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菅原先生の最後のレースで、改めて思うことがありました
2017.3.1
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先日、ある方と話していたときに、「馬は人を裏切らないでしょ?」と言われ、改めて考えてみたことがあります。

でも、馬も人間を裏切ったりしますし、もちろん助けてくれたりもします。ですから、全く同じとは言わないまでも、ほぼ人間と付き合っているのと同じような感覚になるんですよね。

馬もそれぞれ性格も違えば、個性もあります。自分の子どもを育てながら、馬の仕事をしていると、自分と立場的に近いのは幼稚園の先生なんじゃないでしょうか。性格や個性、あるいは行動からすると、幼稚園の年長組くらいの子どもと接するのが、ちょうど同じくらいじゃないかと思うんです。

そういうことを考えていると思い出すのが、“情けは人の為ならず”ということわざです。

この意味については、情けをかけることは人のためでなく、やがて自分に返ってくるということだと、ある馬主さんに言われました。

そのことわざは馬にも当てはまっていて、改めて本当にそうだなぁと思うんですよ。

ブッチャけますと、人間が頑張ったからといって馬が走るものでありません。人間がどれだけ頑張っても走らない代わりに、頑張らなくても走るときは走るものなんです。もちろん、だからといって頑張らなくていいと言っているのではないので、そこは誤解しないでください。

そして、人間関係もそうだと思うんです。こちらがどれだけ誠意をもってお付き合いしていても、裏切られるときには裏切られてしまいますし、逆に付き合いがない人に助けられることもあるわけですよ。

何が言いたいかと言いますと、馬も人間と同じで、馬に情けをかければどこかで馬が返してくれることがあるということなんです。

それはレースに勝つだけではありません。馬が人間に返してくれることは、それ以外にもたくさんあります。

例えば、手掛けたそれぞれの馬がいて、その馬たちに携わったからこそいまの自分があって、その経験が自分の力になっているはずなんです。その馬に出会っていなかったら、分からないこともあったと思うんですよ。

馬との直接的な関係だけではなく、例えばある馬を通して、それまで知らなかった人とお付き合いが始まるということも、馬がしてくれたことですよね。

僕について言えば、(横山)ノリさんとは西塚厩舎時代には言葉さえ交わしたことがありませんでした。

それが尾関厩舎に移って、サクラゴスペルをはじめとする馬たちを通して会話をさせていただくなかで、馬に対する姿勢を自分自身にフィードバックしたこともあります。

そういう思いで、先週の最終レースで菅原泰夫先生の最後のレースを見ていました(2月26日中山12R、ダンディーレイ)。

結果は2着でしたが、厩務員が泣いて帰ってきたんです。それは馬や仕事に対して、それだけ思いがあるからこそだろうと思うんですよ。

他の厩舎の人たちも、その状況を理解していましたから、みんな応援していました。そういう思いも、みんなが一生懸命に頑張っているからこそでしょう。

確かに我々は勝ち負けを争っていますが、それだけではなく、馬に正直に頑張っていれば、それ以外の部分でもたくさん我々に返してくれるんだと思うんです。

人間も何かをしてあげたその人からではなく、違う形で違う人に助けてもらったりすることがあります。そしてそれは、馬も同じです。

西塚厩舎時代、その週のどこかで賞金を稼いでこないともう駄目というギリギリのところで、何度馬たちに助けてもらったことか。父は人間に対しても馬に対しても正直な人でした。だからこそ、苦しいときに馬たちが助けてくれたんだと僕は思っています。

菅原先生の最後のレースを見ながら、これからも馬に正直に向き合って、頑張っていきたいと改めて思いました。

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