サクラプレジールを復活させるために、厩舎の努力が続く
2015.2.17
除外の可能性はあるのですが、今週土曜日に行われる
初音S(東京芝1600m)に
サクラプレジールが出走する予定です。
僕自身、
サクラプレジールには新馬当初の調教に乗っていて、担当者の方が小倉に行っていたために、東京の新馬戦でパドックを引くなど、携わる機会が多くて、良い印象が残っています。
そして
フラワーCを勝って、クラシックへと進んで行ったんですが、それ以降大不振が続いてしまっていることがご存知の通りです。
大スランプの要因については、これとひと言では言えないというのが僕個人の感想です。ひょっとしたら、馬の精神、あるいは肉体面など、様々な面が重なり合っているのかもしれません。
ただひとつ、僕自身のなかでは、
サクラプレジールの良さは体の使い方にあると感じているんです。
新馬戦の頃はハミを受けてしっかりとトモに抜けて、そしてハミに戻ってきていたんです。それができるからトモで蹴って、前への推進力が生まれるんです。多少行きたがる面はありましたが、それも良い塩梅だったんです。
それが、徐々にトモの力がハミに戻ってこなくなってしまったんです。そうなると、極端な言い方をすれば、顎を突き出して、伸び切ったフォームで走ることになってしまうんです。
普通の馬ならば、このような状態になると追い切りでも速く走ることができなくなってしまったりするんですが、
サクラプレジールはあのノリさんも評価をしていた能力の持ち主なので、追い切りではそれなりに動くことができてしまうんですよ。でもレースになると、道中良い感じであったとしても、そこから伸びることができないんです。
ネックストレッチなどの馬具を使うなど、様々な方法で対応してきましたが、なかなか結果として表れませんでした。
担当者の方もいますので、あまり出しゃばったことを……という思いもあったんですが、そろそろ結果が求められることにもなるという思いがあって、今回先生に“ロンギ(※)を回させていただけませんか”とお願いしたんです。
※基本動作や騎乗など、乗り慣らしを目的とした施設。本格的な調教に入る前の育成馬が行う。一般的には直径10mほどの円形。いま
サクラプレジールが抱える問題点は、左トモの踏み込みなんですね。左トモを十分踏み込むことができない、だから右前が出ない。左トモでしっかりと踏ん張ることができないから、加速も生まれないということなんですよ。
ということは、左トモが十分踏み込むことができるようにしなければなりません。治療も必要ですが、それに加えて、左トモを使わせるような運動を負荷していくことが必要になってきます。
そういうと、乗ってやれば良いと言う方々もいらっしゃるかもしれませんが、これがなかなか難しい。ハッキリ言って、乗ってこちらの思い通りのままに、トモを動かして、十分な運動を行える人は、トレセンでも5人いるか、いないかでしょう。
乗ってトモを使わせて、以前のようにしっかりと踏み込み、そして蹴ることができるようにするということは、そのくらい難しいレベルなんですよ。
じゃあ、どうするかと言うことになれば、ロンギで回すしかありません。僕の経験ですが、ロンギをしっかりとこなした馬たちはそれぞれのレベルではありますが、必ず結果を出してくれました。
勝つまではいかなくても、ふた桁着順が続いていたのが、7、8着に来るようになるという感じの馬もいました。それでも意味があったと言えるはずです。
僕自身の中では、
サクラプレジールが少しでも良くなってくれれば、少しでもその良さが発揮されるように、という抑え切れない思いからの行動だったんですが、了解してロンギをやらせてくれた先生には本当に感謝しています。
準オープンならば、
サクラプレジールならば、やれて不思議じゃないはずなんですよ。
いまの段階では、あと少しというところはありますが、良い感じにはなってきているという感触を得ています。
なるべく角馬場とか、追い切りは僕が乗らないようにして、他の人に乗ってもらって、感触を聞いて、ロンギを回しています。
みんなは良いと言ってくれていますが、それはここ数戦のなかではということであって、あの良い頃の感じまではあと少しだと感じています。それでも、良い掛かり方になってきているんですよ。僕は
サクラプレジールを信じていますし、その良い頃を目指して、レース直前まで頑張っていきます。
そして、僕に付き合って、一緒に頑張ってくれている
ステラウインドでお馴染みの藤原家智さんにも感謝を申し上げます。
ロンギに対していまひとつ理解されない現実もあるんですが、とにかくできる限りのことをしてレースに送り出したいと思います。結果はどうなるかわかりませんが、ぜひ応援していただければと思います。
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