独自視点で穴馬推奨!競馬予想支援情報【サラブレモバイル】

サラブレモバイル

メニュー

ログイン


【対談・黛騎手②】重賞を勝って、100勝を達成できた点では良い1年でした
2015.12.23
✉️応援、質問メッセージを送る

黛弘人騎手…以下[黛]
西塚信人調教助手…以下[西]

[西]話は変わりますが、残り3週で13勝ということで、昨年の18勝よりも5勝少ないです(編注:12月20日終了時点で15勝です)。

[黛]20勝以上という思いで頑張ってきたんですが、上手くいかないです。

[西]でも、重賞を勝たせてもらったし、100勝も達成できたわけですよ。

[黛]僕としては、数字の部分も含めて来年への課題を残してしまっていますが、重賞を勝つことができて、100勝を達成できたということでは良い1年だったとも思います。

[西]えっ、課題って何? テクニカルな話をしてもらってもいいんだよ。

[黛]数字(勝ち星)はもちろんですが、もっとセコく乗ることができた馬たちがいるんです。もっとラッキー勝ちがあったはずなんですよ。

[西]工夫ひとつでね。

[黛]そうです。正攻法なレースをしたことも多かったので、もっと工夫できたはずなんです。あとは、前半戦は重賞を勝たせていただいたんですが、慌てていたところがあったとは感じています。

[西]そう?

[黛]ウカウカしていられないし、重賞を勝ったからこそ、もっとしっかりと、と思っていて、それが逆にプレッシャーというか、慌てる感じになってしまっていたんです。

[西]慌てるところがあるのはわかる(苦笑)。そう言えるのは、バンドでもあるからだよ。音が出ない、出ないと言っていたら、コードがつながってないということもあるからね(笑)。

[黛]そりゃ、出ませんよね(笑)。

[西]経験という部分もあるだろうけどね。

[黛]いや、競馬に関してはそうじゃないですよ。もう3000鞍も乗せていただいているんです。根本的な問題ですし、もう慌てていては駄目ですよ。

[西]ライヴもそうかぁ。結構やっているからね。

[黛]僕の性格的な問題です。でも、慌てなければ良いんです。慌てなければしっかりとできるんですから、僕自身で克服しなければならないんです。

[西]マユちゃん、いくつ?

[黛]30歳です。

[西]もう少しでオッサンじゃん(笑)。

[黛]でも、後半戦はそれが克服できていたように思います。

[西]その自己分析は正しいと思う。それだけわかっているということは、克服法を考えれば良いだけだから、大丈夫だよ。

[黛]“気合い”という言葉で、むしろ逆に慌てさせられたりもするんですよね(苦笑)。まあ、ボチボチ行きますよ。

[西]それでいい、それでいいよ(笑)。逆に聞きたいんだけど、今年の尾関厩舎はどう思う?

[黛]頑張りましたよ。尾関先生が頭が良いのは有名ですけど、馬づくりも上手いですよ。ディスティンダリアを例にとると、デビュー当初は『あれっ』という感じがありましたが、いまは良くなっています。

[西]僕自身でも思うところはあります。ディスティンダリアは笠松の交流レースを勝ったんだけど、あれが中山とかだったら厳しかったと思うわけですよ。敢えて、あそこで勝ったことで馬に余裕をあげられるようになったと思います。

[黛]いまの状態で中山を使っていたら勝っていたでしょうけど、あの当時はまだそれだけしっかりしていなかったということですよね。

[西]もちろん、あの馬が持つ運もあるし、オーナー(ノルマンディーC)側の理解もあるんだけど、その見極めをしたのは先生だから。

[黛]尾関先生はよく話を聞いてくれますし、コミュニケーションをよく取れる先生だと思いますよ。もし、あそこでそういう選択をしていなかったら、ひょっとしたら未勝利で終わっていたかもしれませんよね。先日も乗せてもらったんですが、その当時とは比べものにならないくらい良くなっていて、驚きました。



[西]そう、そういうことなんですよ。

[黛]尾関厩舎は、今年はまた勝っていますよね。

[西]関東で3位とからしいんだけど、ブッチャけ10月の末くらいまでそんなこと考えてもいなかったんだよね。それよりも、毎週、毎週のことで、気にしていなかった。マユちゃんからみて、尾関厩舎の良いところって、どこ?

[黛]いろいろありますけど。

[西]調教では?

