【対談・田辺騎手①】新年1回目のゲストは、恒例の田辺騎手です!
2015.1.14
田辺裕信騎手…以下
[田]西塚信人調教助手…以下
[西][西]あけましておめでとうございます。
[田]あけましておめでとうございます。
[西]恒例、新春企画であります、田辺裕信騎手をお迎えして対談をお送りさせていただきます。年末に収録したかったんですが、本当にすいませんでした。
[田]というか、年末ギリギリだったんだもん。忙しくて無理でした。誰が悪いの?
[西]えっ、俺ですか(笑)。
[田]まあ、忘年会とかも入っているし、年末は忙しいですからね。
[西]それと、28日まで競馬があると、意外と忙しいよね?
[田]29日だよ。
[西]それはあなたは
東京大賞典があったからだけど、JRAは28日じゃないですか。
[田]いやぁ、忙しかったですよ。
[西]ということで、今日は7日ですか。
[田]7日と言えば。
[西]7日と言えばですね…。
[田]七草粥でしょう。
[西]あっ、なるほど(笑)。では、七草粥ならぬ、七草肉でいきましょう。
[二人](爆笑)
[西]早速ですが、1年前の対談を読み返してきました。今年1年の抱負を何と語っているかと思いきや、一切話していませんでした(笑)。
[田]抱負はありませんよ。これほど年末から年始にかけて、間隔もなく同じペースで競馬をやっているんですから、抱負も反省もありませんよ。
[西]確かにね。ただ、勝ち星が0になるだけですよね。
[田]数字だけがリセットされるだけですよ。むしろ、リセットされない方が良いかも。
[西]じゃあ、通算勝利でいきますか。永遠に武豊さんがリーディングということですけどね。
[田]それならばそれで良いかもしれませんね。
[二人](笑)
[西]そうは言いながらもまずは2014年を振り返っていただきたいと思います。2013年よりも勝ち星は減ってしまいました。
[田]でも、ほとんど変わりはありませんよね。
[西]確かに、数字的には75勝(JRAのみ。13年は88勝)で、順位はほぼ同じ感じでした。
[田]じゃあ、いいや。
[西]うはははは。でも、獲得賞金は上がりましたよ。G1も勝ちましたしね。
[田]そこは重要でしょう。
[西]田辺さんはずっとそこが重要だと言ってますよね。
[田]僕ではありません。
「今週は稼いだぞ」と盛り上がって、羽振りが良くなる方がいらっしゃるんですよ。
[西]誰ですか?
[田]Xさんとしておいてください。
[西]田辺さんは、重賞もたくさん勝ちましたよね。
[田]そうですね。おかげさまで。
[西]ヴェルデグルーン、
クラレント、
メイショウナルト、
ブライトエンブレム、そしてG1を勝った
コパノリッキーですよ。
[田]ベルデではなくて、ヴェルデですよ。よく言えました。
[西]わかってますよ。それぞれ聞きたいんですけど。
[田]いや、それよりも尾関厩舎の馬、歩様硬かったぁ。そちらの方が大事でしょ。
[西]うははは。すみませんでした。あれくらい駄目ですか。
[田]あれじゃ、着には来るかもしれないけど、勝てないって。
[西]おっしゃる通り。本当にすみませんでした。
[田]先生は、もっと細かい先生かと思ったら、そんなことないじゃないですか。
[西]そうですよ。まずは
コパノリッキーから行きましょうか。
フェブラリーSを勝ちました。
[田]コパノ“ラッキー”ですか。もういろいろなところで話をしましたから、読者の方々も飽きてますよ。
[西]じゃあ、
チャンピオンズCで負けた話にしましょうか。
[田]あれは出遅れてしまいました。
[西]躓いたの?
