今回のゲストはハナズゴールの豪州遠征に同行した加藤士津八助手です!
2014.7.17
加藤士津八調教助手…以下
[加]西塚信人調教助手…以下
[西][西]今回は加藤士津八調教助手をお迎えいたしました。よろしくお願いいたします。
[加]こちらこそよろしくお願いいたします。
[西]ご存知の方々も多いですが、加藤助手は騎手として、松岡正海、石橋脩、そして南田雅昭と同期。いわゆる黄金世代と言われた1人です。
[加]でも、いまの時点で東西で3人しか現役で残っていません。
[西]あ、関西も辞めているんだ。関西はどのあたりが同期?
[加]長谷川浩大、北村浩平、生野賢一とか、そして現役の佐久間です。
[西]そうだったんだ。そんな同期のなかでデビューしたわけですが、いま現在は調教助手として、これもご存知の方が多い
ハナズゴールとオーストラリアのG1を勝ちました。世界の加藤ですよ。
[加]馬が頑張ってくれたんです。世界のという代名詞は
ハナズゴールですよ。僕は全く凄くありませんから。
[西]実は、来週から“裏札”に行ってしまうので、急遽対談を行っていただくこととなりまして、申し訳ございません。
[加]こちらこそ、急がせてしまってすいませんでした。
[西]そこで、ここで“裏札”について少しお話をさせていただきます。この時期になると、我々調教助手や厩務員さんたちの間で「北海道行くの。どこ行くの?」「裏札だよ」というような会話が聞かれます。これは2回函館開催のときに、札幌競馬場に滞在して、調教を行い、そこから函館に輸送して出走することが認められているんです。この札幌を“裏札”と呼んでいるんです。これが札幌開催になると、“裏函”となるんですよね。加藤さん、よろしいでしょうか。
[加]良いと思います。
[西]函館と札幌ではどのくらいかかる?
[加]馬運車で5時間くらいじゃなかったかと記憶しているんですが。
[西]美浦から福島くらいだったかもしれない。そこで頑張ってくる加藤助手ですが、“裏、裏(函館開催時は札幌、札幌開催時は函館に滞在”になるの?
[加]ウチの先生が決めるので、まだ何にも聞いていません。でも、個人的には“裏、裏”が良いですね。
[西]“裏、裏”ですね(笑)。あ、それとなぜ裏に助手が多いかと言いますと、裏には騎手がいません。ですから、調教助手の需要がとても高いということなんです。なかには、裏に残って営業をする騎手もいますよね。
[加]いますね。2、3人という感じだと思いますが、いますよ。
[西]士津八クラスになると、他の厩舎から乗ってくれって言われるでしょう。
[加]クラスかどうかは別にして、手伝ってほしいとは言われます。
[西]手伝うの?
[加]ウチの先生に伝えて、許可が出るときにはお手伝いさせていただきますよ。
[西]駄目な場合とかあるの?
[加]といいますか、相手の調教師の先生からウチの先生に直接依頼があるときだけですね。でも、この前大久保洋吉先生から僕が言われまして、先生に話をしたところ
『大久保先生ならば仕方がない。お手伝いしてあげなさい』ということがありました(苦笑)。
[西]ははは。面白いね。
[加]お手伝いするのは良いのですが、万が一怪我をした時が大変ですからね。
[西]そうだよね。労災や責任問題など、いろいろあるから、簡単じゃないのは当たり前。以前に、そういうケースでの事故も起こってしまっていますからね。でも、僕もこう見えて大久保厩舎から頼まれることがあるんですよ。
[加]ありますか。
[西]日曜日に競馬で人がいないからなんですけどね(笑)。でも、初めて頼まれたときには嬉しかったなぁ。昔、小倉に行っていたときに、僕を含めて二人しかいないのに、誰にも頼まれなかったということがあったんですよ。
[二人](笑)
[西]また、田辺がいてね。田辺は田辺でサボりたいから、俺を指名するんだけど、厩務員さんとかに
「危ないから」と言われて、結局乗せてもらえなかったことがあったんですよ(笑)。そんな話はさておき、やはり加藤厩舎と言えば、オーストラリアのG1を勝った
ハナズゴールということであります。おめでとうございます。
[加]ありがとうございます。
[西]滞在、長かったよね。
[加]そうですね。2ヶ月くらいですか。
[西]いまの時代珍しいですよね。凱旋門賞でさえ短期遠征になっているわけですから。2ヶ月以上いませんでしたか?
[加]中山の検疫も含めるとさらに長くなります。
[西]ひとつお聞きしたいのが、海外遠征の出国検疫は普通は美浦ですよね。なんで中山だったのですか。
[加]オーストラリアの方から、馬がいないところでの検疫でなければ駄目と言われたんです。
[西]あっ、そういう事情だったんだ。なんでそうなんだろうね。
[加]聞いた話では、数年前にあった馬インフルエンザ発症の一件が影響しているらしく、
マイネルキッツが遠征するときにもそうだったようです。
[西]それで中山だったんだ。
[加]しかも、あの時は最悪だったんですよ。大雪で、それこそ運動場にも出られないような状態になってしまったんです。さらに、検疫内に職員の方も1人しか入ってこれなくて、担当厩務員さんと2人でほぼ1日かけて雪かきをしてました。結局2日間攻め馬ができなくて、ようやくできたと思ったら、ダートのコースの4分の1くらいしか使えなくて、あとは雪、雪、雪という状態のなか乗っていました。
[西]しかも1頭ですよね。
[加]そうです(笑)。
[西]それは大変ですよね。
[加]しかも、競馬をやっていて、オーロラビジョンに映し出されていたので、その光で物見をしたかと思えば、雪で物見をして、正直最悪でした(苦笑)
[西]あのときは美浦もヤバかったですからね。僕もあの雪の前の日に3歳の新馬が入厩してきたんですよ。つまり雪の日が初日。かなりヤバかった(笑)。
[加]なかなかですね(笑)。
[西]引っ掛かった(笑)。念のためアブミを長くしているので、手綱を引っ張れない。しかも一番外のDコースしか使えないから、物見したらヤバイので、とにかく止まることだけは回避しなければなりません。もう行くしかありませんでした。
[加]押すしかないですね。止まったらアウトですからね。
[西]誘導してくれた馬に乗っている先輩に
『もう少し行ってください』、『もう少し行っていください』って、叫んでた。
[二人](笑)
[西]同じような状況で1頭でしょ。それは凄い。ちなみに
ハナズゴールは物見とかどうなの?
[加]見て、ジャンプしますね。
[西]それは(笑)。影を見たりする感じなの?
[加]影もありますし、周囲の馬を見て蹴っ飛ばしたりしますね。
[西]そう言われれば、美浦で
ハナズゴールの調教を近くで見た記憶がないなぁ。
[加]そうだと思いますよ。変な時間というか、他の馬たちが乗っていない時間に乗っていますから。引っ掛かるし、それこそダグを踏んでいて、キャンターをしている馬が目に入った瞬間、ジャンプしたりするんですよ。何度、落とされそうになったことか。
[西]他の重賞勝ち馬とかはよく見かけるけど、
ハナズゴールだけは全く記憶がないんですよ。あ、それと出張が多いからなのかもしれないですね。
[加]それもあるでしょうね。
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