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【対談・大庭騎手④】怪我をしても腰が引けない横山義騎手は本当に凄い
2014.12.30
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大庭和弥騎手…以下[大]
西塚信人調教助手…以下[西]

[西]そういえば、この前モンストールが障害練習するのに付き合ったんですよ。

[大]えっ、信人さんが障害を跳んだんですか?

[西]障害は跳んでないよ! 跳んでない!

[二人](爆笑)

[西]角馬場の中でクロスとかは跳ばしたけど、あれで一杯。もうそれ以上は無理だよ。

[大]そこまでなら、僕もいまでも跳べますよ(笑)。

[西]ははは。そりゃ、そうだよ。

[大]いまの精神状態のままで行けますね。

[西]じゃあ、直線3つ(直線においてある障害)は?

[大]きたかぁ、という感じですね。

[西]本当に乗ることになったらどう?

[大]直線3つも、レースをしている馬ならば大丈夫です。今度試験を受ける馬とか、初障害とかは無理ですね。

[西](笑)。そうなんだ。

[大]そこは技術が必要になりますから。

[西]なるほどね。

[大]レースをしている馬は自ら跳んでいってくれます。でも、そうではない馬たちは、こちら側が対応しなければならず、そこでは技術が必要なんですよね。

[西]義行さんと一緒だったんだけど、横山義行は凄いと痛感しましたよ。

[大]本当にそうなんですよ。

[西]あれで競馬場だと、また違った感覚になるの?

[大]そうですね…。競馬場はもう“無”ですね。

[西]うはははは。無なんだ。

[大]無になるしかないですよね。

[西]いやぁ、本当に凄いと思いましたね。

[大]凄いですよ。その凄さがみんなに伝わらないんですよね。まあ、やったことがないので、わかりようもないと思うんですよ。

[西]いやぁ、ぜひやってもらいたいですよ。僕はとても、とても跳べません。凄さもわかるし、やめる気持ちもよくわかります。

[大]ぜひ競馬に乗ってみてもらいたいですね。

[西]いや、北馬場でひと回りでも十分感じてもらえると思うんですけどね。

[大]いやぁ、本当の障害レースはわからないです(笑)。

[西]そうだよね。追い切りとはタイムが違うし、頭数も違えばやはり密集度も違ってくるからね。ケツからケツで、競馬場で乗れと言われれば乗れるとは思うけど、普通に出して、位置を取って、そして直線でも追ってというのは絶対に無理。

[大]走る馬に乗ったら無理でしょうね。

[西]あ、なるほどね。

[大]走らない馬ならば大丈夫だとは思いますが、走る馬は絶対に無理なはずです。

[西]やはり操作できないだろうね。

[大]対応できないでしょうね。

[西]勝っちゃうとかない?

[大]あり得ないですよね。例えばG1馬と未勝利馬くらいの差があればわかりませんが、でも1番人気の馬に乗っていたとしても絶対に勝てないでしょうね。

[西]いやぁ、わかる気がする。

[大]まず位置も取ることができずに、位置取りが悪くなってしまうでしょうね。

[西]狭いところも入れないだろうね。

[大]自分では入っていこうと思っていても、気がついたら外を回っているはずですよ。上がってきてパトロールをみたら、あれ俺だけ外を通ってる、ということになると思います。

[西]そうなんだろうね。

[大]調教では、普段から馬場の真ん中を走る習慣があったりしますからね。ただ、新人などは真ん中を走ったり、膨らんでしまったりということがありますよ。そういうなかでも障害レースは抜けて怖いです。

[西]本当にそう思う。あれ、技術はもちろん、ハートの強さもあるよね。

[大]技術とハートの強さが求められるのは間違いありません。あとは、慣れもあるとは思うんですけどね。

[西]慣れかぁ。俺は角馬場のクロスバーを跳ぶとき、構えちゃいますよね。

[大]構えると思いますよ。慣れてくると、跳ぶという感覚がわかってくるのですが、慣れていないと構えてしまいますよね。

[西]義行さんは凄いわ。

[大]義行さん凄い。あれだけ怪我をしているのに、全く腰が引けていないですからね。

[西]大庭からみて、引けている騎手っています?

