最近、ローカル開催の下級条件のレベルが高いと感じます
2016.3.16
この時期のローカル開催として、小倉開催が終わり、先週から中京競馬が始まりました。
いま関東のメイン開催は中山、関西は阪神がそれぞれ開催されていますので、我々関係者はこの小倉や中京開催のことを“三場”という呼び方をします。
そして、この時期の小倉や中京だけでなく、メイン開催ではなく“三場”として行われる福島や新潟も含めて、個人的に感じていることがあるんです。
それは未勝利や、500万でもダート1700~1800mあたりでは、“三場”の方が中山、東京よりもレベルの高いレースが増えているように思えることなんです。レースによっては、同じ週でも中山や東京の方が明らかに弱いということも珍しくありません。
以前、西塚厩舎の頃は、徹底して中山、東京は使わないという方針でした。
もちろんメンバーが強いということもありますが、田辺さんが言うところの“セコ乗り”が決まりやすいということもありますし、イケイケで乗ってくる方々がたくさんいて、付け入る隙がよりあるため、勝てないまでも賞金をゲットできる可能性が高かったからです。
それが最近の馬柱をみていると、中山や東京の方が弱いというケースが目に付くと皆さんも思いませんか? ほとんど前走が馬券圏外というようなレースをみかけたりもするんですよね。
もしいま西塚厩舎があったとしたら、“三場”に行かずに、中山や東京に出走させているはずです。
なぜこのような現象が起きているのかと言いますと、ご存知の読者の方々もいらっしゃるかもしれませんが、制度によるところが大きいでしょう。
ご説明させていただきますと、“自ブロック”、“他ブロック”という制度があります。
これは未勝利、500万に関して、関東のレースはあくまで関東馬が優先されるということなんです。
例を挙げますと、中山芝1600mの未勝利戦はフルゲート16頭です。そこに17頭の関東馬が投票したとします。そこに関西馬が出走したいとき、以前ならば前走5着以内の優先出走権を持っていればそれが適応されましたし、そうじゃない場合は抽選によってチャンスを得ることができました。
しかし、いまはもう関東でフルゲートに達している時点で除外となってしまうんです。
昔は、オープン馬や1000万といった上のクラスの馬たちの帯同馬として、関西で前走2、3着の馬たちが出走してきて圧倒的な1番人気になることがよくありましたが、いまはほとんどありません。それは、ほぼ出走できないからです。
近々で言えば、終わったばかりの小倉開催も、相変わらず関西馬の活躍が目立つ結果となりました。それは京都と両睨みができる地理的な条件という部分もありますが、東京、中山へ出走できない関西馬の未勝利、500万の馬が“三場”へ流れ込むことでレベルが高くなっているということなんだろうと思います。
それともうひとつ、最近感じていることがあります。
先週、うちの厩舎の
ディスティンダリアという馬が勝ちました。その
ディスティンダリアの初勝利は、笠松の交流レースだったんです。
ブッチャけますけど、笠松で勝った時点では500万で通用するには相当な時間と成長力が必要だと、関わっていた人間たちは思っていました。
しかし、そんな馬が、500万を、しかもレベルが高いとされる中京を勝つことができたんです。
そこまでの力を付けてくれたということは、もちろん馬自身の成長力もありますし、オーナーサイドのご理解とご協力もあります。僕自身としては、そのなかでもトレセンで調整ができたということは、馬自身にとって大きかったと思っています。
馬も人間と同じで、調子に波があります。その波を乗り越えることで成長する部分がありますし、それを乗り越えるからこそ力をつけるという部分があるんですよね。
ディスティンダリアに関して言えば、トレセンである程度時間をかけて調整できたこともプラスだったと確信しています。もしこれが育成牧場から帰ってきて10日でレースだったら、こういう結果にはなっていなかったはずです。
何が言いたいかと言いますと、関西はトップの厩舎は別ですが、多くの厩舎では、関東ほど入れ替えが頻繁に行われていないと言われています。
そして、もし能力が同じとしたならば、やはりトレセンで調整された方が良いと思います。しかも、施設も栗東の方が良いとされているなかで、やはりそういう“差”は決して少なくないんじゃないかと思うわけですよ。
さらに、“三場”は多くが500万をはじめとする下級条件戦ですから、能力的に抜けている馬は別ですが、同じような能力ならば、時間をかけて調整ができてレースに向かえた方が良い結果は出るんじゃないかと思います。
まだまだ関西勢が強いのですが、そのなかでも1000万をはじめとする高額条件では関東馬が健闘しているように感じるんですよ。以前ほど、東京、中山の高額条件のレースで関西馬がやりたい放題、という感じはなくなっているように思うんです。
それは厩舎で調整されることが多いこともあるでしょうし、レベルが高くなっている“三場”を戦い抜いて、そして勝ち上がっているということで、そこまでの“差”がなくなっている馬たちが走っているということもあるのでしょう。
上手くまとめられずすみませんが、要は制度によって下級条件戦において“三場”のレベルが高くなっている。そして、そこで勝つためにはトレセンのなかで調整することが大切で、その結果として勝ち上がった関東馬たちは1000万円下でも好走できる可能性が高いということなのです。
今後はそういう観点でもレースを見てみてください。そしてご意見があれば聞かせていただきたいと思います。
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