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“何となく”スランプになった馬は本当に難しいです
2014.6.5
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人間でもスランプに陥ってしまうことがありますが、それまで良い成績を収めていたのに、突然成績が振るわなくなってしまう馬は珍しくありません。

例えば、どこかに疾病を抱えているとか、どこかに気になる部分があったというように、理由がハッキリとしていて、それを携わる側も把握しているケースというのは、言葉は適切ではないかもしれませんが、それほど深刻ではなかったりするんです。そこが完治、改善すれば、再び能力を発揮できるようになる確率が高いからです。

それに対して、“何となく”成績が振るわなくなるケースは難しいものなんです。今回はそういったケースについてお話ししたいと思います。

ブッチャけてしまいますが、競馬の世界にはこの“何となく”というものが存在します。何となく歩様に違和感を感じる、何となくいままでとは違う、というようなことは決して少なくありません。

じゃあ、出走させなければ良いではないかとおっしゃるかもしれませんが、これがまた難しい。

なぜならば、そのような状態でも競馬で勝つ、あるいは好走することが、これまた珍しくないからなのです。

歩様がいつと違うから、何かが違うからといって、即出走取り消し、放牧とはなかなか判断できないのが現実なんですよ。

以前にお話をしたかもしれませんが、症状によっては、獣医さんによっても診断が違うことも珍しくないんです。馬も「どこが痛い」とは言ってくれませんので、人間が探って、見つけて、対応しなければなりません。完璧に把握するのは、本当に難しいものです。

話が逸れてしまいましたが、歩様がいつもと少し違うからと言っても、それで好走するケースもあるだけに、一概に駄目とは言えないということなのです。

曖昧さ満載の“何となく”ですが、そのなかでも精神面によってスランプに陥り、走らなくなってしまうケースは困難を極めます。

同じ“何となく”でも、肉体面ならば、ジャッジ自体は難しいですが、要因について考えられるというか、対応策が考えられたりするんですが、そうじゃないケースというのがあるんです。

その多くは精神面の問題だったりするんです。

個人的には、馬の精神論に要因を求めたくはありません。なぜかと言いますと、目に見えていることも無視してしまいかねないからなのです。

目に見えている情報ではなく、根性論になってしまったりしかねず、それはプロとしていかがなものかということがあります。

でも実際、馬がスランプに陥ってしまうときというのは、往々にして精神面が要因になっていることがあるんですよ。

そして同じ精神面でも、例えば競馬で他の馬に寄られた影響で他の馬を気にするようになってしまったのであれば、それを克服するように対応しますし、馬自身が乗り越えてくれたりするのですが、馬自身が走ることをやめてしまうというケースがあって、これが実に難解だったりします。

個人的な印象としては、やめてしまうという馬というのは、基本的に我が強いタイプが多いように思います。

そのようなケースでは、ブリンカーを装着するなど馬具に頼る、前に行かせて競馬をする、牡馬ならばセン馬にするというような対応策が取られることが多いです。

ところが、本当に要因を把握して対応するのは本当に難しいです。いや、もっと言えば、それらの対応策は“とにかくやってみよう”という感覚がほとんどだったりするはずです。

なぜそう言えるかというと、馬自身がやめてしまうケースの多くは、調教での動きや飼い葉喰いなどはそれまでと同じで、変化を感じないことがほとんどだったりするんですよ。

いつもと違うということがあれば、それに対して対応すれば良いのですが、何も変化はないけど、競馬で走るのをやめてしまうということですからね。

ハッキリ言って、携わっている側がわかっていないわけで、それをファンの方々にその変化についてお話できるわけがないですよね。

もちろん、ブリンカーなどの馬具が効果を発揮するケースも多く、特に初めて使用するときは絶大だったりします。また、個人的には短い距離の競馬を使う、また逆に長いところの競馬を使うという手段は効果があると思っています。

ファンの皆さんのなかでは、初ブリンカーや初距離には注意というような定説があるようですが、もちろんそこでの激変という可能性はありますよね。その逆もまたそうです。

例えば2000mの芝を走っていた馬を芝、あるいはダート1200mに出走させるというのは、なかなか理解を得られず、難しかったりするんですが、改善されるケースを経験しています。

その逆もあって、短い距離を使ってきた馬を長い距離で走らせると効果があったりするんです。

西塚厩舎時代に預託していただいていたミハルザクラという馬がいました。転厩という形でお預かりしていたんですが、以前に管理されていた後藤先生は、それまで1200mを中心に走ってきた同馬を、2000m戦に出走させたそうです。

その心は、それまではスタートダッシュから他の馬に負けまいとガムシャラになってしまい、不整駆け脚になってしまっていたそうです。それに対し、馬自身の気持ちに余裕が生まれて、自分のペースで走れるようにと、スタートが遅い2000mを走らせることで馬に感じさせたかったということなのです。

そして次の新潟芝1600mで、見事に逃げ切り勝ちを収めたそうです。

トルークマクトなども、同じようなことなのでしょうね。短い距離を使われていたのが、長い距離を走るようになって馬自身が自分のペースで走ることを覚えてきて、それが成績の安定に繋がっているんだと思います。

以前、松岡とも話をしたことがあるんですが、やめてしまう馬というのは本当に悩ましく、難しいものです。砂を被ったから、デキが云々、乗り方が、とかそういうレベルの話じゃないんですよ。

なぜ走るのをやめてしまうか。敢えてここで終わらせていただきますが、本当に難解なものなんですよ。

※次回から中野栄治師との対談をお送りする予定です。

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