この時期の2歳戦で差を生むものとは
2014.7.10
先の東京、阪神開催から新馬戦が始まっています。
その新馬戦を観ていて思うのですが、追い切りのタイムが良い馬に人気が集中しますよね。
まだレースを走っていないわけですから、血統、騎手、厩舎、そして調教での動きというのが予想のファクターとなるのは至極当然と思います。ただ実際携わっている側として、調教のタイムよりも大事な部分があると感じています。
久しぶりにブッチャけさせていただきますと、特に2歳戦に関して言えば、調教タイムはむしろ参考程度くらいの感覚でしかありません。
もちろん、もの凄く動かないケースは別ですけど、水準的なタイムで動けていればそれで良いと思いますし、調教のタイムが良かったからといって凄く走るとも思えないところがあります。
じゃあ、どんなところで判断しているのかと申しますと、あくまで個人的な意見ではありますが、余程能力差がある場合を除き、力は拮抗していたりするわけですよ。
そうなると、ほんの僅かな何かが“差”を生み出すこととなるわけです。
それは口向きだったり、折り合いだったり、またレースのなかで自分を見失うことなく走れるかというような部分だったりするんだと思っています。
もっと言ってしまえば、少しくらい能力では負けていたとしても、ハミ受けや人間の扶助に対する反応など、基礎がしっかりとできているならば、その差を詰めるだけでなく、逆にアドバンテージにさえなる可能性が高いんです。
自分の兼ね備えている全能力をいかに発揮できるか。僕自身の少ない経験のなかでですが、高い能力を秘めながら、モタれてしまう、あるいは馬込みが苦手で折り合いを欠いてしまうために、能力の半分しか発揮できないような馬たちに出会ってきました。
特に、2歳の早い時期。そうですね、朝日杯くらいまでというのは、そういう基礎的な部分を含めた完成度の高さが大きな武器となってくると思います。
追い切りの時計も水準で良いですし、ゲートも普通で良いです(に越したことはないですが)。ただ、レースのなかで乗り手の指示や扶助に対して、落ち着いて、しっかりと反応できたならば、良い結果に繋がっていると感じます。
当たり前のことですが、レースにおいて、いかに持っている能力を発揮できるかという部分が大切なのです。特に2歳のこの時期は、それがより大きく影響してくると感じます。
もちろん、年齢を重ねていくと大人になっていきますので、能力差が大きなウェイトを占めてくるようになります。早い時期でも本番に強いタイプというのもいるんですが、2歳早い時期というのは、レースで落ち着いて、騎乗者の扶助にしっかりと反応できるということが大きな武器になります。
あと、順調に行くということもアドバンテージのひとつになります。
一旦入厩して放牧、あるいはゲート試験に合格した後で放牧というケースがあります。
クラブ会員でいらっしゃる方々は出資馬でそういう経験をされたりしているかもしれませんが、実際ゲート試験を合格した後に疲れをみせるケースは少なくないように思います。
追い切りについてこれない、食欲不振に陥る、あるいはどこに痛みを訴えるなど、様々なシグナルでサインを送ってきます。
ただ、少しペースをダウンさせただけで、乗り越えていく馬たちもいますし、例外もたくさんあります。それでも、やはり2歳の早い時期において順調に行くということは大きなアドバンテージと言えるのでしょう。
また、ここから本格的な暑さに向かっていくことになりますので、疲れをみせ始める馬たちは増えてきたりするんですよ。この暑さというのも、克服しなければいけない課題だったりするんですよね。
僕たちもレース前にイメージはしますが、口向きや折り合いなどはやってみなければ分からない面が大きいです。そういった未知数な部分が多いという部分も新馬戦の魅力のひとつなのですが、タイムだけでなく、その馬自身の動きを観られるならば観ていただきたいと思いますし、厩舎のコメントなどもぜひ参考にしていただければと思います。
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