、失速するということではないのですが、遠目から跳んでいる馬とは明らかに勢いが違ってきます。

[西]着地してからの1歩が違うということだよね。

[五]勝負がかっている最終障害となれば、ペースも上がってきていますし、出していきます。そこで遠目からでも跳んでいける馬は凄いですし、やはりオープン馬たちはそういう馬が多いですよね。

[西]そういうものなんだね。

[五]遠目からでも自分が出したときに跳んでくれる馬は成績が良いですよね。最終障害で踏み切りが合っているに越したことはありませんが、若干遠目くらいの方が勝てたりします。ハナ、頭差くらいになったらなおさらですよね。

[西]障害で僅差というケースはあまりないですけど、そうだよね。

[五]あまりありませんけど、たまにはあります。

[西]個人的にも障害騎手の方々とお付き合いさせていただいていますが、初めて聞きました。

[五]どちらというと感覚よりも、考える方なんですよね。

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