韓国競馬を見て、改めてスプリント路線の難しさを感じました
2016.9.14
先週、日本では秋競馬の開幕週でしたが、海外でも日本馬が出走するレースが開催されましたね。
マカヒキの
ニエル賞ももちろん注目しましたが、お隣の韓国で行われた
コリアカップ、コリアスプリントもとても興味深く観戦しました。
ご存じない方のためにおさらいしておくと、ダート1200mの
コリアスプリントとダート1800mの
コリアカップという2レースが行われ、スプリントに
グレープブランデーと
ミリオンヴォルツ、カップに
クリソライトと
クリノスターオーがそれぞれ出走しました。
わが尾関厩舎では
サクラゴスペルと、
CBC賞を勝った
レッドファルクスも
スプリンターズSに向かう予定です。今回、特にスプリントは、それらの馬が走る姿もダブらせながら見ていました。
結果、スプリントは
グレープブランデーが3着、
ミリオンヴォルツが5着。カップは
クリソライトが1着、
クリノスターオーが2着で、ワンツーフィニッシュでした。
正直、ここに出走した馬たちは、
グレープブランデー以外はJRAのGIでは結果を残せていないというのが現実です。そういう馬が、ここでどのようなレースをするのかという部分も、とても興味深かったです。
ヨーロッパはもちろん、ドバイや香港、あるいはシンガポールといったメジャーな遠征先ばかりでなく、マレーシアやインドなど、いろいろな国で競馬が行われています。遠征を数多くすることで、日本馬とそれぞれの国々の馬たちの力関係はもちろん、どの国がどれくらいのレベルなのかということも相対的にわかってきます。
まあ、アウェイよりもホームの方が有利ではあるのですが、今回の韓国シリーズを見て改めて感じたのは、中距離以上の競馬では日本はかなりレベルが高いということと、スプリントは世界的にレベルが高く、簡単にはいかないということです。
マカヒキも
ニエル賞を勝ちましたが、春シーズンには
エイシンヒカリが
イスパーン賞(芝1850m)を勝っています。
エルコンドルパサーが
凱旋門賞で2着に好走して以降、中長距離での日本馬の活躍は世界レベルにあると言っていいはずです。
それに対して、
ジュライCを勝った
アグネスワールドの後は、世界最強といわれたほどの
ロードカナロアが
香港スプリントを連覇した以外、世界と互角に渡り合った実績が残っていません。
ショウナンカンプや
ビリーヴ、
カレンチャンなど、強い馬も挑戦しているのに、香港スプリントを勝ったのは、その
ロードカナロアだけです。
芝とダートの違いはあっても、今回もコリアスプリントを勝ったのも香港馬でした。
アイルランドで調教師をされている児玉先生に聞いたところ、イギリスやアイルランドは自然の地形がそのまま馬場になっている競馬場がほとんどのため、日本馬たちのなかにはその形状に躓いてしまって、慣れないと歩くことさえままならないこともあるそうなんです。
それに対して、香港やフランスなどは、日本と同じように人工的に造られている馬場で、イギリスやアイルランドよりは走りやすいはず。それなのに歯が立たないというのは、それだけ世界的にレベルが高いということなのでしょう。
よく関東で未勝利、500万を走ってきた馬が関西のダート1200mを走ると、ペースが速過ぎて対応が難しい、というような話を聞きます。それ以上にペースが速い、というようなイメージなんでしょうか。
以前、対談にも出ていただいたときにも話題になりましたが、韓国については青木芳之さん(故人)からいろいろ聞いていましたので、今回の結果はある程度予想はできた部分もあります。とにかくスプリントに関して、世界のレベルはとても高いと感じます。
韓国はお隣ですし、今後も競馬が徐々に盛んになっていくような雰囲気のようなので、ぜひ一回行ってみたいと思います。
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