先日、“馬を降りようか”とさえ思った出来事がありました
2016.5.18
先日、個人的にショックな出来事がありました。というのも、そろそろ馬を降りた方が良いのかもしれないと思わせられたんです。
僕自身の調教助手という仕事に対する考えとして、仕事としてやっている以上、先生の指示通りに調教に乗ることが最低限の仕事だと思ってきました。
ただ、やってみた結果として、指示通りにできなかったことはあります。例えば70-40という指示だったのが、引っ掛かって68秒になってしまったということは、たとえ騎手の方々でもあり得る話です。
ですから、そういったことももちろん気にはしますが、そこまで深刻になることは正直あまりありませんでした。
しかし、今回は生まれて初めて、恐怖心を感じたためにキャンターという指示通りの攻め馬ができなかったんですよ。
馬の歩様があまりにも悪過ぎて、危険だということで回避することはあるものですし、逆にプロとしてそうあるべきだと思います。
ところが今回は、背、腰が甘い状態だったある馬が、前に出て行くように促すと激しく抵抗するんです。
それは背、腰が甘いと苦しいために抵抗するんですけど、そんな馬でも入厩してからも何とか乗ってきました。でもその日、どうしてもキャンターに降ろすことができなかったんです。
どこかヤバイと感じたと聞かれれば、具体的にどこということはなかったです。また、何かあったのかといえば、ありませんでした。ただ、とにかく怖さを感じたために、キャンターに行けなかったんです。
極端な言い方をすれば、何事もないのに指示通りの調教ができなかったんですよ。僕が絶対に乗れないという感覚ではないんです。でも、怖い。誰が乗っても怖いのは怖いんですけど、そうじゃないんです。
とにかく先生には謝りましたし、先生から何か特に注意を受けたわけではないのですが、初めての経験でした。しかも、次の日には違う人が乗ったらキャンターができるんだろうなぁ、ということも予想できたんです。実際できていました。
僕がビビリなのか、それともその日に無理をしなかったから、翌日にキャンターができたのか、正直わかりません。
僕自身、これまで入厩初日の馬など、割と警戒レベルの高い馬たちに乗ってきていますし、実際他の人たちよりも落馬もしてきました。おかげさまで大きな怪我はしていませんが、その経験のなかでも感じたことがない恐怖心を感じたんです。
ひとつだけ理由があるとすれば、先生からは無理して進めず、駄目ならば放牧という選択肢も考えていると聞いていたことで、無理をしない方が良いという意識もあったんです。
でも、調教助手が調教師の目前で、指示通りに乗ることができなかったということは重いことだと思っています。だからこそ、馬を降りるべきなのかという意識が芽生えました。
とはいえ、また乗る機会もあると思いますし、馬たちは待ってくれませんので、明日も頑張って馬に乗ります。
今回はそんなことがあったことをお伝えしたいと思い、お話しさせていただきました。
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