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トレセンに入って12年目を迎え、改めて思うことがあります
2017.6.28
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宝塚記念が終わりましたね。個人的な話で恐縮なんですけど、宝塚記念と聞くと、トレセンに入った頃を思い出すんですよ。

というのも、自分がトレセンに入ったのは、ディープインパクトが勝った06年宝塚記念の頃なんです。ということは、今年でトレセンに入って丸11年が過ぎたということで、改めて時間が経ったことを感じます。

そして、最近は“経験こそ宝”という思いを持つようになりました。

ブッチャけると、調教師の息子という立場ではありましたが、馬に触れたことなど、牧場で研修するまではほとんどなかったんです。いまにして思えば何もわからない状況で、トレセンに入り、父親の代行などをしていたわけですよ。

何も知らなかったとはいえ、よくやれたなぁ、と思います。同時に、怖さを知らなかったからこそできたと思うんです。

最近トレセンに入ってくる人だと、西塚厩舎を知らないという人も少なくありません。僕自身も、尾関厩舎で10年近くお世話になっているということなんですから。

尾関厩舎では、入厩初日やゲート初日の馬などに乗る機会が多いです。そういった馬に触れて、そして乗るということは大事で、本当に良い経験をさせていただいていますし、僕自身にとっては財産となっていると思っています。

12年目も頑張っていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

さて、6月に入って2歳戦が始まりました。その2歳戦で、ゲートに入らないために出走取消になるとか、馬が頭を上げた際に騎手が負傷して乗り替わった後、レースでは横に飛んで騎手が落馬してしまうなど、いくつかアクシデントがありました。

それで思ったのですが、実は最近、2歳馬についてちょっとした実体験をしました。尾関厩舎に2歳と3歳の未出走の馬が一緒に入厩してきたんです。

どちらも競馬はもちろん、トレセンそのものが初めての経験だったんですけど、3歳馬の方がいろいろな面で適応力の高さを示したんです。3歳馬の方も最初は物見をしたり、戸惑いをみせていましたけど、2歳馬よりも早く環境に慣れていったんですよ。

その差は、1年先に生まれている分、人間と接している時間も長いですし、人に跨がられている回数も多いですし、1年の間に牧場をいくつか移るなど、様々な環境の変化を経験しているはずです。馬運車にも多く乗っているはずなんですよね。

そして、これは初日に乗ることが多い僕が感じていることなのですが、トレセンに入厩してきた初日に見せる行動を、初めてのレースのときにも見せる確率は比較的高いと思います。

例えば、最初にゲートに連れて行ったときに入ることを躊躇した馬は、初めてのレースのときにもゲート入りを躊躇することがとても多いです。

初めて経験することは、人間でも不安を感じます。馬もそうで、その不安を感じたときにみせる行動が、馬によっては立ち止まってしまったり、あるいは横に飛んで行ったりすることなのでしょう。そして、同じような不安を感じたときに、同じような行動を取る可能性が高いとされているんですよね。

ですから、先ほど話したような2歳馬も、レースでゲートに入らない、あるいは驚いて横に飛んで行くというような行動を、どこかでしていたのかもしれません。

ただ、全部が全部そうではありません。慣れることでも解消される場合がありますし、トレセンに入った初日に問題があったのに、初めての競馬では全く問題なかった馬もいます。逆に、初めての競馬で突然問題を見せる馬もいます。

少し話がそれますが、昔は入厩してから2ヶ月程度の時間をかけて調教してデビューすることが普通とされていたようです。先輩に聞くと、ゲートまで1ヶ月くらいかけたといいます。

でも、いまは入厩してきた初日にゲートまで行き、1ヶ月程度でデビューするケースも珍しくありません。数年前から新馬戦の開始が2週早まり、ダービーの翌週から開催されるようになりましたが、それも理由にあるのかもしれません。

それは、育成牧場の技術が向上したこともあるでしょうし、昔のように、トレセンに来て初めて鞍を付けるような馬は皆無になっています。馬たちの血統レベルや資質そのものも、比べものにならないくらい進化しているのでしょう。

ただ、やはり周りにいる馬の頭数や人間の数など、トレセンと同じような環境を育成の時点で経験することはなかなか難しい。そうなると、トレセンで感じる緊張や不安は、初めて経験するはずなんですよ。

あとは、1周2000mの馬場があるなど、広々としたところを1頭で走ったりすることもないんじゃないかと思うんです。

そういう“初めての経験”があって、それを理解して、対応するためには、馬の精神年齢が成熟している馬の方が対応しやすいと思うんですよね。

現在のシステムがそうなっているのですから、そのなかでいかに克服できるようにするか。いずれにしても、できることをやっていくしかないんですよね。

でも、ブッチャけさせていただきますと、その際に苦しさや適応しきれない素振りを見せる2歳馬については、人間が見抜いて対応しなければならないと改めて思うんです。

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