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母から受け継がれる特徴は、種牡馬から受け継ぐものより強く感じます
2015.9.2
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“血統”からくる特徴で、前回は種牡馬のお話をしましたが、それ以外にもうひとつあります。それは繁殖牝馬、つまり“兄弟で受け継がれる特徴”です。

みなさんご存知だとは思いますが、人間の世界では、両親のどちらかが違う場合、異父兄弟、もしくは異母兄弟という表現がされます。それに対し、馬の場合は母親が同じ場合のみ“兄弟”“姉妹”などと表現されます。

このような“兄弟”の両方に携われる機会は、オーナーブリーダーさんの馬や、繁殖牝馬をオーナーが所有し、その兄弟を両方同じ厩舎に預けていただいた場合などに訪れます。

実は、最近も母が同じ馬が同じ特徴を持っていると感じたことがあったんですよ。

我が尾関厩舎に、サクラオードシエルサクラプレジールという全姉妹(父サクラプレジデント、母サクラプレステージ)を預けていただいたんですが、この2頭はパッと見た瞬間は見分けがつかないくらい容姿が似ているんですよ。

しかも、メンタル面でも似ていて、競走馬としてデビューしたばかりの頃は良い走りができているですが、それが徐々に成績が振るわなくなってきてしまうんです。

不振になっていく理由なんですが、これが分からないんです。どこか肉体的な問題ということではなく、特に苦しさを訴えたり、あるいは人間に対して反抗的になるとかでもなく、調教の感じにしてもむしろ良いくらいなんですよ。だけど、成績だけが振るわなくなっていってしまうんです。

このことについて、横山(典弘騎手)さんには「こういうことはあるんだぞ」と言われました。

これは、“理由がいまひとつ分からないまま走らなくなってしまう”ということを血統的な特徴とするならば、そういうことは全兄弟や半兄弟ではどうしても出てくるものだ、ということなんです。本当にそうなんだと実感させられます。

よく馬の特徴を伝える言い方として“乗り味”が挙げられますが、これも良く似ていて、少し腰が甘い感じもありながら、バネがあって乗り味が良かったりするんですよ。

じゃあ、似ているならば、成績も似るんだろうと思われがちなんですが、そこは少し違うんです。この姉妹で言えばプレジールの方が完成度が高くて、実際に重賞を勝って上のクラスへ行けたんですよ。

でも、走らなくなるタイミングが一緒だったりするから不思議なんです。

ノリさんいわく、このように“兄弟”で似ることはよくあるから、もし兄弟が他の厩舎だったとしても、よくよく聞いてみると「なるほど」と思わせられるものだ、ということなんですよ。

実際、血統的な要素だけでなく、ほとんどの兄弟は生まれてから離乳まで同じ母親に育てられ、同じ環境のなかで時間を過ごしてくるわけですから、似る確率が高くなるのは至極当然なことと言えるかもしれません。

兄や姉とは違った環境で育った馬は違った特徴を示すことがありますし、逆に同じ環境だったはずなのに違った特徴を示す馬もいます。一概には言えないですが、それでも“兄弟”という血統が示す特徴というのはしばしば感じるものです。

西塚厩舎時代に、ハナタツマキディエゴという兄弟に携わらせていただきましたが、この2頭は生産牧場が違って違う環境で育ちました。ですが、“背中の良さ”と“いざというときの気の強さ”は「ああ、兄弟だな」と感じたことを思い出します。

ゲートに対してみせる嫌悪感とか、そういったところまで似ている兄弟もいたりするんですよね。

“種牡馬”から来る血統的な特徴も、もちろん我々馬に携わっている人間たちは感じていますが、“兄弟”が見せる血統の特徴はそれ以上に感じていて、それが醍醐味のひとつだったりするんです。

みなさんも、そういう“兄弟”が見せる血統的な特徴を、成績やそれ以外の部分でも追ってみると面白いかもしれませんね。

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