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横山義行騎手の落馬負傷で感じたこと
2015.2.11
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読者のみなさんから、先日(1月11日中山4R)落馬してしまった(横山)義行さんの容態を心配するメールを頂きました。

これまでにも、大きな怪我をされてきた義行さんですが、今回はそのなかでもっとも大きな怪我となってしまった可能性があるようです。

これは義行さんと僕自身の関係の話なのですが、落馬をすると、翌週の攻め馬に関してなど、打ち合わせをしなければなりません。そして、これまでは落馬をした翌日にも連絡をいただいてきたんですが、今回はまだ連絡が取れていないんです。

先日、義行さんの同期で、いま競馬学校の教官でいらっしゃる小林淳一さんとお会いする機会があったんです。そのときの話では、かなり大きな怪我だとお聞きしました。

一方で、義行さんがお付き合いがある厩舎の調教助手さんに聞いたお話では、調教師さんに「これまでにも、もう駄目だという状況にもなっているけど、何とかまた乗れるように頑張ります」という電話があったということをお聞きしました。

個人的にも、普段から一緒に仕事をさせていただいている義行さんですので、レースは許される限り観るようにしているんです。そして、今回のアクシデントの瞬間は、本当にドキッとさせられました。

今回、騎乗馬が故障を発生したために落馬をしたということなのですが、このようなアクシデントが発生すると、出走する前はどうだったのかという話となり、依頼した側にベクトルが向くことは珍しくありません。

このことに関しては、あるときに中舘さんに言われた言葉があるんです。

それは、ミヤビヘレネという馬に騎乗していただいていたときに、直線で大怪我をしてしまって(12年2月19日京都12R)、中舘さん自身も長く休まざるを得なくなってしまった時のことです。

僕自身は、馬の調子が良く、勝ち負けだと思っていたんです。これならばと送り出して、中舘さん自身も返し馬までは何でもなかったと後に言っていました。

それでゲートに入ったんですが、アクシデントが発生してしまったんです。

こちらとしては、やはり自分が関わっている馬ですので、申し訳ないという気持ちになりますが、中舘さんからは「自分の意志で競馬をしているわけだし、乗っている側の責任もあるからそんなに気にしないでくれ」と言われたんですよね。

責任というと、最近言われる自己責任ということだったりするわけですけど、騎手は危ないと感じたときにゲート裏までは走るのを止めるという選択肢があります。

そこでは、このくらいならば大丈夫という騎手側の感覚もあることもブッチャけあったりするんですよね。

誤解しないでほしいのは、もちろん今回のことがそうであったということではありませんし、危険を回避するのは騎手に責任があるということでもありません。

乗せる側は、当然ですが事故がないように、という思いですし、事故があれば心が痛みます。

ただ、中舘さんの言葉を聞いたときに、乗っている騎手の方々自身も責任を感じているものなんだと気づかされました。

もし僕が騎手だったら、そう思えるかと言えば、決して簡単ではないですよ。

最近、アクシデントが他にも何回かあって、改めて騎手という職業がいかに危険かを痛感しています。

誰もがアクシデントがないようにと、それぞれの立場で競馬を支え、関わっています。そうは言っても、防ぎようのようなアクシデントということもあると言わざるを得ないのもまた現実でしょう。

実際、中舘さんのときは馬が心臓発作を起こしたことが原因だったんです。さすがに、それは事前に発見するのは極めて難しいんです。

いろいろお話をしましたが、義行さんに関しては、申し訳ありません。感情的にならずにはいられないです。

トレセンに入ってから、西塚厩舎、そして尾関厩舎と一緒に働かせていただいている先輩であり、仲間なんですよね。

何を隠そう、西塚厩舎名義での最後のレースは、船橋の交流レースに出走したオカールノキセキという馬だったんですが、義行さんに騎乗していただいたんです。

正直に申し上げますと、競馬を経験していると、勝ったレースでさえ忘れてしまうことがあります。でも、あのレースは、引き上げてきたときの光景や交わした言葉など、鮮明に覚えているんですよ。

今、僕自身には、義行さんはまた元気に戻ってきてくれて、一緒に仕事ができるという思いしかありません。

ブッチャけさせていただきますと、ゲート裏でやめることだけではなく、直線で騎手が追うことを止めることも、単純ではないということなんです。

ゲート裏でやめるなんて根性がないとか、最後まで追っていたら1頭くらい交わせたんじゃないかという言葉も実際聞きますけど、それは危険、あるいは何か馬からのシグナルを感じるから故の行動であるはずなんです。

それを言葉にしたときのリアクションからそうしないのでしょうが、馬を仕上げて送り出して委ねる側の我々は、騎手の方の思いを理解できなければ駄目だと思うんです。命をかけて乗っている騎手の人たちの言葉が、行動が、もっと尊重されるべきであるはずです。

正直に言うと、今回ほど障害レースなんてやめた方が良いんじゃないかと思ったことはありませんでした。

障害騎手の生活があることも、それ以外のいろいろなことがあるのも分かった上で言いますが、こんな形でこんな思いをするならば、いっそのこと障害レースがなくなれば良いと思ってしまいました。

ただでさえ、障害レースは落馬が多い。実際、以前対談に出ていただいた五十嵐騎手もいま怪我で休養していますし、もう止めた方が良いんじゃないのかと、あの日の帰りに、1人で競馬場から帰りながら思っていました。

レースがあるから、彼らはそこに向かい、そして競馬に乗るんですよ。それが彼らの仕事だし、本能的にそうなるのかもしれません。意識が低いと言われるかもしれませんが、今回はそう思ってしまったのが私、西塚信人の本心です。

※西塚助手への質問、「指令」も募集中。競馬に関する質問、素朴な疑問をお送り下さい!