[黛]2馬身追走、3ハロン併せるという追い切りですよ。

[西]あ、そう。

[黛]直線で併せることは多いですが、3ハロンから併せていくというのはなかなかないと思いますよ。あそこで負荷がかかっているんじゃないですか。

[西]3ハロンから併せていくと、指示された時計よりも1秒くらい速くなってしまうじゃない。

[黛]だから、終い脚があがってしまいますよね。それだから、負荷がかかっているんですよ。個人的にはそう思います。

[西]西塚信人の良いところはどこよ(笑)。

[黛]信さんは体重と体があることによって、立つ馬が立たなくなっていくことでしょう。

[二人](爆笑)

[黛]ユウセンは、僕が乗ると立つし、尻っ跳ねはするし、大変なのに、信さんだと全くしないですからね。

[西]確かに大人しくなっていく馬は多いよね。

[黛]最大の武器ですよ。脚を入れるときの音が違います。僕のはパフ、パフという感じなのに、信さんのはドス、ドスという感じですよ。

[西](笑)。ゲート試験に関しても、まずは大人しくなるまでは僕が乗って、大丈夫になってから、マユちゃんや蓑島にお願いしていたりする。ある調教師さんに「尾関厩舎はよく勝つね」と言われたんだけど、「二口さんや矢原さんのように上手な助手さんは先生のところにもいらっしゃるでしょうが、僕みたいな助手はいませんよ。どうですか」と言っておきました(笑)。



[黛]立つ馬に関してはあると思いますよ。

[西]チャカつく牝馬も意外と大人しくなってくるんだよ。

[黛]最近、追い切りの風を感じてないですよね。

[西]そうだね。15-15くらいまでだね。

[黛]13-13とか、風が気持ち良いですよ。

[西]でも、よく尾関先生はこの状況で、僕を助手としてクビにしないなぁと思いますよ。

[黛]いや、信さんの長所をよく理解しているんですよ。適材適所というか、それを見抜いて、配置していると感じます。

[西]なるほどね。マユちゃんはいいこと言うね。

[黛]そこも尾関先生の凄いところじゃないですかね。速いところは矢原さん、引っ掛かる馬は二口さん、そしてチャカつく馬は信さんということですからね。三位一体ですよ。

[西]あのね、ひとつ言わせていただきますと、ただ重いから立たないのではなくて、いろいろ細かい対応もしているんですよ。

[黛]それは僕も一緒に言わせていただきます。八の字を描いて乗ったり、いろいろ工夫をされていますよね。

[西]マユちゃん、もっと言って。

[黛]あ、それとロンギが上手ですよね。

[西]それも含めて、いろいろ仕込みがあるわけですよ。先生もゲートで立ち上がる馬とか「お前の重さで抑え込め」というようなことを仰るんだけど、重さだけじゃないんですよ。もし、重さだけならば、マユちゃんに重りを乗せてくださいってことになるでしょ(笑)。

[黛]先生の「お前の重さで抑え込め」っていいですね(笑)。

[西]そういう意味では、ロトスコープは難しかったんじゃないの?

[黛]あれは本当に難しかったです。

[西]読者の方に説明させていただきますと、ロトスコープという馬がいて、馬場に出るとモタれてラチにくっついてしまって、離れなくなってしまうんです。それを様々な経験を持つマユちゃんにお願いしたんだけど、マユちゃんもお手上げ状態になってしまったんだよね。

[黛]同じようなタイプはいますよ。ただ、そういう場合は馬場で手綱を放すとどうにかなったりするんですが、手綱を放すと余計にモタれてしまって…。あのような反応をみせる馬は初めてでした。あの馬を経験したことで、モタれる馬に乗ってもそれほど感じなくなってしまいましたよ。

[西]免疫ができたんだね(笑)。

[黛]あそこまでラチに擦られたのは初めてでした。僕がラチの上を走るんじゃないかと思うくらいでしたよ。

[西]あれはなかなかないよね。いや、馬もマユちゃんも真っ白になっていた。あ、読者の方々はわかっていただいていると思うんですけど、僕たち関係者たちが話をすると、走った馬ではなく、こうして問題のある馬や大変な話で盛り上がってしまうんです。

[黛]確かに、そうです。

[西]ハミとかもいろいろ試して、何とか乗れるようになったけどね。

[黛]あれくらい試行錯誤したことってないかもしれません。いやぁ、馬って難しいですよ。

[西]またさ、ロンギをかけるとこれが上手だったりするわけですよ。

[黛]なるほど。

[西]わかるでしょ(笑)。ロンギ的には全くそういう面をみせないわけですよ。モタれる馬というのは、ロンギをかけると、その理由がわかるものなんだけど、そういう素振りを全くみせず、馬場へ出たらいきなりだからね。

[黛]苦しかったのもあるのかもしれないですけど、そこまで乗ってもいませんでしたからね。いやぁ、いまだに考えさせられますよ。

[西]だって、角馬場でさえ四苦八苦していたんだから。あれ、本当におっ放したら、ラチに激突していったはずだよ。

[黛]間違いないですよ。

[西]いやぁ、難しい。

※次回へ続く

※西塚助手への質問、「指令」も募集中。競馬に関する質問、素朴な疑問をお送り下さい! 「こんな人と対談してほしい」などのリクエストも歓迎です!