[田]違いますよ。あれはゲートの後ろ扉を蹴る癖があって、態勢が整っていないときにゲートが切られてしまったんです。厩務員さんとゲート裏で、
「3回に2回は出ない」と言うから、
「2回に1回ですよ」という話をしていたら、本当に出ませんでした。
[西]その1回になってしまったんだ。
[田]でも、僕が乗せてもらったなかでは一番出ませんでした。開いた瞬間に両サイドの馬たちが出ていて、
「あれ、なんで?」と思ったくらい、出ませんでした。
[西]「あれ?」ってね(笑)。かなり出なかったんだね。
[田]ひとつ置いて外側にいた大野が、俺が行くものだと思っていたらしく、
「なんで行かないんですか」と言うから、
「俺も知らねえよ」と言ったんですよ。
[二人]うはははは。
[西]揉まれてしまうともう駄目、というタイプなの?
[田]それではないと思うんですけど、もう早い段階で手応えがなくなってしまいましたね。個人的には、あのスタートだったので、どんな形でレースをしたとしても力を発揮できなかったと思っていますが、揉まれたから負けたという論調があるようなので、揉まれたから負けたということで良いですよ。
[西]そういうことにしておきますか。
[田]向正面では一番外にいたので、揉まれたわけではないんですけど、手応えがなかったんですよね。まあ、でも良いですよ。出遅れて、揉まれたから負けたということです。
[西]距離はどうなの?
[田]1800mは良いでしょうね。
[西]マイルくらいの方が良いのかな?
[田]距離というか、具合が良いときには唸る感じで、引っ掛かるんですよ。でも、
チャンピオンズCと
東京大賞典ではそういうところがなかったんですよね。2000mも引っ掛かるかなと思っていたんですが、大賞典では全くそういう素振りさえありませんでした。
[西]なるほど。難しいところだね。読者の方々のなかには、絶好調でないと馬はレースに出走しないと思っている人たちもいるんですよ。仕上がっているかどうかと、調子は別ということがなかなか伝わっていなかったりするんですよ。
[田]何年コラムをやって、それを伝えているのよ。
[西]うははは。失礼しました。
[田]3年前くらいに伝えておいてよ。
[西]そうでしたね。でも、なかなか難しいんですよ。伝わっていると信じていますが、伝わっていない可能性もあるので。
[田]西塚厩舎では、絶好調でレースに出走していたのは1年間に3頭くらいしかいないって、教えてあげてください。
[二人](爆笑)
[西]それは言えます(笑)。ただ、現実問題の話として、ブッチャけてしまいますが、毎回毎回100%良い調子というわけにはいきませんよ。
[田]ですよ。100を待っていたら、レースに使えなくなってしまいますよ。
[西]中半年、1年ということさえあるかもしれないよね。
[田]100だったら、次はおつりもなくなってしまいますよね。
[西]そうだね。
[田]例えば、勝ちたいレースがあって、それを目指すときに、ステップレースというのがありますが、ステップレースで100だったら本番はなくなってしまいますよね。
[西]毎回、毎回、なかなか100にはなりませんよね。もちろん、そのレース、そのレースは、勝つつもりで、その時点でしっかりと仕上げていきますが、でも、それと調子は別なんですよ。だから、G1を連勝する馬とか凄いと思う。
[田]それより何より、絶好調というのは人間で、馬じゃありませんからね。馬に聞いてみなければわかりませんよ。
[西]そりゃそうだよね(笑)。あくまで人間の感覚だからね。
[田]人間は絶好調と思っていても、馬としては
「力の半分くらいしか出してねぇぞ」って思っているかもしれないよね。
[西]それはあるよね。
[田]むしろ2歳とか、3歳で、実は成長期で人間でもあるように骨が痛いかもしれない。でも、人間がそれを感じることなく、絶好調だと言っている可能性だってあるわけですよね。
[西]馬にしてみれば
「全然絶好調じゃねぇよ」ってね。
[田]人間の前ではシャキッとして、いなくなったらもうクテクテということだってないとは言えないよね。
[西]うはははは。でも、それは可能性としてあるよね。何せ、馬の言葉を理解できるわけではないからさ。
[田]Xさんだって、今日は何も言っていないからジャージで来ていますが、女性だと襟ありの洋服を着てきますからね。
※次回からゲスト“Xさん”が登場。1月20日(火)の更新予定です。お楽しみに!
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