【対談・田辺騎手①】お待たせしました! 年初恒例のゲスト・田辺騎手です!
2016.2.10
田辺裕信騎手…以下
[田]西塚信人調教助手…以下
[西][西]読者の方々には大変お待たせいたしました。新年恒例の田辺さんとの対談をようやくお送りすることができます。
[田]あ、これ、新年の対談ね。
[西]そうですよ。田辺さんが昨年末から腰痛で騎乗を取りやめたりされていたので、待っていたんです。
[田]いやぁ、それを理由にされては困ります。痛くても食べることはできましたから。
[西]ははは。誘いづらい雰囲気もあったしさ。
[田]えっ、そうですか。他の人からはバンバンお誘いがありましたよ(笑)。
[西]誰とか? (丸山)元気さんとか?
[田]騎手会の新年会もありましたし、それこそ元気さんもありました。
[西]まあ、毎年恒例なので今年もよろしくお願いします、ということなんですが、腰は大丈夫なんですか?
[田]馬に乗っていて、腰痛くならないんですか?
[西]俺、大丈夫なんですよ。体幹が強いんだね。
[田]いや、背筋がないんだと思いますよ。
[西]あ、なるほど。じゃあ、田辺は背筋が強いということなの?
[田]トレーナーの人からは、背筋と腹筋のバランスが悪いと言われました。背筋だけが発達し過ぎてしまって、その周囲にあたる背骨の可動域が狭くなってしまっているらしく、それを腰が全部受けてしまったために、負担がかかっているみたいです。
[西]背筋が発達し過ぎてしまったために、可動域が狭くなるかぁ。なるほどね。じゃあ、俺は腹筋と背筋のバランスが良いってことだね。
[田]それって、褒めてませんか(笑)?
[西]違う、違う。腹筋もないかわりに、背筋もないということですよ(笑)。でも、新馬のヤバイのとかに1週間やら10日連続で乗っていたりすると、張りを感じたりはしますよ。
[田]張りを感じたときには、どうしているんですか。
[西]ストレッチをしたりするくらいだね。
[田]ストレッチできるんですか?
[西]ストレッチと言っても、体操程度だよ。そんなトレーナーが、とかいうレベルじゃないからね。それにしても、田辺さんが乗らないんだから、相当痛かったんだろうね。
[田]いやぁ、痛かったですよ。まあ、無理して乗れば乗れないことはなかったんですが、僕自身としてもし逆の立場だったらと考えると、乗らない方が良いという思いもありました。そのような状態で乗せてもらっている馬主さんや調教師さんたちにすれば、痛みがあることで100%の力を出せないのならば、違う騎手という選択肢がありますからね。
[西]そういう考え方もありますか。
[田]僕はそう思ったんです。
[西]新年も金杯の日だけ休まれていましたが、その後は騎乗をされて、今年も順調な感じで始まったのではないですか?
[田]尾関厩舎、相変わらず新年から調子良いですね。
[西]はぐらかされた気がしますが、ありがとうございます。うちは夏がいまひとつなんですよ。
[田]もう夏は、馬全部放牧に出して、『うちは夏の期間は厩舎全部が夏休み』というのはどうですか。
[西]また大胆な考えですね(笑)。
[田]いやぁ、でも真剣に、暑い時期に走らせるリスクはあると思います。馬場ならば40度を超えている炎天下のなかで、人間でさえ熱中症で命を落としてしまうこともあるというのに、馬に全力疾走を求めているんです。
[西]確かに、真夏の本当に暑い2、3週間は、馬だけじゃなくて、騎手も我々携わる助手や厩務員さんたちにとっても、負担は大きいよ。ただ、売り上げもあるし、興行的には休めないんだろうね。
[田]競馬を開催するのは良いんだけど、使う、使わない、乗る、乗らないは、使う側、乗る側が決めて良いと思います。実際、結果をみれば、夏の期間は成績が良くないので、その期間は馬たちを休ませますというのは、むしろ現実的だと思うんですけどね。
[西]北海道だけか。
[田]北海道は大丈夫ですけど、もう厩舎にも在厩させず育成牧場で調整するのが良いと思います。
[西]確かに、うちは夏はあまり良くないんだよね。
[田]いわゆる良血と言われる馬とか、走る馬をみていても、夏は走っていないですよ。オープンだけじゃなく、下のクラスでもそうです。
[西]じゃあ、夏に走る馬はどういうタイプなの?
[田]そういう走る馬や大御所たちがいないから走るんですよ。
[西]確かにね。
[田]そういう馬を無理矢理使おうとはしないでしょう。北海道は別として『この馬は走るから、真夏に下ろそう』ということは、ほとんど聞きません。
[西]ただ、夏競馬で3歳未勝利戦が終わってしまう番組構成になってからは、新馬のデビューが早くなっている傾向が強いんですけど、2歳馬たちをみていると、他の時期よりもリカバリーに時間を要するというのはあるかなぁ。
[田]2歳新馬戦といえば、幼稚園の運動会みたいな感じですからね。もちろん、克服してしまう馬もいますし、そこで賞金を稼ぐのは、手段としてはありだと思います。
[西]冬もいろいろ気を使うけど、夏も大変ですよね。1年を通して、調子を維持するというのは、馬はもちろん、騎手だけでなく、厩舎も難しいなぁ、と思います。
[田]上手くまとめましたね(笑)。
[西]厩舎で思い出した。そう言えば田辺さん、フリーになりましたよね。小西先生と口も利けないような状況になってしまったために、とかなんですか。
[田]そうですよ。
[西]はははは。『おい、裕信。こうやれ』と言われて、『やってられるか』となって、厩舎を飛び出したとかですか。
[田]それじゃ、口を利いているじゃないですか。
[西]あっ、そうか。
[田]黙って、書類を持っていて、はんこを押すように促して、押してもらったんです。
[西]えっ、冗談だよね?
[田]もちろん冗談です(笑)。
[西]一瞬真面目な顔をするからさ(笑)。
[田]今回の腰痛もあって、調教に乗るのも身体のことも考えながら乗ったら良いんじゃないか、と先生からお話をしていただいたんです。
[西]さすが小西先生ですよ。でも、いまのままでも良くないですか?
[田]それはそうなんですけど、お給料をいただいていますから。先生がどう思うかはわかりませんが、僕自身としては腰が痛いから火曜日休みます、金曜日休みますというような勝手な振る舞いはできないと思うんです。
[西]お給料をもらっている以上はね。
[田]乗る順番とかも含めて、いままでと変わらないですけど、ただ乗らない日もありますし、他のフリーの方々と同じような感じになります。
[西]いままで毎日田辺さんが乗っていたから、その空いた分小西厩舎は忙しくなるね。
[田]先生も、もう1人くらい所属を取った方が良いんじゃないんですか、と言いましたよ。
[西]そうしたら、いらないって?
[田]いや、競馬学校の1年生から預かることになっていたらしいんですけど、辞めてしまったみたいなんです。でも、誰かは預かった方が良いと思います。うちは騎手にとってはとても良い環境だと思いますよ。
[西]そうかもしれない。
[田]馬云々ということではなくて、騎手を雑に扱うようなことは絶対にないですから。
[西]それはとても大切だと思います。面倒をみず、放置されてしまうこともあるみたいですからね。放任主義とか言う人もいますが、みているとそうじゃなかったりするんですよ。ブッチゃけてしまいますが、いじめのようなケースもあると聞きます。それは立場以前に、人として問題だと思いますから。
※来週に続く
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