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デキが良かったので、ハナズゴールはやれるんじゃないかと思っていた
2014.7.31
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加藤士津八調教助手…以下[加]
西塚信人調教助手…以下[西]

[西]さて、続いてハナズゴールのオーストラリアでの話にいきましょう。今回の遠征は、やはりオーナー(M.タバート氏)の出身国だから?

[加]一番の理由はそうですね。オーナーにオーストラリア側から招待の話があったみたいで、そういうことから決まりました。

[西]遠征に帯同して行ったわけですけど、初戦は駄目でした(クールモアクラシック14着。ウィリアムズ騎手騎乗)。

[加]競馬がチグハグになってしまいました。

[西]それで2戦目のドンカスターマイルが丸田投入となるわけだけど、どんな経緯だったの?

[加]デビュー戦で勝っていますし、オールカマーでは上手く折り合いをつけて、それこそ神がかった騎乗をしていたんです。ウチの先生も丸田のことが好きですし、日本ではちょうど桜花賞ということもあって、オーナーに相談させていただきました。

[西]そういう経緯があったんだ。52kgというのもあったのかなと思ったりしたんだよね。

[加]もちろん、それもありました。ハンデ戦で、最初は50kgになるんじゃないかと言われていたので、そういう面も考慮しましたよね。

[西]ここで6着ということだったんだけど、手応えとしてはどうだったの?

[加]デキは本当に良くなっていたんですが、馬場が酷かったんですよね。もし良馬場だったならば、際どかったという印象はありました。

[西]何か中止になる寸前くらい馬場が悪かったと聞きました。

[加]普通の開催だったら中止だったと言われました。G1だったので中止にできなかったみたいです。

[西]そして3戦目で勝ったんですよね。

[加]実は、2戦目で終わりの予定だったんです。ただ、勝ったレースに招待を受けて、しかもそれが1400mだったので、「これは面白いかもしれない」と思いました。馬自身もレースを重ねて3戦目ということで状態が良かったので、どうですかとオーナーに進言させていただきました。

[西]この2戦目と3戦目は中1週なんだよね。

[加]検疫、しかも前回お話をしたような状況でした。そして、そこから輸送です。輸送でも今回は生まれて初めての空輸という経験をした。途中で暴れたときがあって、係員の人たちが「想像以上でした」と青ざめていたほどだったんです。結局、鎮静剤を投与することで治まりました。しかも、シンガポールを経由したりして長時間に及んだんです。

[西]そりゃ、大変だわ。

[加]現地に着いてからも、調整したところは1戦目の競馬場は10時間くらいかかるところだったんです。状態に関しては悪くなかったのですが、精神的な面でのストレスとか、目に見えない部分はあったのかなと思います。

[西]人間も疲れるんだからね。

[加]人間も疲れました。まずは、夜8時に成田空港から関西国際空港に飛びました。そこからシンガポールに飛んだんですが、そこで一旦降ろして5時間、クーラーボックスに入れて朝を迎えたんです。そこからオーストラリアに向かいました。到着したのが現地時間の夜中の2時だったんです。輸送時間は長いですし、時差はあるしで、疲れました。

[西]馬自身も3戦目には慣れていたのかもしれないね。そういう意味でも自信はあったんじゃないの。

[加]色気があったわけではなかったです。デキも良かったですし、1400mも良いとは思っていたんですが、57kgを背負わされたんですよ。57kgを背負うのは初めてだったんですが、この馬自身54kgまでは良い競馬をしていて、55kgになると鈍ってしまうような感じです。

[西]あまり大きいタイプじゃないよね。

[加]420~30kgという感じですからね。55kgで鈍っていた感じなのに、57kgですから、どうなのかなと思っていました。そうしたら、凄い脚で突き抜けてくれました。調子は良かったのでやってくれるんじゃないかと思う反面、斤量と、あとはメンバーもG1勝ち馬がいて、2戦目で3着になった馬などがいて強かったので、勝ち負けできると自信を持って、というところまでではありませんでした。

[西]馬場は良かったの?

[加]良かったです。なので、やれるかなという感じではありました。


[西]なるほどね。今回オーストラリアで戦ってきたわけだけど、日本の馬のレベルって高いと感じた?

