ルールさえ整備されれば、エージェント制度はあっていいと思います
2017.6.21
3週前に話をしたエージェントについて、多くの方からメッセージをいただきました。本当にありがとうございます。
いまのエージェント制に対して、疑念や批判的なご意見をお持ちの方も多いということがわかりました。
ひとつ僕が改めて言わせていただきたいことは、僕自身はエージェント制度そのものが悪く、完全になくしてしまうべき、とは考えていないということです。
確かに、いまの制度には問題がありますし、エージェントの方々にもいろいろいて、疑問を感じるケースもあります。でも、全員がそうではないし、エージェントの恩恵を受けている調教師や厩舎があるのも事実ですから、そこはあっても良いと思うんです。
ブッチャけさせていただきますと、調教師や我々厩舎サイドにも大きな問題があると思うんですよ。
当初、エージェントについてのルールが整備されていなかった頃は、使い勝手が良く、自由に使える便利屋のように使ってきたと聞きます。その結果、権限が与えられ、いまのように騎手や番組、果ては調教の内容まで決めるところがある、と言われるくらい力を持ったということなんです。
そうならないためにも、しっかりとルールを決め、エージェントを雇う騎手はもちろん、依頼する側も自覚を持って対応しなければならないと思うんです。
そういった“自覚”というのは、実はデビューしたばかりの若手騎手がエージェントやバレットを付けていて、師匠である所属調教師との関係があいまいになっている、という部分にも繋がっていると思うんです。
騎手の方々にはすべて師匠がいます。このコーナーでも、昔の徒弟制度があった時代の厳しい話が出たこともありましたが、いまの時代も師匠は弟子に対して監督責任があるとされています。
僕自身が西塚厩舎だった頃、若手騎手に乗ってもらうと、その師匠が
『西塚君ありがとう。先生にもよろしく言ってください。またお願いします』と、その騎手に見えないところで丁寧に挨拶をしてくださったんですよ。
でも、最近ではそういうやり取りすらなくなってきていると言います。
騎手候補生を預かっても、何のメリットもないというルールにも問題があるのでしょう。ただ、それでも預かった以上は、やはり監督責任というか、人として何が大事かということを教えなければならないはず。その“自覚”が希薄だからだと思うんです。
私見ですが、今後ルールが変更されるとしたら、デビューから3年間はエージェントもバレットも付けてはいけないことになればいいのではないか、と思っています。
そうやってみると、徒弟制度の根本からの見直しも必要だということになってきます。でもこれは10年後、20年後、競馬が良くなるために必要不可欠であると思います。ぜひやるべきです。
まとめましょう。エージェントに関して、そのルールや現状には大きな問題が山積しているのは間違いありません。それを早急に是正するのは必要不可欠です。
でも、ルールさえしっかりとして、公正であるとみんなに認められるものであるならば、エージェント制度はあっても良いのではないかと思います。
ただ、それについては運用する側としてエージェントを雇う騎手、そして依頼する調教師や厩舎に、しっかりとした自覚が求められるということでもあるのだろう、と思っています。
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