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騎手の駆け引きを推理する楽しさが、障害にはあります
2014.3.20
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五十嵐雄祐騎手…以下[五]
西塚信人調教助手…以下[西]

[西]話を戻しますが、第三場で開催されることでのデメリットというか、問題点というのがあるということですよね。あ、大障害だって、コース未経験で走る馬が出てくる可能性があるということですよね。

[五]そうですね。

[西]逆に中山だけが得意という馬もいますよね。でも、それが走ってみるまでわからないケースが増えるとも言えるわけですよ。

[五]中山ということで言えば、東京をはじめ中京や新潟では厳しいタイプでも、中山ならばごまかしが利くんですよ。

[西]跳びの上手さもあるよね。

[五]もちろん跳びの上手さもあるし、レース運びひとつで勝たせることができたりする可能性があります。逆に言えば、関西馬に勝てる可能性が高いとも言えますよね。

[西]なるほどね。中京や新潟だと、力勝負になって、より平地の脚力が求められるということだ。

[五]関西からすれば、ラッキーと思っているはずですよ。ローカルならばより独壇場になりますから。

[西]義行さんも「関西馬は走る」って言ってた。

[五]いろいろ要因はあるんだろうけど、現実問題としてその差は明らかですよ。

[西]いや、その問題は深刻で考えさせられますよ。先日の雪での遅延が話題になったなかでさえ、関西馬に勝たれてしまっていましたからね。

[五]春菜賞(2月17日に開催された3歳牝馬限定500万。関西馬ヤマノフェアリーが勝利)ですね。

[西]そう。それが障害の世界にもあるというか、むしろ平地よりもハッキリしているのかもしれないね。

[五]そういうことです。

[西]しかも、第三場に移されることでよりその差が出てしまうわけですよね。

[五]実際、僕自身も含めて今年は関東の騎手は勝てないはずですよ。関西の騎手たちの3、4人が10勝以上すると思います。

[西]だいたい15勝くらいがリーディングのボーダーラインだったりするよね。

[五]僕が取ったときが、13勝と14勝でした。

[西]だいたいそんな感じか。

[五]その後の年が9勝でトップだったんですけど、10勝未満ということでJRA賞該当者なしになったんです。

[西]そんなことがあったんだ。話は変わるけど、同期の田辺が活躍してます。

[五]凄いですよね。

[西]五十嵐も障害では凄いじゃない。

[五]いやぁ、アイツは凄いですよ。でも、やっぱり見ていても上手ですよね。

[西]代名詞となっているセコ乗りでね(笑)。

[五]でも、競馬はそれをしなければならないと思うんですよ。セコいかもしれませんが、無駄をいかに省くかというのが騎手の仕事のひとつですからね。

[西]それが出来たのが中山大障害アポロマーベリックでしょ。

[五]まあ、そう言えますね。

[西]大庭氏が言う“前々でのセコ乗り”というやつですよね(笑)。

[五]あ、大庭氏がそう言ってたんだ。個人的には大庭氏の乗り方は好きです。無駄を省いた競馬が好き。外の番手よりもハナを行く馬の真後ろが理想ですよ。

[西]しかも、出していくのではなくて、何もしないでその位置ですよね。

[二人](笑)。

[五]やっぱり大庭氏もそうコメントしていたんだ。

[西]言ってましたよ。

[五]そうやって考えているのか、当たり前にやっているのかわかりませんが、そういう競馬をできる人は凄いと思いますよ。

[西]昔、田辺が西塚厩舎の馬に乗れなくて、他の騎手に依頼することがあったんですよ。そこでセコ乗りしてもらいたいと言うと、「誰にでもできることじゃないんだよ」って言われたことがあった。セコ乗り界の技術があるということなんでしょうね。

[五]それはありますよ。あとは、やはり本命馬を負かさなければならないときに、どうやったら可能性があるかと考えるわけですけど、そうなったらセコく乗るしかないわけですよね。

[西]同じように乗ったら勝てるわけないよね(笑)。田辺のセコ乗りのクオリティはやはり高いんだね。

[五]俺は凄いと思う。いまでもスタイルが崩れないですよね。AJC杯でも、人気になっていたから心理的には位置を取りに行きたくなるものなんですが、オールカマーと変わらないような競馬をしていましたからね。人気馬に乗ると、やはり良い位置でという心理になりますし、そうしなければいけない感じになるんです。でも、それが一番良いかと言えば決してそうだとは言い切れません。

[西]そうだよね。

[五]もちろん勝っているときだからやれるということもあるんですよ。僕自身も、勝っているからやれるというところは間違いなくあります。

[西]精神的な余裕だったりもするんだろうね。

[五]無茶しなくて良いんですよ。競馬での無茶は個人的には良くないと思います。例えば、マクって行って勝つ馬もいますが、そうじゃなかったりする方が多いです。

[西]力が違わないと厳しかったりするから。でも、トップジョッキーの人たちも若い頃とかセコ乗りしたんだろうね(笑)。

[五]そうでしょうね。若いときにいろいろ考えて、試行錯誤したりしていまになっているわけですから。いまトップの人たちのなかで、見ていて「上手くない」とか思うファンの方がいたりするかもしれませんが、決してそうじゃないんです。それだけ勝っているということは、それだけ何かをしていまの位置に登ってきたわけで、やはり力があればこそなんですよ。勝っている人に勝っている理由があります。

[西]いやぁ、良い話をありがとうございます。障害レースをみるときにはぜひ騎手の心理に注目してもらいたいですね。

[五]そうですね。例えば、番手を進んだときというのは、先頭を出来るだけかわいがって、自分が勝つというイメージを描いたりするというように、それぞれに心理が働いていて、そのような各騎手の性格や特徴が顕著に出るのが障害レースです。そういう面も予想しながら楽しんでいただける部分が障害にはあると思います。どうか、そういう見方もしていただければと思います。

[西]推理する楽しさがあるよね。

[五]ありますよ。

[西]ぜひまた機会がありましたら、来ていただければと思います。ありがとうございました。


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