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【対談・大庭騎手②】インを突くことに関しては、全く影響はない
2014.12.17
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大庭和弥騎手…以下[大]
西塚信人調教助手…以下[西]

[西]話を戻すと、平地も怖さを感じるの?

[大]平地は全く大丈夫です。ただ、以前巻き込まれて落馬したことがあったんです。そういうことを繰り返し経験すると、前方でゴチャゴチャしたりすると、徐々に見過ぎてしまうようになっていくのかもしれません。

[西]なるほどね。

[大]でも、みなさん凄いですよ。そういうことを経験しても、その後平気で乗ってきますから。僕自身、メンタル面が弱いのかなぁと思ったりもします。



[西]でも、ある騎手と話したときに、狭いところに突っ込んでいくときには、恐怖心はあるって言っていましたよ。

[大]あっ、そうですか。

[西]というか、大庭と言えば伝家の宝刀である“イン突き”があるわけですよ。そこについては、自分自身はどう思っているんですか。観ている方としては何も変わらないと思うんですけどね。

[大]インを突くということに関しては、僕自身の感覚のなかでも全く変わっていません。

[西]セコ乗りへの影響はないということだよね。

[大]そうですね。インを突くことに対して怖さを感じたことはありません。ただ、3コーナーとかでゴチャついたりするのは嫌ですね。だからと言って、入っていかないわけではありません。インコースへも入っていきますし、全く影響はないですね。

[西]観ていてもそう思いますよ。あと、個人的な話をさせてもらうと、大庭というと、障害で勝つことによって良いリズムをとっていく部分があったと思うんです。

[大]そうですかね?

[西]当時は本場に障害があったよね。ということは、大庭は本場にいるわけですよ。そのとき、7、あるいは8着に来るような馬に誰を乗せるか、という状況となると、大庭起用という選択肢が凄くありましたよね。

[大]そう言われるとそうなんですかね(苦笑)。

[西]リーディングでは、平場の1勝も障害の1勝も同じ1勝ですので、当時は“大庭”というと、リーディングの中盤くらいに位置していて、結構人気薄でも持ってきてくれるし、という反応はあったと、僕自身は感じていました。そういう感覚ってない?

[大]確かにありました。

[西]障害騎手として積み上げてきた実績もありましたし、プラス平場での“大庭”があったはずなんです。言い方は適切ではないかもしれませんが、その片方を捨てるわけですよ。先程、怖いと言っていましたが、それだけじゃないというか、覚悟もあったはず。

[大]確かに、考えましたよ。でも、単純に続けた方が良いという気持ちと、やめた方が良いという気持ちで、やめた方が良いという方が勝ったんですよ。

[二人](笑)

[大]そこまでは続けた方が良いという気持ちが、やめた方が良いという気持ちを抑え込んでいたんですが、やっぱり駄目だぁとなった、そういうことでしょう。

[西]なるほどね。あ、そう言えば、としちゃん(穂苅元騎手)が落馬した頃(12年6月16日福島4R)と近くなかった?

[大]まあ、近いですね。

[西]そういう影響もあったのかね。

[大]ひとつ言えることは、穂苅さんが無敵だと思っていたということはありますね。

[西]どういうこと?

[大]それまで穂苅さんは怪我をしたことがなかったんですよ。

[西]えっ、そうなの?

[大]落馬しても普通に帰ってきていたんですよ。こういう人(落馬しても怪我をしない)もいるんだろうなぁと思っていた、その人がいきなりやめることになってしまった。そのことは少なからず影響したとは思います。

[西]恐怖心に拍車がかかってしまったのかもね。

[大]そこで安パイってないんだなぁ、とは思いましたよね。

[西]そういう感覚にはなるだろうね。

[大]競馬をせずに、回ってくるだけならば落馬をせずに帰ってくることはできるでしょう。でも、そういう訳にはいきませんよね。そうなると、すべてを“運”に委ねて、騎乗するしかなくなるわけですよ。

[西]そうだよね。勝負となれば、狭いところにも突っこんでいかなければならないし、せめぎ合いのなかにいることになるから、自分の馬だけではなくなるし、それだけ危険度は高くなるよね。



[大]そういうことなんですよ。

[西]話が戻ってしまうけど、自分自身で障害をやめたマイナス面って感じたりする?

[大]ありますよ。やっぱり、営業的な面でしょうね。

[西]でも、相当悩んだんじゃないですか。やめんなよとも言われたでしょ。

[大]それは言われましたし、乗れよって言われます。

[西]だろうね。そういう状況のなかで、後輩たちが障害を始めたりしているんだけど、それを見ていてどう思うの?

[大]責任は感じるところはあります。

[西]自分がやめたことでの影響に対して、ということ?

[大]いえ、そうではありません。落ちることと、怪我をすることを繰り返すことで、(重心が)前に乗れなくなってきたと徐々に感じていました。やはり、落ちるまでは自分が一番ガッツがあると思ったんです。知らない部分もありましたし、どこでも突っ込んでいけたんですよ。

[西]怖さを知らないということだよね。

[大]それを僕は高嶋君に「1回落ちるまではガンガン行ける」というような感覚で話をしてしまったんです。

[西]確かに、高嶋は1回目の落馬で騎手生命を絶たれてしまうとさえ言われる大怪我をしてしまったわけですが、でも大庭の言葉は関係ないよ。大庭が言ったからといって、そういう騎乗したわけではないわけだから。

[大]確かに、そうなんですけどね。大庭さんが言っていたから突っこんでいくぞ、ということではないのはわかります。ただ、あの落馬した馬には僕自身も騎乗していて、落馬しているんですよ。

[西]あ、そうだったんだ。

[大]飛ぶのが下手だったんですよね。

[西]突っ込んでいくの?

[大]そうではなくて、センスがないんですよ。

[西]どういうこと?

[大]障害を見てどれくらいの完歩で行けば良いのかということを、馬自身が全くわからないんです。だから、こちらが補ってあげなければなりませんでした。それでも、着に来て、次も行けるんじゃないかという流れになってしまって、攻めていった感じでしたね。

[西]高嶋はいま乗馬クラブで懸命にリハビリをしながら、復帰を目指して頑張っています。何とか騎手としてカムバックしてほしいよね。

[大]本当に願っています。

(次回に続く)

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