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美浦トレセン所属馬で感染が確認された“ゲタウイルス”とは?
2014.10.17
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先週、美浦トレセン所属馬が“ゲタウイルス”に感染したことがJRAより発表されました。これについて編集部から質問されましたので、お話させていただきたいと思います。

ゲタウイルスがどんな病気なのか、伝染するのか不安に思っている方もいらっしゃるでしょう。そこで、最初に伝染病に対する対応についてお話をさせていただきます。

馬の伝染病といえば、通称“デンピン”と言われる馬伝染性貧血、あとは皆さんに馴染みがあるところでは馬インフルエンザがあります。このように伝染性のある病気に対して、家畜伝染病予防法という法律において、対応が定められています。

他の動物で言えば、鳥インフルエンザや狂牛病などがありますが、これらは一番対応が厳しいとされていて、殺処分が義務づけられている法定伝染病にあたります。

その次が、各都道府県知事に届け出が義務づけられている病気で、馬インフルエンザなどはこれにあたります。

そして、今回のゲタウイルスは法定伝染病でもなければ、届け出制伝染病でもありません。

伝染病を考えるとき、ワクチンの有無、感染による生命の危険、人間への感染の有無、そして感染経路などの要素が、その危険度の判断基準とされる傾向が強いと言えるでしょう。

いまニュースで伝えられているエボラ出血熱も、ワクチンがなく、生命の危険が極めて高いとされ、人間への伝染が確認されるということで、その危険度が極めて高いとされているのでしょう。

そういった基準から考えると、ゲタウイルスは危険性は高くなく、症状としては重くありません。

まずワクチンがあります。JRAでは2歳の夏に入厩してくる馬に対してワクチンを投与します。この夏というのがポイントなのですが、ゲタウイルスは蚊を媒介して感染するとされているからなのです。蚊を媒介するということは、季節的に秋に向けては拡大せず、終息に向かうと言って良いでしょう。

そして、馬インフルエンザのように空気感染する病気ではないので、伝染力が弱くなります。

さらに、感染によっての生命の危機はほぼ皆無とされています。感染すると、発熱して、発疹が出て、脚が浮腫むというのが一般的な症状とされています。

そして最後に、人間への感染ですが、こちらもありません。

感染した競走馬は熱発しますので、その時にはレースへの影響は考えられますが、完治すれば競走能力への影響も皆無とされています。適切ではないかもしれませんが、そこまで大きな影響を与えるウイルスではないと言えるのではないでしょうか。

伝染病としてはより危険とされる馬インフルエンザにしても、競走能力への影響はほとんどないわけですからね。

あと、先程ワクチンは2歳馬に打つと言いましたが、今回も感染したのは2歳馬がほとんどでした。その理由として、入厩する前の馬にはワクチン摂取が行われていないからです。

個人的に、ゲタウイルスが新聞のベタ記事になったことについて、正直『ゲタウイルスがニュースになるのか』と思いました。

それよりも、例えば不凍液が原因で多くの馬がフレグモーネを発症してしまうことがあったとしたら、そちらの方がニュースだと思ったりするんですよね。

JRAの情報公開と、防疫態勢がしっかりとしているとされるが故の対応なのでしょうが、ゲタウイルスに関してはトレセン内部では全く言って良いほど話題にはなっていませんでした。

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