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見ていてつまらない競馬にしないために、できるだけ前へ
2014.3.6
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五十嵐雄祐騎手…以下[五]
西塚信人調教助手…以下[西]

[西]中山大障害アポロマーベリックは自信あったの?

[五]僕自身、あまりそういう感覚がないんですよ。もちろん勝ちたいですよ。ただ、勝つぞ、とか、やってやろうという意識をレースのときには持っていません。その馬が一番走れる競馬をしようということだけを意識して乗っています。もし速い馬がいるのならば、行かせて2番手でも良いと思いますし、逆に番手でと思っていても、あまりにも行きたがっていたら、無理に抑え込んでも意味がなくなってしまうので、行かせる、というような感覚が大事だと思っています。

[西]そういう意味では、障害騎手の中では行く系というか、攻める系だったりするよね。

[五]そうですね。

[西]五十嵐と山本(康志)さんは行く系だよね。それは合ってる?

[五]合ってますよ。山本さんより僕の方がそういう傾向が強いんじゃないですか。

[西]そうかも。

[五]僕自身、競馬に乗っていて、その馬が一番走れる競馬という意識以外にもうひとつ、見ていてつまらない競馬はしたくないという思いがあるんです。障害は距離が長くて、縦長になる傾向が強いです。そうなると、後ろにいると画面に映らなくなってしまいます。馬主さんにしてみたら、映らないよりも映った方が面白いでしょうし、馬券を買っているファンの方々も、そうだと思うんですよ。


[西]そんな風に考えたりするんだぁ(笑)。

[五]先行集団にいて、これだけの競馬をして駄目だったんだから仕方がないと思われないと、申し訳ないと思うんです。だから、出来る限り、前にという意識があります。

[西]いつも攻めるよね。

[五]でも、たいして攻めてはいないんですよ。あくまで自然な感じで乗っています。

[西]ははは。自然に前ですね。

[五]もちろん馬にもよりますが、ある程度出して位置は取りにいきます。そうしないと勝てません。あとはそこで動かずに、自然に流れに乗っていく感じです。むしろ道中では無駄な動きを極限まで避けたいんですよ。

[西]今回のアポロはその最たるレースじゃなかった?

[五]自信があったという話がありましたが、自信とかではなくて、スムーズに競馬をしてやろうと思っていました。1頭行きたいと言っていた馬がいましたが、ハナに拘る馬がいないメンバー構成でしたし、スタートも速かったです。行くならば行ってもらって、行かないのならばこちらがという感じで、あの位置になったんです。

[西]途中から先頭に立っていったよね。

[五]自分から仕掛けていったわけではないんです。大障害もコース取りがあるんですよね。これも大江原さんに教えてもらったことなんですけど、狙っていくポイントがあったりするんです。自分自身で、今回も含めて同じようなコース取りをしているはずなんです。

[西]大障害は回りが変わるからね。

[五]大竹柵を飛んだときに、内と外が逆になります。そこでハナに行っていた馬の内側にいて、コーナーでハナに立つ形になったんです。去年の大障害は、普通に乗って、普通にハナに立って、直線を向いたという競馬でした。

[西]思い描いた通りの競馬だったんだね。

[五]距離ロスも一番少なく乗って、しかもハナに立ってということで、先程も言ったようにハナに立つということは練習みたいな感じで競馬ができたということなんですよ。

[西]無理してハナに立ったわけでもないしね。それ以外にも、動くところもポイントだったりするんじゃないの?

[五]そこはあります。中山は「ここから」というところがあって、手応えをみながら判断していたんですが、そこまでが出来過ぎという感じもありました。その時点でいけるかなぁとは思っていましたが、たとえそこから何かに負けてしまったとしても、この馬の競馬はできたと思えていました。

[西]ちなみにポイントはどのあたりなの?

[五]言ったらみんなに真似されちゃうからなぁ(笑)。

[西]大丈夫だって(笑)。

[五]大障害の舞台で、向正面くらいまでスムーズにハナを切っていっていた場合の話ですからね。そのときに向正面くらいから踏んでいくんです。普通の未勝利戦が終わって、バンケットを登ったくらいから速くしていく感じです。意図的にペースをあげるんですが、そこで手綱をシゴイていくのではなく、そのままの格好で出来る限りのスピードアップをするんです。

[西]なるほど。

[五]そこまでで3、4馬身リードがあったとすると、最終障害の時点で2番手の馬はハナを行く馬の1馬身後ろぐらいまでに来ていたいものです。だから、こちらが踏んでいくと、3、4馬身が5、6馬身に広がる。そうなると、2番手、3番手の馬は「遅れてしまわないように」という意識が働き、踏みますよね。しかも手綱を動かして、踏みます。

[西]なるほど。

[五]結局、2番手、3番手の馬たちは、向正面の半ばくらいから仕掛けて、脚を使ってしまっているわけですよ。それに対してこちらは楽に行っているなかで、しかも脚を全部使っているのではないわけです。

[西]脚を使わせるということだよね。

[五]そうです。またバンケットでも1回踏むんで、勢いを付けて登って行って、あとは最終障害まで後続を待てば良いんです。

[西]障害に乗らないけど、参考になるわ(笑)。そう言われると、今回は2着、3着はそのもっと後ろにいた馬たちだ。そうか、好位で競馬していた馬たちが脚を使わされたからこそ、その後ろにいた馬たちが届いたんだね。

[五]そういうことでしょうね。

[西]五十嵐、凄いわ。


[五]もちろん、自分の馬に手応えがあったからこそ、できることなんです。

[西]ということで言えば、そこまで良いリズムでロスなく行くことができたから、ということだよね。

[五]そういうことですよね。

[西]いやぁ、感動した。

[五]そういうことを考えながら競馬をする方なんですよね。

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