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【対談・飯田助手②】ダイワメジャーがデビュー戦のパドックで寝てしまった理由とは!?
2017.7.12
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飯田直毅調教助手…以下[飯]
西塚信人調教助手…以下[西]

[西]スカーレットブーケの産駒で上原厩舎に入ったのはダイワルージュダイワメジャーです。そういえば、スカーレットブーケにはスカーレットリボンという姉妹がいましたよね?

[飯]リボンがお姉ちゃんですね。竹原(啓二)さん、竹さんが乗っていました。

[西]本当に懐かしいですね。

[飯]ブーケリボンではタイプが違っていたと思うんです。リボンは少し前が硬そうに見えて、どちらかと言えば体高が低くてスピードタイプであるのに対して、ブーケはゆったりとしたタイプに見えました。

[西]そうでしたか。

[飯]実は、ルージュメジャーの姉弟にもそういうところがありました。ルージュは行きたがるところを抑えるだけで、素直で乗りやすかったですし、どちらというと硬めでスピードが勝っているタイプ。それに対して、メジャーはしなやかな印象で、首差しなど全体のバランスも良いと思いました。全兄にはスリリングサンデーという馬がいたんですが、お姉ちゃんではなく、そちらに似ている印象を持ちました。乗ってみても緩さがあって、1200、1400mというタイプではないという感じでしたよね。何より、最初は悪かった。落とそうとしているなぁと思うこともありましたよ。



[西]僕がトレセンに入ったばかりのときに、飯田さんが長鞭を持ってパドックをダイワメジャーと一緒に歩いていたんです。恐らく、だいぶ大人になった頃だったはずなんですけど、「なんでやっているんですか?」と飯田さんに尋ねたんですよね。

[飯]大丈夫になっていたんですけど、お約束という感じで続けていたんですよね。確かに、西塚君に聞かれたかも。

[西]でも、最初はヤバかったと聞きましたよ。

[飯]デビュー戦のときはヤバかったですね。装鞍所の時点で興奮して立って、立って、立ちまくっていて、そのうちお腹がヤバくなってきたんです。

[西]疝痛ですか。

[飯]それっぽくなってきて、だんだん腰を落とすような格好をしはじめて。お腹を叩きながら歩いていたんですけど、限界がきました。それで頭絡を付け直して、そこから自分で乗って、今度はお腹を蹴ったんですけど、あまり反応がなかったんです。それで“伝説”にもなっていますが、パドックで寝てしまうことになったんです。

[西]そんなことがあったんですね。

[飯]結局レースには出走したんです。中山のマイル戦でしたが、向正面のおにぎり型の先の付近あたりで、手前を替えるまで全く進んで行かない感じでした。実は、あとから菊沢さん(隆徳現調教師)に聞いたんですけど、手前を替えたとことで、“ブ、ブ、ブー”と大きなオナラをしたそうなんです。すると今度はハミを取って上がって行ったそうです。ゴール前で前に出たがらなくて、脚を余して負けてしまったんですけどね。

[西]オナラですか(笑)。乗っていて難しかったんですか?

[飯]スプリングSくらいまでは併せ馬で乗っていた方が良かったですし、乗り難いということはありませんでした。

[西]そのスプリングSで3着になって、そこから皐月賞制覇となったわけですけど、手応えはあったんですか?

[飯]完成は先だという感じがありましたし、デビュー戦から、2走目、3走目と馬の様子をうかがいながら、という感じで、追い込んでいませんでした。それでもスプリングSの前に、良い意味でピリピリした雰囲気を見せていたので、レースで集中して走れるんじゃないかと思っていると、3コーナーで斜行したりしていたんです。そのレースを見ていて、まだ余裕を感じたので、火曜日から角馬場で8の字を乗って、水曜日には普通に馬場へ出しました。それと本番に乗るデムーロに普通キャンターを乗せると「クラシックホースだ」と喜んでいたんですけど。

[西]実際そうなりましたからね。

[飯]でも、勢いも半分あったとは思います。素質だけで勝ったと思いますし、デムーロの技術もありましたよね。最後の直線では、初めて強いプレッシャーで動かされたからでしょう、馬自身が驚いたような表情で走っていましたから。勝ったときにはこれでプレッシャーがかかるなぁと思いましたよ。

[西]ダービーは6着でしたが、距離ですかね。

[飯]少し喉にDDSPが絡んで、若干ですけど症状があったんです。ノド鳴りの“ヒュー、ヒュー”という音は、入厩当初からダクを踏んでいるときにはありました。でも、走ることに影響がなかったんですよね。夏の放牧に行っていたときに、喉が悪くなっているという話を聞いていて、実際帰ってきたときには酷くなっていました。

[西]それが秋のオールカマー(9着)であり、天皇賞(17着)ですね。

[飯]あの2回、馬自身も真剣に走っていませんでした。それはそれで良かったと後になって思います。向正面で手前を替えたときに、音が変わってしまって、そこで失速してしまうということでしたので、大ごとだと思いましたし、馬自身も走れないと感じて、無理ができませんでしたよね。

[西]一般のファンと同じような質問をしますけど、乗り役さんがたくさん替わっていますよね。



[飯]最初は菊沢さんで、ミルコ。そして善臣さんも乗っていますよね。癖もありましたので、当時癖馬といえば上手いと言われた善臣さんでしたから。

[西]でも、イメージとしてはやはり安藤さんが強いですよね。

[飯]アンカツさんに初めて乗ってもらったマイラーズC(06年)は急遽決まったというのが本当のところでした。最初はデムーロが乗る予定で調整していたんですけど、アンカツさんになったんです。

[西]結果的には良い方向に向いたということですよね。

[飯]実は、前年の夏、ノド鳴りを克服したと言われて安田記念で負けてしまって(8着)。その後関屋記念で2着して、毎日王冠(5着)に出走しました。その中間あたりの雰囲気が、僕自身では何か違う感じがしていて、何かしなければならないという思いが漠然とあったんです。ちょうどそのときにノリさんに乗ってもらっていたんですけど、「良い馬だけど、何か物足りなさを感じる」と言われたんですよ。そんなこともあって、マイルCSの直前に馬を追い込みました。すると、馬が苦しがり始めたんです。1週前だったと思いますけど、6ハロンから追い切ったところ、内ラチを通って直線で手前を替えるとラチから離れなくなってしまったんです。それでゴール板を過ぎると、また元に戻るんですよ。こいつ苦しがっているな、と思って、どうにかしなければと考えました。

[西]何をやったんですか?

[飯]ハミをフリーにすると元に戻ったので、これなら何とかできると思って、中間でハミの感じなどに気をつけて乗りました。それで、最終追い切りで内ラチから3頭分くらい離して、柔らかくして乗るイメージで真っ直ぐ走らせることだけを意識したところ、もの凄く良かったんです。もしこれで走らなかったらどうしようと思いながら送り出したら、マイルCSはハナ差の2着でした。あの秋の一連のやり取りのなかで、一皮むけたという感覚はありましたよ。

※次回に続く

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