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自分たちの仕事は危険と隣り合わせだと痛感します
2015.8.4
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3週前、函館で萩原厩舎の調教助手さんが、頭部を馬に蹴られて命を落としてしまいました。

厩舎が近いということで、毎朝挨拶をさせていただいていたので、僕にとっても本当にショックです。

詳しいことはわかりませんが、馬術部で活躍されていて、馬の扱いには慣れていて、上手な方だっただけに、一報を聞いたときにはまさかと思いました。

でも、言葉は適当ではないかもしれませんが、我々の仕事は常に命の危険と隣り合わせで、同じような事故が起きる可能性は日常的にあるんだと改めて痛感させられています。

その事故も、ほんの僅かなタイミングの差というか、間一瞬の差が致命傷になってしまうことが少なくないはずなんです。

“運”と言ってしまえば失礼なのかもしれませんが、本当に上手とか下手とかということではなくて、打ち所とか、タイミングとか……。

実際、僕たちも馬に蹴られることはあります。でも、同じように蹴られたとしても、無傷である場合と骨折してしまう場合があるんですよね。

これは現実にあった話なんですが、調教中に馬に蹴られてしまったそうです。蹴られたのがお腹で、その時は多少痛みがある程度だったらしく、自力で自宅に帰ったらしいんですよ。そうしているうちに、徐々に痛みが増していって、病院に向かうと内蔵が破裂してしまっていて、手の施しようがなく、そのまま命を落としてしまったそうです。

また、今年になってからあった事故の話なんですが、ウッドチップで降ろしがけに馬が躓いて、乗っていた人が落ちてしまったんです。

現場近くで実際僕自身も見ていました。僕が落ちるときと何ら変わりのない感じで、特に大きな事故ということではなかったんです。

でも、その助手さんは首の骨折をしてしまい、下半身不随となってしまいました。

他の助手さんたちをはじめ、競走馬に携わっている人間のほとんどは一度は落馬を経験しているはずですし、馬に蹴られてもいるはずです。それは偶然助かっているだけのことであって、誰もが大きな怪我をする可能性を秘めているということなんです。

もちろん、一般のお仕事をされている方々であっても、通勤中に事故にあうなど、危険は孕んでいます。ですが、事故に巻き込まれる確率で言えば馬関係は高く、そういう仕事だと納得して働いているつもりですし、自分なりに覚悟はしているつもりです。

それでも、いざ命を落としてしまったと聞くと、再認識させられますし、一瞬の怖さみたいなものを感じずにはいれられません。先程は覚悟していると言いましたが、覚悟はしていても状況によっては怖さを感じます。

それをいかに克服するかは自分自身ですし、克服しなければ仕事はできていませんよね。

現実の話をすれば、「いつかこの馬に殺される」という恐怖を感じさせられる馬もいます。でも、そういう馬に蹴られても打撲だけで済んでしまったりするんですよね。

以前、お話させていただいたことがあると思うんですが、レース中に馬が故障を発症して事故になるときも、馬がひと踏ん張りしてくれている、そのひと踏ん張りで命が守られているということは往々にしてあることだと思います。

馬たちが自らの命と引きかえに、踏ん張ってくれることで人間の命が守られているということなんだと思います。馬によって命が守られることもあれば、そのために命を落とすこともあるわけです。

馬と一緒に暮らして、働く以上、そういう突発的な危険と隣り合わせであることは受け入れなければならないことですし、どれだけ気をつけていても気をつけ過ぎるということはないはずなんです。それでも現実は、防ぎようのない事故が起きてしまうんです。

それでも頑張れるのは、超越する何かがあるからです。どうかファンの皆さんもそういう思いがあるんだ知っていただければと思います。

とにかくいまは故人のご冥福を祈らせていただきたいと思います。

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