[大]だいたい引けると思いますよ。年齢を重ねたり、怪我を繰り返していくと、そうなってしまいますよね。

[西]そうだよね。でも、義行さんは両手骨折とかしているんだから。

[大]本当に凄いっすよ。ただ、僕自身も怖いと思っていても、自分自身の騎乗を観ていると変化を感じないので、ひょっとするとそう感じている騎手の方々はいるかもしれませんよね。

[西]踏み切りのタイミングが変わったりとかはないの?

[大]あるかもしれませんよね。一歩入れて跳ぶようになることもあるかもしれません。

[西]それでも大庭はここまで乗ってきていて、中山大障害の大竹柵とか跳んでいたんだよ。凄いよ、凄い。

[大]いま振り返ればよく跳んでいたなぁと思います。

[西]しかも、みんな怪我をしてもまた跳び続けているわけですよ。凄い精神力だよね。そうやって言うと大庭の精神力が弱いみたいに聞こえちゃうか。

[大]いや、精神力はないと思いますよ。

[西]ははは。

[大]平地でも落馬して怪我をされる人たちがいますが、乗り方とか変わってこないのかなと思うんですよ。僕的には無理だと思います(笑)。

[西]他の人を見ていて、平地でも変わったなぁと思うこと、ある?

[大]そういう人もいますし、復帰直後とかはやはりそうなるのが自然なんじゃないかと思います。

[西]以前、障害と平地では密集度も違うし、障害の方が位置取りも楽に取れるというような話を教えてくれたよね。

[大]そうですね。思い通りにいかないのが平地ということです。障害はそれよりは思い通りにレースを運べますよね。まあ、障害レースでタイトに回ってきたら、本物っすよ。

[二人](爆笑)

[西]それは面白い。

[大]密集して、一団でレースをしてきたら、もうそれは本物の集団ですよ。俺の生涯をここにかけているという感じだとそうなるでしょうけど、毎週レースはありますからね。

[西]密集して、跳んで、そう考えただけで、ゾッとするんだけどさ。あれよく脚がからまったりしないよね。

[大]そこは絶妙な距離感なんですよ(笑)。

[西]でも、たまに4、5頭で密集しているときあるよね。

[大]確かに、ありますね。それだけ馬も人もモチベーションが高まっていて、凌ぎを削る形となっているということでしょう。

[西]そういうときの緊張感は凄そうだね。

[大]ある意味イカれた感覚かもしれません。障害は声もあまり出たりしないんですよね。恐らく、それだけ集中しているというか、極限なのかもしれませんよね。声とかの問題じゃないのかも。

[西]そう言われると、障害騎手の方々がレース後よく話をするのは、そういう緊張感から解放されるからというのもあるかもしれないね。

[大]解放感というか、生きるか、死ぬかを通り過ぎたあとは、そうなるんですよ。解放感よりも安堵感なのかもしれません。

[西]ある障害騎手が、若手に対して襟首を掴んで「この野郎」と叫んでいる現場に立ち会ったことがあるんだけど、そうなると思う。

[大]そういう人もいますよね。

[西]大庭はそこまでではないだろうけど、熱くなっちゃう感覚はあるでしょう?

[大]そうなる気持ちは本当によくわかります。

[西]いやぁ、本当に良いブッチャけ話をありがとう。

[大]こんな感じで大丈夫ですか。

[西]だって、ブッチャけたでしょ?

[大]ほとんどありのまま話をさせていただきました。

[西]それですよ、それ。今度はG1を勝って、大庭最近良いじゃないって感じで待っていますよ。

[大]そうなったら良いですよね。

[西]でも、さっき“運”って、大庭が言っていたけど、騎手もそういう部分があったりすると思うんだよね。切っ掛けひとつだったりすると思うから。平地になるんだろうけど、本当に頑張ってくださいよ。応援しているからさ。

[大]ありがとうございます。



[西]今日は本当にありがとうございました。

※次回は田辺騎手をゲストにお迎えし、1月14日(水)の更新予定です。お楽しみに!

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