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「西高東低は解消された」は本当なのか
2015.4.22
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ドゥラメンテ(堀厩舎)が勝って、関東馬が皐月賞を3年連続で勝ちました。

その前週は勝つことができませんでしたが、圧倒的な1番人気に支持されたルージュバック(大竹厩舎)の存在があり、“西高東低が解消されつつある”という論調がありました。「どう思われますか」という質問も受けることがありますので、このことについて僕の考えをお話ししたいと思います。

確かに、皐月賞は3年連続で勝ちましたし、他のG1や重賞レースでも、以前と比べれば関東馬の活躍が多く見受けられます。

しかし、獲得賞金や勝ち星そのものでは、依然として大きく差を付けられているとも言われています。

その要因については、さまざまなところで言われているように、坂路をはじめ、施設の違いももちろんあると思います。ただ、それと同じくらい大きな影響を及ぼしている、と言いますか、根本的なことが存在しているんです。

この前サラブレにも書いてあったんですが、最近は“西の秘密兵器”という言葉を聞かなくなりました。

僕の記憶によれば、フサイチコンコルドが勝った頃まで、そんな形容詞が使われていました。ですが、いま使われることは皆無です。

なぜか。簡単ですよ。秘密じゃなくなっているということです。

サラブレにも書いてありましたが、昔は関西の500万下のレースを観ることすらできない時代だったんですよね。

極端に言えば、知るには馬柱しかない、それくらい情報公開が進んでいなかったわけですよね。違う言い方をすれば、関東は関東、関西は関西というように、ブロック毎で競馬をしていた時代ということでしょう。

関東馬が関西へ、あるいは関西馬が関東へ使いに行くのには滞在をする時代で、関西馬が福島へ出走してくることもいまのように多くはなかったわけです。

それがいま、東京には通いで関西馬が出走してくる、さらには福島開催にも関西馬が多く出走してくる時代になりました。

それを可能にしたのが高速道路の整備なのですが、そういう部分の変化は決して小さくはありません。いや、坂路などの施設と同じくらい大きな要因のはずだと思います。

坂路の登場が第一段階とするならば、高速道路の整備が進んで磐越道が開通して、栗東から新潟、さらには福島に、東京と同じような感じで出走できるようになったのが第二段階と言えるのかもしれません。

ちょうどその頃から、“西の秘密兵器”という形容詞が姿を消したという印象があります。

高速道路のインフラ整備と言いましたが、それに加えて栗東の位置がそれにマッチしたということもあるはずですよ。

まず栗東トレセンから最寄りのインターチェンジまでの距離。そして小倉、中京はもちろん、新潟、福島へもアクセスがしやすいという地理的な条件から生み出される“差”があると思います。

よく言われるように、夏は小倉と新潟で開催が行われますが、関東はほぼ新潟しか選択肢がないのに対して、小倉と新潟の両方への選択があるのが関西なんですよ。

関東馬にとって、夏の小倉への輸送というのはやはりリスクがあったりするので、新潟と同様にはなりません(編注:昨年8月2日~9月7日の小倉開催は144レースで、関西馬143勝、関東馬3勝(同着2レースあり)。同時期の新潟は関東馬112勝、関西馬32勝)

坂路など施設の差ももちろん大きいとは思いますが、このような“地理的な差”という部分も大きいはずですよ。

“西の秘密兵器”と言われた時代から比べて、インターネットの普及などによって情報の量そのものも格段に増えましたが、高速道路のインフラ整備をはじめ、競馬を取り巻く環境も大きく変わったんですよね。

いま、未勝利や500万下では、関東は関東、関西は関西を優先して出走させるという自ブロック制というものが導入されています。このような感じで、地理的な差を埋めるべく、様々な対応策が求められています。

米国のように、各地区で前哨戦が行われて、ケンタッキーダービーで各地区のチャンピオンたちが戦うようなスタイルもありかもしれませんよね。

冒頭に戻りますが、西高東低が解消されたのかと言われれば、決してそうとは思いませんし、まだまだだと思っています。

もちろん、僕たちもできることを精一杯やっていきます。ただ、施設だけではなく、“地理的、あるいは環境の差”が解消されてはじめて、東西格差の解消になると思います。そういう現実も直視されるべきで、改善されなければいけないことだと思っています。

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