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田辺騎手だけでなく、腰痛は馬乗りの職業病なのです
2016.1.13
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毎年、年初恒例の対談相手だった田辺(裕信騎手)ですが、有馬記念当日に続き、5日の金杯開催を腰痛のためお休みしました。

その後、9日の開催から騎乗しているので、大丈夫だったのでしょうが、この腰痛は騎手をはじめ、馬乗りにとっては職業病と言われています。

ちなみに、僕自身は腰痛はないのですが、騎手だけでなく、我々助手仲間でも悩みを抱えている人はとても多いんです。

パドックなどをみていただくと、若い人が厩務員として馬を引いている姿をみかけると思います。いま、競馬学校に入学する時点では、すべての人間が馬に乗れるという前提となっています。つまりは、全員が調教助手になれるということなのです。

ところが、本当は馬乗りが上手で、助手として頑張っていたのに、腰痛によって馬乗りを諦めざるを得ない方々もいたりするんです。

この腰痛だけでなく、骨折や打撲など、馬に携わる仕事といえば怪我はつきものです。

その理由のひとつとして、馬は突発的な動きが多いんです。

馬が横に跳んでいったりするときに、抑えようとして無理をしたり、あるいは捻ったりなど、様々な想定外の動きに対応することで無理がかかってしまって、その蓄積が肉体にダメージとなって現れてくるんじゃないでしょうか。

よく腰痛は腹筋を鍛えることで防げるなどと言われますが、多くの騎手の人たちの腹筋は鍛えられていますので、一般と同じに考えるべきではないと思います。

突発的な動きといえば、競馬場の場内アナウンスで“躓いた件について”とよく聞くと思いますが、この“躓く”のもそうです。

これが本当に危なくて、例え僅かな躓きであっても、乗り手が落ちることが珍しくありません。

実際、最近も僕の同期が乗っていた馬が躓いてしまい、そのまま前方に投げ出され、首や背中を骨折してしまいました。

首の骨折は神経に影響が出てしまうなど、後遺症が残る確率が高いのですが、幸いそのような可能性は低いということで、本当に良かったです。

どれだけ気をつけていても、日常生活とは比べ物にならないくらい危険度が高い環境の仕事なので、避けられない部分もあるんです。ですが、僕自身は全くと言って良いほど怪我がありません。

危ないことを避けていると思われるかもしれませんが、これで初日の2歳馬も乗りますし、それなりに危ない仕事もしているんです。

僕自身、尾関厩舎で落馬の数はダントツに多いんですが、先程もお話をしたように、初日の2歳馬を数多く乗っているのですから、それはある意味当然なんですよ。

それでいながら怪我がないというのは、大先輩である二口助手の名言があるからなんです。

それは、「怪我をして褒められることは全くない」ということです。確かに、「信人、よく怪我した」なんて絶対に言われません。

ご自身で馬乗りの腕に覚えがある方ほど、危ない状況のなかで馬の上に残ろうとされてしまって、その分怪我を負ってしまう確率が高くなるように思います。

自分が何とかしようという意識なのでしょうが、僕はむしろ逆で、危ないと思ったら回避するようにしています。特に初日の2歳馬は突発的な動きのオンパレードですから、構えていますし、なるべく馬に残らないようにしています。

ただ、唯一回避できない動きが、先程もお話しした“走っているときに躓く”ということなんですよ。

先日、西田(雄一郎騎手)さんが怪我から復帰されましたが、その時も「運でしかない部分がある」という話をされていました。

西田さんは首を骨折されて、無事に復帰されました。一方で横山(義行騎手)さんは落馬して、今も復帰できていないほどの大怪我になってしまいました。

同じ躓いたとしても、転倒せずに済むケースもあれば、そのまま転倒してしまうケースもありますし、同じ転倒するケースでも騎乗者が投げ出されて助かる場合もあれば、そのまま馬の下に入ってしまうこともあります。

言い方は適切じゃないかもしれませんけど、その違いは、もう運としか言えない部分があると思うんですよよ。

田辺の話に戻りますが、僕たちからすると、あの田辺が騎乗を取りやめるということは、恐らくかなりの痛みだったはずです。

そういった事情もありますので、対談は状況をみながらお送りしたいと思っています。

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