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【対談・バレット③】バレットの目で見た、日本人騎手と外国人騎手の違い
2015.11.17
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八田礼奈さん…以下[八]
楠木由華さん…以下[楠]
西塚信人調教助手…以下[西]

[西]八田さんは3人の騎手を担当する場合があるということなんですけど、同じレースにその3人が乗っているときはどうするんですか? 引き上げてくるのを待っていますよね。

[八]うちの場合は、丹内さんが理解してくれているので、たとえ丹内さんが先に引き上げてきても、勝浦さんを待っています。

[西]勝浦さんが最優先なんですね。そして、楠木さんは外国人騎手を担当されていたことがありますよね。確か、ブノワ騎手でしたか。そういうときに松岡さんは『他の騎手はやめて欲しい』とか言わないんですか?

[楠]全く言わないです。昔、藤田(伸二)さんが関東で騎乗するときに一時期お手伝いしていたんですが、『先輩だから、俺よりも先に行くように』と言われていました。

[西]八田さんは外国人ジョッキーを担当したことはないんですか?

[八]ジャパンCとかその日限定という方のお手伝いはしたことがありますけど、短期免許の方はないです。



[西]外国人ジョッキーと日本のジョッキーで、何か違うとことはありますか?

[楠]外国人ジョッキーの人たちは、日本の時間の感覚になかなか馴染めないみたいです。

[西]どういうことですか?

[楠]例えば検量の時間について、このレースならば何時までに検量しなければならない、というように時間が決まっているんですけど、海外ではそういうのが緩いみたいで、なぜそこまでキッチリしているんだ、というような感覚があるみたいです。

[八]確かに、ほとんどの外国人ジョッキーたちは、日本の検量室のルールに最初は戸惑うみたいです。

[楠]斤量も100グラム単位で合わせなければならないんですが、『このくらい良くない?』というような感じですよね。

[西]それはわかるかも。日本に慣れていない外国人ジョッキーだと、そんな話になったりするよね。

[楠]ジャパンCのときなどは、毎年と言っていいほど、そんな話になっていますよ。揉めるときもありますからね。

[西]揉めるんですか?

[楠]そもそも道具さえ持っていないんですから。

[八]たくさん騎乗しているのに、1つとか2つしか鞍を持ってきていなかったりするんです。

[西]そういうときはどうするんですか?

[楠]その1つか2つをギリギリで使い回すか、あるいは借りるかですよね。

[西]借りるで思い出しましたよ。例えば、関西の騎手の方々が関東に来て6鞍とか7鞍とか、多く乗るとします。そのときに、恐らくその分の鞍は持ってきていないはずなんですよ。その証拠に、例えば松岡とか、的場とか、名前が入った鞍を他の騎手が使っていたりしますから。そういう貸し借りはどのような感じで行われているんですか。仕切る人がいたりするんですか?

[八]個人的な貸し借りですよね。

[楠]あとは、私たちバレットに「貸してもらえる?」という感じで聞いてくる人もいます。

[八]でも、最近は関西の騎手の人たちは、結構自分の分は持ってきていますよ。あまり貸し借りというのはないように思います。

[楠]専属のバレットも減っていませんか。

[八]確かに、減っていますね。福永さんと川田さんくらいですよね。

[西]つまり、関西で騎乗するときと、関東で騎乗するときのバレットが違うということですよね。

[八][楠]そうです。

[西]これは個人的な感覚なんですけど、バレットの数が全体的に少ないのかなぁ、と思ったりするんです。検量室でみんな忙しそうにしているじゃないですか。以前は中山とか東京の検量室にはもっと人がたくさんいて、レース後の鞍拭きとかはそういう人たちがやっていましたよね。

[八]いましたよ。ヘルメットの帽子を付けたりもしてくれていたんですが、逆にバレットが増えたために、いなくなったんです。

[西]それは知らないかも。いつくらいまでいました?

[八]正確には覚えていませんが、ローカル開催はかなり最近までいたはずです。

[楠]新潟でそういうことをやっていた方が後藤さんのバレットになったことがありましたよね。

[西]本当に?

[楠]若い方でしたけど、以前はJRAに雇われて帽子を付けていた人でした。

[西]そういうケースもあるんですね。お二人ともバレットを長く務められていますが、外から見ていたのと、中に入ってみて“ここは違った”という部分ってどのあたりですか?

[八]違ったというよりは、競馬に詳しくなったということですかね。

[楠]それはありますよね。レースを観ていても馬がどうのこうのではなく、「あっ、これは怒られる」というのがわかるようになりました。

[西](笑)。わかりますよ、わかります。

[八]観ていて「あっ、いまマクッて行ったのは怒られるよ」というのがわかります。ちょっと早いかもって。

[楠]みんな触れないように、という雰囲気になりますよね(笑)。

[西]そう考えると、僕たち助手とバレットの方々というのは、意外と接点ってなかったりしませんか。



[八]西塚さんみたいに、バレット的な動きをされたりする方々は別ですけど、基本的には勝負服を持ってきてくださる方、という感じですよね。

[楠]話しかけてくれる人もいますけど、基本的にはそんなに接点があるわけではないですよね。

[西]僕自身は、田辺のバレット的な動き以外に、ノビーズの活動を始めて、さらに接点が生まれましたけど、基本的にはバレットの方々は、向こう側の人というか、同じ立場という意識はありませんでした。

[八]でも、こちらもそうだったりするんですよ。

[西]えっ、そうですか。

[八]やはり、立ち位置としては違いを感じますよ。

[西]騎手とバレットの関係ひとつとっても、関東と関西では違ったりするんですよね。関西は飲み会とかも多いと聞くんですけど。

[楠]関西は、バレットの方々も栗東に住んでいることもあると思います。

[西]確かに、皆さんのように東京に住んでいると、じゃあ今日美浦で飲みましょうと言っても、なかなか難しいですからね。

[八]あとは、関西ではバレットの人たちが、そもそも調教師さんや騎手の方々の身内だったりする場合がほとんどですからね。

[西]僕が知る限り、関東はそれはないですよね。例えば、別の騎手のバレットやりながら、他の騎手とお付き合いをするというのも聞かないですしね。

[八]ご飯をご馳走になることはありますけど、それ以上はないですね。

※次回に続く

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