[加]そうですね。日本の馬たちのレベルは高いと感じましたが、それと同じくらい、日本の馬場がいかに整備されているかということも実感させられました。

[西]あっ、そうか。

[加]大袈裟じゃなくて、雨が降った2戦目のときなどは、本当に湖かと思うような状態でした。

[西]そんなになっちゃうんだ。

[加]しかも、現地の馬たちは慣れていて、そういうところでも走っていくんですよ。

[西]それは凄い。日本ではあり得ないよね。

[加]水しぶきをあげながら、水のなかを走っていくんですよ。でも、慣れていないので、ハナズゴールは止まってしまうわけです(苦笑)。

[西]ある意味、障害レースだね(苦笑)。

[加]突拍子もないと言われるかもしれないけど、それが世界の現実なわけですよね。

[西]そうしたら、美浦でハローがけが禁止されることもあり得る、ということなんじゃないの? それだけ過酷な状況を克服しなければ世界とは戦えないという考え方もできるわけですよね。

[加]あ、ハロー掛けは一応していました。ただ、水捌けが悪くて、すぐ湖状態になってしまうみたいなんですよ。

[西]滞在していたのは競馬場? それとも日本のトレセンみたいなところ?

[加]競馬場です。芝コースの内側に、サンドコースとアメリカンダートコースという2種類のコースがありました。

[西]アメリカンダートコースというのはどんな感じなの?

[加]アメリカのように土っぽい、いわゆるクレーですね。乗っていて、とても良い感じでしたよ。

[西]鉄屋さんはどうしたの?

[加]現地の装蹄師さんにお願いしました。

[西]3戦目で勝って、4戦目ということは選択肢としてなかったの?

[加]60日間を超えて滞在すると、日本で3ヶ月間の着地検疫が義務付けられるんですよ。

[西]ということは、60日以上外国にいると、日本に帰国して最低3ヶ月は競馬に出走できないということになるよね。

[加]そうです。スプリンターズSに出走する場合、あれ以上滞在してしまうと間に合わない可能性が出てくるんです。

[西]私事ですが、調教師試験のために法定伝染病について勉強しております。実は、日本には感染例がない法定伝染病というのがあったりしますので、防疫という観点から着地検疫の必要性が言われております。そういうことですよね。

[加]そうですね。

[二人](笑)。

[西]士津八も勉強しているんだよね。

[加]はい。

[西]話を戻すと、2ヶ月居なかったんだ。イメージとしては何か3ヶ月くらいいたイメージなんだよね。

[加]検疫もありましたからね。

[西]そう考えると、凱旋門賞に行く日本馬について、前哨戦と本番を使うプランだったとしても、60日は超えないように遠征しているということだね。

[加]そうですね。

[西]ちなみに帰国後の検疫はどんな感じになるの?

[加]帰国後は着地検疫を受けて、北海道の牧場に放牧に出ています。

[西]あ、帯同馬とかいたの?

[加]いました。現地で走れなくなってしまったんですよ。

[西]どういうこと?

[加]現地で一緒に調教をしていたんですが、車が頻繁に走っていたり、工事をやっていたりして、それに驚いて、止まって動かなくなってしまったりして、逆にパニックになってしまった感じになってしまったんです。

[西]あっ、そうだったんだ。そう考える、キズナの帯同馬として遠征したステラウインドは凄いね。

[加]そうですね。ハナズフィフティという馬だったんですが、それでも3回競馬を走りました。検疫からシドニーに行ってからは馬がたくさんいたので、大丈夫になりました。凄いローカル競馬に連れていったりもしたんですよ。

[西]それは招待ではないんだよね。

[加]違います。普通の一般戦ですね。

[西]その時のジョッキーは誰だったの?

[加]現地でジョッキーとして頑張っている清水(幸雄)さんにお願いしました。いろいろ、協力してくれたんです。馬場コンディションを確認するために、自分が所属する厩舎の馬の調教に乗せてくれて、説明をしてくれて、一緒に確認してくれたんです。それからゴールに乗ったんですけど、状況を把握してから乗ることができたので助かりました。

[西]それは重要だったね。トレセンでさえ、馬場とか、どこで馬がどういう反応をするということなどを知っているということは、それはそれで大事だったりするからね。

[加]そうですよね。本当に助かりましたよ。それで、オーナーに「乗せていただけませんか」と提言させていただいたところ、気持ち良く良いお返事をしていただけたんです。

[西]理解あるオーナーですね。競馬はどうだったの?

[加]6着が最高だったんですけどね。1回ハナズゴールの競馬と重なってしまったことがあったんです。そのときは、清水さんが自分の厩舎のスタッフの方とレースに行ってくれたんですよ。

[西]日本ではあり得ないね。自分で連れていって、自分で装鞍して、競馬みたいな感覚かぁ。


[加]そこまでやってくださって、本当に助けてもらいましたよ。

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