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最近の新人騎手について、思うところがあります
2016.5.25
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話題の藤田菜七子騎手だけでなく、新人騎手たちが勝ち星を挙げて活躍していますね。今回はそんな新人騎手について、思うところをお話ししたいと思います。

なぜ新人騎手に敢えて依頼するのか、もちろんそれぞれ思惑があるんですが、よく言われるのは“3キロ”の恩恵です。

現在はデビューから5年未満までか、100勝するまで、平場の斤量が軽くなっています。

そして、斤量1キロで1馬身差のアドバンテージがあると言われていて、かつて対談に出ていただいた村田さん(一誠騎手)も「なかなか止まらないし、捕まらない」とその有効性について話していました。

ですから、あと少しのところで勝ちを逃してしまっているケースや、小柄な馬たちに対して騎乗を依頼することが多いかもしれません。

さらに、まだ体力が付き切っていないような馬に新人騎手を乗せることが多いと言われています。これは、ベテラン騎手が乗って体力以上に動かされてしまうと負担が大きくなってしまうため、最初はまだそこまで馬を動かせない新人騎手の方が良い、ということのようです。

武豊騎手と新人騎手との技術の差が3キロで埋まるのかということについても、それぞれ感じ方も違うでしょうし、いろいろな状況があります。いずれにしても、基本的には依頼する側の趣向と思惑が大前提だということです。

個人的な意見を言わせていただければ、新人騎手という括りのなかで、馬に合わせて、お願いすることがあればお願いする、という感覚なんですよね。

そういえば、3キロの恩恵がある騎手の人たちに対して、『行け』という指示がよく出ています。これは先行することで、軽い分粘り込める確率が高くなるということで、そういう指示が出るんです。

でも、藤田菜七子騎手などの競馬を見ていると、行くことに拘らなくても良いんじゃないかという意識になりますよね。逆に、軽いからこそ終いで他の馬よりも速い脚を使うことができるとも言えるわけですから。

ただ、もちろん“行け”という指示にも一理あります。後ろから伸びてくるときには、馬群を捌きながら、ときには併せるなどしながら追ってこなければなりません。それらに対応する技術や経験が、新人騎手の方々に求めるのは難しいという部分はあるでしょう。

そうは言っても、半年から1年くらい乗っていると、みなさん対応できるようになってくるように思います。

それにしても、最近デビューする騎手は“上手だなぁ”と感じますよ。先輩騎手の方たちからも「俺たちの頃よりも上手だよ」というようなお話が出ます。

それは、競馬学校に入る前から馬術経験のある人たちが増えているということもあるでしょうね。募集要項には馬術経験は問わないとありますが、最近デビューされたほとんどの騎手の方々が馬術を経験しているみたいです。

でも、必ずしも馬術経験があるから騎手として成功するということではないから難しいんですよね。実際、田辺さんや松岡さんは馬術経験がない状態で競馬学校に入学していて、それであれだけの活躍をされています。

ということは、基本的な騎乗技術と、競馬で勝つのは全く別の話です。それでも、基本的な騎乗技術という部分では10年、15年前よりも進歩しているとは思います。

それと、教える側の進歩ということもあるように思います。

競馬学校ができたのが1982年ですから、それから30年以上の間で試行錯誤した結果として、いまがあるわけですよ。

さらに騎手出身の教官たちも増えて、養成力というか、より多くのことが教えられるようになったんじゃないかと思います。ジョッキーベイビーズの開催や馬術の普及など、馬と触れ合う機会そのものを増やしていったことも大きいでしょう。

また、騎手過程以外に、厩務員過程の人たちも本当に上手な人たちが多くなったと感じます。

JRAだけでなく、民間も一緒になって、世界に通用するべく馬やホースマンを育てた成果として、日本競馬のレベルの底上げがされてきたということなんだと思います。

ただ、その一方で、失われてしまったと感じる部分もあるんですよね。競馬には必要ないという意見もあるのかもしれませんが、でも僕たちには理解できない部分だったりするんです。

新人騎手の方々はみなさん良い人なんですが、騎乗以外に大切なことがあるんじゃないか、と感じることもあるんです。

例をあげますと、ある新人騎手が所属厩舎とは別の厩舎の馬に騎乗していました。そして、その日の近いレースに、所属厩舎の馬がその騎手が騎乗するのではない状況で出走していました。

このとき、一般的には装鞍で優先するべきは、まずは自分が乗る馬のはずなんです。

もちろん、所属厩舎の馬の装鞍もしなければならない状況ということもあり得ますし、それはそれでやって良いんです。でも、そのときにはひと言あってしかるべきだと思うんです。でも、そういう話がない。言ってくれれば、僕たちが鞍を運ぶことができるのに、言わないから装鞍の時間に遅れそうになってしまうんです。

競馬の直前というのは、みなさん平常心のようにみえても、どこかピリピリした雰囲気になっています。鞍を置くとか、馬を放すときとか、騎手を乗せる瞬間というのはやはり力が入っています。

そういったことは、田辺さんや松岡さんたちの世代の騎手の方々では絶対にあり得ないことなんです。

それとバレットやエージェントに早い段階から依頼し過ぎではないか、と思います。

バレットで言えば、だから先ほどのような装鞍の際に、ひと言もないような状況になってしまうのでしょうし、エージェントに任せてしまうから、調教師に顔を覚えてもらえないというような状況が生まれるんです。

時代の流れという意見があるのも知っていますし、僕自身が年をとったのかなぁとも思うんですが、決してそうではないと思うんです。

先日、ある先生と話をしていると、騎手が装鞍に先生よりも遅く来たそうなんです。レース間隔が詰まっていたわけでもない状況で。その先生は『俺が新人だった頃は考えられない』と仰っていました。

そういう部分は、技術と同じくらい大切だと感じるのは僕だけでしょうか。いろいろな意見があると思いますが、皆さんはどう感じるでしょうか。

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