独自視点で穴馬推奨!競馬予想支援情報【サラブレモバイル】

サラブレモバイル

メニュー

ログイン


【対談・飯田助手③】肌で感じたトップジョッキーの“ワールド”の凄さ
2017.7.19
✉️応援、質問メッセージを送る

飯田直毅調教助手…以下[飯]
西塚信人調教助手…以下[西]

[西]ダイワメジャーの話を続けましょう。4歳秋で一皮むけたという感覚があったということなのですが、それは精神的な部分も大きいと思うんですよね。

[飯]そう。大きいと思う。

[西]サクラゴスペルもそういうところがあったんです。馬のスケールは違うかもしれませんけど、似ていると思うんです。ノリさんや矢原さんが乗ると馬場の入り口で突進したりするのに、僕が乗ると大人しくて、人間みたいなところがありました。

[飯]いろいろな形で調教を進めていくんですけど、ちょっとした準備期間を与えて、そろそろやるんだよ、という感じで進めていくと、自分から気合いが入ったりしました。あと、メジャーは競馬直前で良い仕上がりになると、逆にもの凄くリラックスしていたんですよ。

[西]賢さというか、人間的な要素がありませんか?

[飯]賢い。人間が求めていることを噛み砕くことができていたと感じますよ。そのルールを逆にこちらが守ってあげないといけない、ということはありますけどね。



[西]人間側が都合で変えてはいけないんですよね。馬が苦しがっているときに、たとえぶっ叩いてでも行かせなければならないことがありますが、それがすべての馬には当てはまらないと思うんですよ。

[飯]コースの出入口を登るときに、2歳とか3歳馬の中にはごねる馬がいますが、メジャーも若いときに入口で隙を狙っていたことがあったんです。そのタイミングでステッキで思い切り叩きました。それ以来馬場に入ってからは悪いことをしなかったんですよね。でも、追い切りで何もしない代わりに、出入り口では油断していると跳ねたりしていました。それが、今度は平日の馬が少ない時間に入ると、すんなり常歩で入っていくんですから。

[西]わかります。一流のオープン馬のなかには、経験することで物事を理解してみせて、そのような振る舞いをみせることがありますよね。

[飯]それはあります。そういう意味では、こちらが彼らに対して求めていることを先にわからせておくと、理解してくれたりしますよね。メジャーもそうでした。もちろん厩務員さんも頑張ってくれるからなんですけど、レースに向けて身体をつくってきますし、仕上がってくると余計なことをしなくなるんですよね。

[西]話を戻しますけど、アンカツさんに乗り替わってからはどんな感じだったんですか?

[飯]アンカツさんは合うと思いました。マイラーズCの帰り道、先生に「ぜひ次も安藤さんにお願いしたいですね」と話をしたんです。先約があったみたいですけど、上手く調整してくれたと聞きました。

[西]うちでも競馬に乗ってもらったことがありましたけど、詳しく馬の話をしたことがありませんでした。

[飯]天才肌の職人だと感じました。「馬はできています」というだけで、すべてを理解していたと思います。初めて乗ってもらったときに、半年前のことがあるので、少しササるところがあることと、少しズブく感じるところがあるかもしれませんということだけ伝えました。すると、全部対応してくれましたからね。

[西]ノリさんとか、善臣さんとか、いろいろ詳しく話をしてくれますよね。

[飯]そういうのはないです。初めて乗ってもらった後、安田記念毎日王冠くらいまでは追い切りに乗ってもらって、そこからはお任せという形になったんですけど、全くそういう話はしなかったと思いますよ。

[西]なぜ安藤さんが合うと思ったんですか?

[飯]レースを見ていて、馬自身に余裕があったんですよね。耳は立てたままだし、最後の100mでは手前を替えるし、涼しい顔で走っていました。もちろん安藤さんは地方出身の方で、ズブい馬を動かす技術があるということもありますし、メジャーは元々そういう面も持っていましたので、このまま安藤さんに乗ってもらった方が良いと思ったんです。

[西]そこから日本競馬史に名を残す存在になっていったわけですけど、いまその産駒たちがデビューして、活躍していますよね。子供たちにも乗っていらっしゃると思いますけど、どんな印象ですか? 似てたりしますか?

[飯]いろいろなタイプがいますよね。

[西]ダイワメジャーのイメージというと、やはり飯田さんが長鞭を持って付いている、なんですけど、産駒たちにはステイゴールド産駒のように共通してみせる難しさ、悪さはないように思いませんか?



[飯]なかにはいますよね。

[西]あ、そうですか。僕は出会ってないですし、ステイゴールドのように手がつけられないというクラスはいないように思うんです。

[飯]うちは1頭いたかなぁ。

[西]うちは牝馬のみなんですよね。ピリッとした牝馬らしくスピードがある産駒が多いかなぁ。

[飯]うちはいろいろなタイプがいます。

[西]それはそうですよ。ダイワメジャー産駒は数が多いですから(笑)。ダイワメジャー産駒について、たぶん一般的なイメージとしては、切れるタイプではないけど、長く良い脚を使うという感じなのかもしれないですね。

[飯]しぶとさがあってね。

[西]メジャー自身にもそういう面があるように感じたことがあったんですよね。

[飯]実際そんな感じでした。たけど、安藤さんがドバイで負けてしまった(07年ドバイデューティフリー3着)んですけど、この馬は差す競馬もできるなぁと言っていて、安田記念ではそういう競馬をしたんです。

[西]そうだったんですか。

[飯]1枠2番で、包まれたときどうかなぁと思っていたら勝ってくれて。上がってきたときに安藤さんと話をしたら、「ドバイのときに差す競馬もできると思ったから、ちょっとタメてみたんだ」と言っていて。ステッキを入れずに追っていました。

[西]そのあたりが、安藤ワールドなんでしょうね。

[飯]だと思いますよ。しぶとくて、安藤さんも後ろから来れば来るだけ伸びると言っていました。それで思い出したんですが、こんな話があります。メジャーが勝った天皇賞(06年秋)の後にパトロールを観ながら、アドマイヤムーンに乗っていた豊さん(武騎手)が「強いですね。どうやったら負かせるんでしょうね」と言ったことがあったんです。そうしたら、次のレース(マイルCS)ではダンスインザムードに乗って、今度は見えないところから来たんですよ。いやぁ、この人凄いなぁと思いました。

[西]それは豊ワールドというか、豊さんの凄さですよね。そういうすべてが飯田さんにとっての財産ですよね。

[飯]いや、本当に良い経験をさせてもらいましたよ。

※次回に続く

※西塚助手への質問、「指令」も募集中。競馬に関する質問、素朴な疑問をお送り下さい! 「こんな人と対談してほしい」などのリクエストも歓迎です!